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原付免許の定義が変わる!? 現在検討中の法改正について詳しく解説!

公開日: 2023/10/18

更新日: 2023/10/27

法改正で原付免許の定義が変わるかもしれないといった話題が、最近インターネットで出ていたのをご存じの方もいると思います。「どんな改正内容になるの?」「なんで変わるの?」など気になる方に向けて、BDSテクニカルスクールの井田講師がわかりやすく解説しました!

どんな定義に変更される予定なの?

どんな定義に変更される予定なの?
どんな定義に変更される予定なの?

今の原付免許で運転できる車両というのは、排気量でいうと50cc以下となっています。それを今後125ccまでOKにしましょう! という話があるんですが、手放しに125cc全てOKではなくて、最高出力「4KW以下」までエンジン出力を下げる形で原付と同じ扱いにしませんか? というのが現在検討されています。原付並みの性能しか出ない125ccは原付扱いでいいんじゃないっていう話です。

じゃあ、最高出力4KWってどういうこと? と、疑問に持つ方もいると思います。最高出力~KWっていうのは、要は「馬力」に相当します。私も馬力世代なので、あんまりKWで言われてもピンとこないんですが、この数が大きければ大きいほど最高速度が変わってくるんですよね。

そして、今回基準になっている4KWを馬力換算すると大体5.4馬力ぐらい。今、目の前にDio110が置いてありますけれども、最高出力が6.4KW、馬力でいうと8.7馬力と、4KWと超えてるんですよね。私が調べた中では、現在125cc以下で4KW以下の車両っていうのはほぼ0に等しいです。

なぜ法改正が必要なの?

なぜ法改正が必要なの?
なぜ法改正が必要なの?

そもそも今まで通り50ccあるんだからいいじゃん! って感じる方もいると思いますが、これは世界的な問題なんです。近年、排気ガスの規制が非常に厳しくなっています。世界基準になっていて、EURO5とか1km走行するあたりに炭化水素とかの出力を何グラム以下に抑えましょうっていうのが決まっているんですよ。それをクリアしようとすると、技術的なハードルやコスト的な部分のハードルが非常に高いんですよね。小さいエンジンで高出力を出そうとすると、どうしてもエンジンをガンガン回しますから、排気ガスをクリーンにしにくくなります。

もう1つの理由は、50ccの今、世界的な立ち位置。これがちょっと問題。世界中で見て50ccのカテゴリーって縮小傾向であんまり売れてないんですよね。要は、ガラパゴス化してます。実際、日本でもヤマハの50ccオートバイをホンダが作っていたりする時代です。要は50ccの規模がどんどん小さくなっているから、メーカーが協力して何とかコストを回収できるような仕組みを考えているんですよね。排気ガス規制をクリアする車両を造ると、さらに車体価格が上がってコスト回収できそうにないということで、この50ccから、ほぼほぼ撤退状態に近いところにあります。

じゃあその代わりどうしようかというと、今2つの流れがあります。

1つは「電動化」に持っていくこと。そしてもう1つが、今回のテーマである原付の定義を変更して「125cc以下で最高出力を4KW以下にしたら原付扱いでいいんじゃない」ということ。125ccというのは、世界的に見るとグローバルスタンダードです。日本のバイクを世界中で導入する入り口は大体125ccカテゴリーになります。ですから、世界規模で出ている台数が全然違います。なおかつ、既に排気ガスをクリアしている車種もあるので、それをうまく使ってコストダウンをしながら、原付免許で乗れるオートバイを増やそうよ、というのがこの流れなんですね。

今までの免許はどうなるの?

今までの免許はどうなるの?
今までの免許はどうなるの?

いままでの125ccの免許はどうなるのか。正直、どうなるかわかりません(笑)。けれども、今の免許制度でいうと125ccに乗れる免許というのは普通自動2輪の「小型限定」で、今の道交法でいうと、出力関係なしに乗れる・2段階右折も必要ない・最高速度も60km/h出しても大丈夫・二人乗りもできるので、恐らく免許自体は残ると思います。ですが勘違いしちゃいけないのが、今後法改正したとして125ccの4KW以下だから2段階右折しなくてもいいとか、60km/h出していいとか、二人乗りOKとはならないですからね! あくまでも限定条件のものに関しては原付として扱い、今までの125ccクラスの小型限定はそのまま残るのではなかろうかというところです。

また、この議題ってずーっとだらだらやってるわけにいきません。実は2025年11月に、排ガスの規制をしっかりクリアしなくちゃいけない時期が来るので、早い段階で進めていかないと原付免許を取ったんですけど乗れるバイクはありません! という状態が来てしまいます。早めに結論が出ると思いますが、現時点では検討段階ですので、今後の流れに注目です!

【二輪自動車整備士講師 井田安彦】 BDSテクニカルスクール講師
◎保有資格
2級二輪自動車整備士、2級ガソリン自動車整備士、2級ジーゼル自動車整備士、自動車検査員、二輪車安全運転指導員

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二輪整備士国家試験、3期連続合格率100%を達成
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BDSテクニカルスクールHPhttps://www.bds.co.jp/technicalschool/

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