ニューモデルヤマハ

「LMW Commuter TRICITY300」オンライン発表・報告会を実施

公開日: 2020/10/12

更新日: 2022/09/06

 ヤマハは8月24日、報道関係者を対象に「TRICITY300」オンライン発表・報告会を行った。同モデルは9月30日より発売を開始した“Leaning Multi Wheel”の第4弾。最新のLMWテクノロジーを搭載したミドルクラスコミューターの登場に、大きな注目が集まっている。

快適な乗り心地を実現するLMWアッカーマンジオメトリ

リーン(傾斜)し、なおかつ内外輪差が生まれるフロント二輪が、常に旋回方向を向く設計を正立させ、同心円を描く滑らかな旋回を可能とするヤマハ独自の構造
リーン(傾斜)し、なおかつ内外輪差が生まれるフロント二輪が、常に旋回方向を向く設計を正立させ、同心円を描く滑らかな旋回を可能とするヤマハ独自の構造

 トリシティ300は“The Smartest Commuting Way(賢い移動手段)"をコンセプトに開発された、ミドルクラスのLMWコミューター。「XMAX 300」に搭載の燃費・環境性能に優れた“BLUE CORE"エンジンをベースに仕様を最適化し、心地よい加速フィーリングと快適な乗り心地を提供する。さらに、車体の傾きを制限して停車時などの自立をサポートする“スタンディングアシスト"をヤマハ市販モデルとして初採用するなど、最新の技術が注ぎ込まれている。

 ヤマハMC事業本部長の木下卓也さんはトリシティ300について
「通勤通学の手段としてバイクを選ぶユーザーが世界的に顕在化するという新しい時代のニーズに、確かな性能と機能で応えることができるモデル」と語っているが、どのような点が優れているのだろうか。

 主な特長としてはスタンディングアシストの他に、安定感としなやかな乗り心地を両立する新設計フレームや“Y〟をモチーフにしたブランドアイコンの進化、アクティブでスマートなスタイリングなどが挙げられる。けれども最大の特徴は、三輪車ではあるものの二輪車と勘違いするような操縦性を実現する、最新のLMWテクノロジーにある。これは、平行な上下2本のアームで構成するパラレログラムリンクを用いたサスペンションと操舵機構で、軽快感と安定感の両立に貢献する技術。この仕組みについて、開発プロジェクトリーダーであるヤマハSV開発部LMW設計グループの浅野大輔さんはこう説明する。

「パラレログラムリンクと片持ちテレスコピックサスペンションの基本構造に加え、NIKENで実績のある“LMWアッカーマン・ジオメトリ〟を専用設計し採用しています。当社独自の設計によって、内外輪差の生まれるフロント二輪がリーン(傾斜)しながら常に旋回方向に向くため、同心円を描く滑らかな旋回が可能となり、快適で質感のある乗り心地を実現しています。トリシティ300はNIKENで熟成された技術を応用することで、トリシティシリーズの上位機種にふさわしい進化を遂げています」

なぜ300 ㏄エンジンを採用したのか?

左から、ヤマハ発動機株式会社 SV開発部LMW設計グループ 浅野大輔さん、同MC事業本部長 木下卓也さん
左から、ヤマハ発動機株式会社 SV開発部LMW設計グループ 浅野大輔さん、同MC事業本部長 木下卓也さん

 最新の技術を搭載しパワーアップが行われたトリシティ300だが、なぜ300㏄を採用したのだろうか。これについて前出の木下さんと浅野さんは次のように語る。

「トリシティ300は最新技術を取り入れ、さらにはこの車格を採用したことで、かなり車重があります。また、これに伴う価格の上昇などから、ある程度の排気量が必要だと考えました。そのため技術面と車格、そしてご購入いただく価格セグメント等も含めて、300㏄がLMWコミューターとして最適であると判断しました」

 メーカー希望小売価格価格は95万7000円(税込)。カラーは「ブルーイッシュグレーソリッド4」「マットグレーメタリック6」「マットダークグレーメタリックA」の3色展開。

 クルマに変わる賢い移動手段を求める通勤者をターゲットに設定しているトリシティ300。優れた性能と機能を搭載することで、通勤時の移動だけでなく、ツーリングにおいても走る楽しさや快適性を体感することができる。さらに、最新のLMWテクノロジーを採用したことで、四輪の経験しかもたないユーザーにも二輪車を操る楽しさと安心感を提供する。トリシティシリーズの最上位モデルとして、日本の三輪バイク市場の裾野をより広げることができるか注目だ。

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