公開日: 2022/01/27
更新日: 2022/09/06
SWLブランドの特徴は日本人の足型に合わせたEワイズと、生活様式に合わせたサイドジップの採用。伝統あるワークブーツのデザインと日本のモノづくりが融合した商品である。日本人が履くことを前提とされたプロダクトは、いま、多くのライダーの注目を集めている。
バイクの嗜好が多様化している現在、ライディングブーツに求められているのは、機能とデザインの両立である。
2000年代、ハーレーの台頭と同時にアメリカンカジュアルが大流行し、いわゆるワークブーツがライダーの足元を支えてきた。ブルーワーカーに愛用された伝統あるブランドは、堅牢さとファッション性を兼ね備えている。しかし、それらは全てアメリカ人の足に合わせて設計されており、幅広で甲が高い日本人にはマッチしないという現実があった。
今回紹介するSlow Wear Lion(SWL)は2001年に設立され、2007年以降は全商品を国内生産しているメイドインジャパンのブーツブランドである。日本人の足型に合わせたEワイズの木型を熟練職人と開発し、靴の脱ぎ履きの多い生活様式に合わせて、サイドジップをワークブーツとしていち早く採用した。SWLブランド製作・販売する株式会社トレードウインドの近藤雄太さんにお話を伺った。
「基本的にはタウンユースとして気軽に愛用できるブーツを目指しています。デザインのインスピレーションはこれまで輸入してきたブーツブランドの影響を受けています。ワークブーツがメインですが、ミリタリー系も好きです。ファスナー付きのインスピレーションはファイヤーマンブーツ(消防士の為のブーツ)から受けました。過酷な条件で働き、緊急を要する場面で使用するブーツなので、編み上げブーツはジッパー仕様で簡単に着脱ができてスピーディーです」
大手シューズ販売会社から自身のキャリアをスタートした近藤さんは、自身もかなりのブーツマニアであった。その拘りは、SWLの商品の細部を見れば納得できる。例えばマスターピースであるOB8593Hに使用されているサイドジップのファスナー。120年以上前に創業したアメリカのユニバーサルファスナー社は、長きに渡りアメリカのワークウエアの部材を供給し続けてきた。その歴史を受け継いだ日本のYKKが時代考証を徹底的に行い、ヴィンテージさながらの風合いで甦らせている。クラシックなディティールに、日本の確かな技術を備え、機能性は世界水準で安心できる。アッパーレザーにはシカゴのホーウィン社から輸入した、肉厚なクロムエクセルレザーを使用。ソールには堅牢なビブラム#100を使用して、ステッチダウン製法で作り上げている。
「ストップ&ゴーを繰り返すバイク乗りのソールの消耗は早くなります。修理の窓口としてお客様が履き込んで消耗してしまったソール交換などを有償修理で承っています。お客様が履き込んだブーツを預かるので、オーナーさんの愛用しているシーンを思い浮かべて、新商品の開発の参考にさせて頂いています。私たちが想像していなかった部分の劣化などを発見した場合などは、部材の品質向上などを工場と話し合い、マイナーチェンジを重ねていきます」
近藤さんは40歳を過ぎてから免許を取得し、現在も98年式のFXSTCを愛車としている。バイクに乗ることでライダーの気持ちを理解し、その声を商品開発に生かせるようになったという。
「日本人の作るモノには見た目の派手さはありませんが、未来まで見据えた配慮、丁寧な作り込みが施され、海外からの評価・信頼度が高い商品も少なくありません。その世界に誇れるモノづくりを、日本人自身が胸を張って体感してください」
機能とデザインの完全なる両立。日本人のモノづくりが、バイクブーツの完成度を更に高めることに成功している。Slow Wear Lionの逸品を是非体感して頂きたい。
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