公開日: 2020/10/22
更新日: 2022/09/06
9月1日より、来年3月31日までの7カ月を期間とする「マイナポイント事業」がスタートした。これは国が実施する「キャッシュレス・ポイント還元事業」に続く消費活性化策のひとつで、キャッシュレス決済とマイナンバーカード普及促進を目的とした政策。7月1日から事前登録を開始し、CMなどの啓発活動も行ってきたが、消費者からは「内容がよく分からない」との声が多数聞かれる。そこで今回は、同事業の内容についてを見ていく。
マイナポイント事業はマイナンバーカードをキャッシュレス決済サービスと連携させることで、買い物またはチャージに対して25%分のポイントを付与するというもの。つまり、2万円の買い物・チャージで5000円(上限5000円)相当のポイントが得られるのだ。政府は当初4000万人の利用を見込んでいたが、高市早苗総務大臣は9月1日の記者会見で、8月30日時点での申請者数を377万人と発表。事前登録期間での申請は、見込み人数の1割以下にとどまっていることが分かった。
民間調査会社MMD研究所は7月21日(火)~27日(月)にかけて、スマホを所有する男女5353人に「マイナンバーカードとマイナポイントに関する調査」を行った。その結果、事業の認知度は83・1%であるのに対し、内容を把握している人は35・5%であった。さらに、上記で把握していると回答した1900人に申込状況を聞いたところ、申し込む予定はないと回答した人が29・8%いることなどが分かった。
ポイント還元を受けるためにはマイナンバーカードを取得し、クレジットカードや電子マネー、QRコード決済など複数の決済方法のなかから、どれか一つを選択する必要がある。けれども、手続きに1カ月程度かかるなど時間と手間を要するため「手続きが難しい」「面倒くさい」と言った指摘が多く出ている。また、マイナンバーカードとの紐付けによる個人情報の取り扱いに対する不安の声も多数上がっている。
マイナポイント事業に登録済みの決済サービスは245種類(9月4日現在)におよび、各社独自の上乗せサービスを実施するなど利用促進のための様々な取り組みを行っている。このようにマイナンバーカードを取得し登録をすることでポイント還元を受けることができるが、メリットはそれだけではない。
「来年3月から健康保険証としての利用を開始する予定です。その後はお薬手帳、介護保険被保険者証、母子健康手帳、障害者手帳、ハローワークカードなど、政府全体で様々な利活用策を進めていくことになっています」(高市総務大臣)
このようにマイナンバーカードは身分証明書や各種民間のオンライン取引など、様々なサービスを一枚で済ませることができるようになる予定だ。
マイナポイント事業はマイナンバーカードとの紐付けによるものであるため、個人情報流出の可能性を不安視する声が上がっている。その影響もあり現在の申請状況は低調となっているが、政府が今後どのような対策を行っていくのか、またこれによってどれくらい登録者が増加するのか、これからの動向に注目だ。
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