公開日: 2023/11/03
更新日: 2023/11/14
バイクをより魅力的な商品として販売する手法はあるのか? コロナ需要が終焉し、アフターサービスと新規ユーザー獲得に向けたマーケティングが、二輪業界には求められている。
二輪販売店にとってのオリジナルとは何なのか? 独創的と解釈するのが妥当ではないだろうか。独創的とは「模倣によらないで、自分の考えや着想でこれまでにないものをつくり出すこと」(※コトバンク/日本国語大辞典)とある。
メーカー直営ディーラーは別として、中小の販売店経営者が独自の経営方法を模索するのは当然のことだ。各店舗の特色がユーザーの選択肢となり、魅力があればリピート率も高くなる。しかし、あくまでも商材は量産バイクであり、ライバル店との差別化はとても難しい。仮に優れたオリジナルパーツや卓越した整備技術を持っていても、HPや飽和状態のSNSでの自社アピールの手法には限界が見えている。
ロアーズ・オリジナルというバイクファッション・ブランドがある。東京の西麻布に店舗を構え、某所にある工房と行き来しながら、代表の高橋生児さんは今日も店頭に立っている。ライダースブーツ、グローブなど、革を中心に展開する商品はどれも高橋さんの想いが詰まったまさにオリジナル。そのファン層は幅広く、多くの著名人も愛用している。
ロアーズは2003年にカスタムバイクショップ&ファッションブランドとして仙台を拠点にスタート。オリジナルのライダースジャケットの製作を転機にブランドは躍進を続け、今年で20周年を迎えた。現在は東京西麻布とフランスのパリに販売拠点を置いている。ファッション界でその魅力に囚われたファンによって、その名は全世界に知られている。
我々が注目すべきは、商品のクオリティのみならず、ロアーズの背景にある都会的なブランドイメージである。過去のインタビューでは「とりわけ東京をイメージしてデザインしている訳ではない」と高橋さんはコメントしている。しかしロアーズのHP、SNSからは、あらゆるカルチャーの発信源として成長を止めない「東京」の自由奔放さ、時に野蛮な息遣いすら感じられるのだ。
オリジナルを謳うバイクファッション・ブランドは無数に存在するが、明確な世界観がこれほどまでに浸透しているブランドが他にあるだろうか。ロアーズを纏ったライダーは「バイクに乗っている自分も何者かに進化できる」そんな期待に胸を躍らせているに違いない。
日本は世界一のバイクメーカーを擁する国であるが、バイク文化という点では、欧米に及ばないのが実情だ。モーターサイクルの歴史的・文化的価値を検証しないまま、大量消費の道を突き進んだ時代もあった。しかし新旧モデルが同居する、現代のバイク事情は、単なる使い捨ての移動手段や一過性のブームから既に決別した。多種多様な嗜好を持つ新たなユーザーが、日本の二輪文化の輪郭を構築しつつあるのだ。大きな転換期である今だからこそ、ファッション、サブカルチャーなど、あらゆる要素を取り込んで、独創的なブランドイメージを発信するロアーズ・オリジナルに学ぶべきことは多い。
「バイクを手に入れた先にある楽しさ」をお客さまにどのようなカタチで提供するのか。これが二輪販売事業者に課せられた今後の重要課題である。
ロアーズオリジナルは日本独自のミックスカルチャーを武器に「モーターサイクル・ファッション・アート」の融合を目指し、新しい可能性に挑戦しているブランドです。ROARS ORIGINAL is a brand based in Tokyo, Japan, combining its passion for motorcycles, fashion and art to create a style unrivaled.
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