公開日: 2025/05/27
更新日: 2025/06/05
伝統のスタイルに現代の技術が加えられた2025年モデル「ロイヤルエンフィールド クラシック350」を、バイクジャーナリスト小林ゆきさんが試乗インプレ! さらに小柄な方に嬉しい“ローライドシート”の足つきチェックも行いました!
今回は東京の超高級住宅街を出発しまして、街中を試乗してまいります。ロイヤルフィールドクラシック350は伝統的なスタイルで日常使いを楽しく、楽になるよう開発したと先ほど説明会で発表会がありました。
乗り味として、まずスペック。シート高は805mm、装備重量は195kgとなっています。やはりグローバルモデルですし、特にインドで一番売れているということなのである程度大柄だったり、インドの道路事情に合わせての構成になっているかなと思います。なので、空冷の350ccのエンジンですけれども、シート高は少し高めです。実際にまたがって乗っている状態だと、私の場合はやはりちょっと左右にオフセットさせないと両足は着かないです。重量は乗っている限りすごく重い感じはないです。
渋滞でかなりゆるゆる走っていますけれども、クラシック350の本領発揮を感じております。単気筒の一般的なウイークポイントを挙げるなら、スロットルを減速させるために戻した際にエンブレがめちゃくちゃ効いてしまうというのがあります。ですが、よくある渋滞のシチュエーションで開けて戻してをした時のギクシャク感がかなり薄い。その肝というのが、エンジン内部のバランサーなんですけれども、その辺をしっかり作り込んであるので低いギアでもギクシャク感がないです。そして5速までということで、1つのギアに対してレンジが長く、ギアチェンジを頻繁にすることなくスロットルのオンオフで進む、止まることができるようになっています。なのでゆるゆると進んだだけでもその恩恵をめちゃくちゃ受けております!
先ほど発進に戸惑ったんですが、なぜかというとステップが結構前の方にあるんですね。ちょうど椅子に座っているような、膝を直角に曲げた真下にあります。私が普段スポーツタイプのバイクばっかり乗っていたりするので、どこにステップがあったんだっけ? みたいに足が泳ぎましたが、このステップの位置は特に小柄さんは恩恵を受けると思います。信号待ちとかで足を着く場面だとそれを邪魔するところにステップがないので、シート高805mmとはいえ不安感が全然ないです。
ブレーキはシングルディスクなんですね。いわゆるバイブレというブランドのキャリパーを使っております。バイブレというのはバイブレンボの略で、ブレンボという世界に誇る非常に高精度なブレーキを作っている性能がありますので、シングルディスクで十分という判断なんですよね。そしてABSも付いております。ただちょっと気になっているのが、レバーが結構幅広の平らなブレーキレバーになっていて、背がちっちゃい人は逆に扱いづらいかなと思います。
では加速していますが。フロントのサスペンションが実に気持ちいい。ちょっと高級なサスペンションが付いているみたいにブレーキ握るのと連動して、一瞬一瞬気持ちいい感じで沈みます。今まで単気筒のバイクというと、どうしてもサスペンションは安くてもいいのかみたいな作りのものが多かったですが、しっかり奥でググッと支えるような感じがいたします。
そしてハンドリングはオーソドックスですね。思った方向に素直に曲がってくれます。これは想像ですけれども、奥でしっかり支えてくれるようなサスペンションですと、二人乗りの性能もいいのではないかなというふうに思いました。タイヤのサイズは19インチ・18インチということで、スポーツ性能を狙うという意味であえてやや狭めの細めのタイヤをチョイスするというのが軽やかなハンドリングを生んでいるのかなというふうに思います。
信号待ちで思わず眺めてしまいましたが、ヘッドライトの上にちょっと小さめの丸いメーターが付いています。ロイヤルフィールドの母国でもあるイギリスの往年の1920年代、30年代もこういったフラットなところにメーターを集めてデザインするっていうタイプがありましたが、その往年のデザインが詰め込まれています。ですが実はデジタル的な要素もありまして、ビンテージバイクのようなデザインをしておりますけれども、現代のハイテク機器の液晶パネルだったり、USBソケットなんかも標準装備しています。
ローシートカスタムしたモデルを用意していただいたので、こちらも足つきチェックをさせていただこうかなと思います。私のスペックは身長160cmの50kg、手足がちょっと短めでございます。カスタムできるシートの種類もいろいろあって、ローライドシートは自転車のように前が細くなっており、シート高は773mmとなります。
では早速またがってバイクを直立させますが・・・全然楽勝です。カスタムパーツがいろいろ付いているので恐らく200kgを超えているかなと思いますけれども、言うほど重くないし、左足の脚力だけで車体を起こせました。先ほど試乗した車両よりも大分軽くて、ローシートがすごく効いている感じがします。車体を支えている脚も膝がちょっと曲がっていて、足の親指の付け根がしっかり付いている状態なので、自分が今ほぼほぼ真ん中に座っています。先ほど試乗したモデルは常にちょっとオフセットしていないといけなかったので全然違います。
踏み変えは、一応両足ギリギリつくかつかないかぐらい。私は短足なので普通の脚の長さの方なら着くと思います。ですがシートの前が自転車のように細くなっているので、全然お尻をずらすことなく踏み変え楽ちんです。そしてサイドスタンドは試乗した際も硬かったのですが、こちらも同じくらいの硬さで何とか出し入れすることができました。やはりローライドシートが一番気軽に乗ったり降りたり、信号待ちができるかなと思うので私ぐらいのサイズ感の方は非常にオススメです。
ということで、クラシック350を試乗してまいりましたが、一番特筆すべきはエンジンのチューニング。かなり低速でも粘りがあり、シフトチェンジを頻繁にすることなくスロットルのオンオフだけで渋滞も走ることができるので、ストレスなく街中でも楽しめるようなバイクになっているかなと思います。そして350という排気量ですけれども、デザインとしてタンクが丸っこく、横に張り出した感じもあり、全体的に何もかもちょっと太いんですよね。レバーであったり、樽型グリップであったり、フロントフォークもカバーされているので、350ではなく2回りぐらい大きなバイクに乗っているという感じがします。その辺もライダーの所有感を満たしてくれますね。
ロイヤルフィールドというのはもともとイギリスのブランドで、インドに移りまして長い歴史の中でずっと古いモデルをかたくなに作り続けてきたという歴史があります。それがかえって本物志向のザ・クラシックというデザインで今の技術を盛り込んで作ることができたのかなというふうに思います!
【小林ゆきさん略歴】
横浜育ちのバイクブーム世代。バイク雑誌の編集者を経て、現在はフリーランスのライダー&ライター。バイクを社会や文化の側面で語ることを得意としている。愛車は総走行距離25万kmを超えるKawasaki GPz900RやNinja H2など10台。普段から移動はバイクの街乗り派だが、自らレースに参戦したり鈴鹿8耐監督を経験するなど、ロードレースもたしなむ。ライフワークとしてマン島TTレースに1996年から通い続け、モータースポーツ文化をアカデミックな側面からも考察する。
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