公開日: 2021/01/25
更新日: 2022/09/06
スーパーで買い物をする時、商品をカゴに入れレジで会計を行い、荷物台で袋に詰める。この光景は、技術が進歩しているにも関わらず何十年も変わっていない。混雑時には、順番が来るまでレジで並ばなければならない。そんな状況を打破する、画期的なシステムが開発された。セルフレジ機能が付いたスマートショッピングカート(以下、スマートカート)がそれ。
スマートカートとは、㈱トライアルホールディングス傘下の「㈱Retail AI」というIT企業が開発した、キャッシュレス決済機能付きタブレットを搭載した画期的な製品。ユーザーは商品のバーコードをカートに備え付けのバーコードリーダーでスキャンしながら買い物をすることで、有人レジやセルフレジを使用せずに、カートで会計を済ますことができる。つまり、カート1台でレジの役割を果たしているのだ。
スマートカートには、他にも特長がある。ケースの飲み物やお米などの重たいモノを購入する際、わざわざ持ち上げてスキャンしないで済むよう、バーコードリーダーは伸ばして使用することも可能。また、バーコードを読み取ると自動的にクーポンが発行される。そのため、レジでクーポンを提示する手間を省くだけでなく、使い忘れも防ぐことができる。さらに、購入前に合計金額が分かるため、計画的に買い物を行えるのも魅力となっている。
精算する際は、会計ボタンを押すと決済に必要な専用のプリペイドカードから合計金額が引かれる。そして、専用ゲートでスタッフによる支払いの確認を済ませば、あとは帰るだけ。この時、マイカゴ(マイバック)をスマートカートに装着していれば、袋詰めせずに、そのままカゴごと持ち帰ることもできるのだ。
10月26日にNHKで放送された「おはよう日本」では、実際に利用したユーザーが「会計の時間が短縮されて便利」「いくら買ったかが分かるので、買いすぎを抑えられる」「子どもたちも喜んで手伝いをしてくれる」などの感想を述べている。
スマートカートを導入することで、スタッフが商品に触れることなく、また現金のやり取りを行わずに精算を済ませることができる。つまり、“withコロナ時代〟に求められる、人との接触を減らすという課題の解決にもなるのだ。さらに、スマートカートのホームページには、同カートを使用することで、通常レジの約1/4の時間で会計ができると掲載されている。そのため、店舗にいる時間の短縮にもつながり、ウイルス等への感染リスクも軽減してくれるのだ。
現在(12月4日時点)、トライアルグループが運営するスーパーでは、23店舗で約2500台のスマートカートが稼働している。慣れるまで時間はかかるかもしれないが、今後、上記のようなセルフレジ機能を搭載したカートが普及すれば、買い物の新しいスタイルを確立することとなる。いつかスーパーの至る所で、バーコードをスキャンする“ピッ”という音が響きわたる日が訪れるかもしれない。
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