公開日: 2025/10/01
更新日: 2025/10/02
240mmの極太リアタイヤが象徴的なモダンチョッパー「ブレイクアウト」。フューエルタンクのペイントやグラフィックデザインも一新され、新たな装いとなっています。今回はバイクジャーナリスト小林ゆきさんと、BDSバイクセンサーイメージガール竹川由華さんが試乗インプレを行いました! 日本でも人気の高い1台です!
小林―――こんにちは、バイクジャーナリストの小林ゆきです。今回は2025年型のブレイクアウトに試乗します。私の短い脚ではフロントブレーキに届かないので、前寄りに座って対応します。ここは都内の海っぺりの道路です。制限が厳しいので、あまりスピードは出せませんが、車が少ないので優雅に走る雰囲気は味わいつつやっていこうと思います。
新型ブレイクアウトに乗るのはこれが初めてですが、色々と変更点があります。まずハンドルが変わりました。これまではハンドル内に埋め込まれていたメーターが、今回は独立したアナログメーターに変更されています。これが非常に見やすい。ハンドルポストの位置が高いので、フルフェイスのヘルメットを被っていても、顔を動かさずに目線の移動だけでスピードを確認できます。
サドルシートの最も前に座り、Uターンを試してみました。フロント周りが驚くほど素直に、スススッと曲がってくれる印象でした。このハーレーダビッドソンの排気量は、約2000cc。一般的な乗用車でもなかなかないほどの排気量です。そのビッグボア、ロングストロークのエンジンは、ツイン特有の図太いトルクが魅力です。しかし、それゆえに「極低速でのUターンやコントロール性はどうか?」と気になる方もいるでしょう。このあたりは、やはり2025年型のハーレーダビッドソンは違いますね。電子制御によるコントロールが、非常に丁寧な感じがいたします。
もう一度、Uターンに近いコーナリングを試してみます。フロントもリアも本当に素直に曲がってくれます。私の短い腕と脚では少し足元が足りない感じがしますが、かなり車体を寝かせることができますね。おそらく、もう少し寝かせるとステップが路面を擦り始めるかもしれません。グリップは、以前よりも握りやすくなったと感じています。わずかな違いですが、これまでのハーレーの太いグリップとブレーキレバーは、手の小さな方には操作しづらい印象でした。しかし、新しいグリップは、恐らく数mm程度の差ではあるものの、太さが気にならないレベルに改善されています。国産スポーツバイクと比べればもちろん太いですが、これまでのハーレーと比べると、操作が格段に楽になったという印象です。
次にシート周りです。サドルシートは、先端は細いものの、座面が意外と広く、太もも周りはエッジで広げられている感じです。足の長いライダーには、シートが肉厚で座面も広いので楽かもしれません。残念ながら、私はちょっと体格で負けています。
排気量は大きいブレイクアウトですが、全体的なパッケージは意外と気軽に乗りやすいように感じます。カウルやフェアリングがないタイプなので、取り回しが素直なこともあり、日常使いもできるのではないでしょうか。初めて大型ハーレーを体験する方にも、これは楽しめる1台だと思います。
小林―――ということで、由華ちゃん。今日はブレイクアウトに乗ってみてどうでしたか?
竹川―――はい、真っすぐ走るのはすごく楽しいですね。1速でもパワーがあるので、最初ちょっとアクセルの開け具合に悩んじゃって、「ウオッ!」、「オォッ!」ってなっちゃったんですけど。
小林―――確かに1速だとそうなんだよね。
竹川――でも、2速、3速に入れた後の安定感もすごいですし、Uターンも不安だったんですけど、ハンドルがよく切れて「こんなに切れるの?怖い!」って自分で少し戻しちゃったくらいでした。でも、バイクの言うことを聞いて乗っていれば、しっかり曲がることもできる、本当に乗りやすいバイクだなって思いました。このシート、振動を感じないですね。シートがっていうんですか、車体自体がですか?
小林―――そうですね、サスペンションもいいんだと思います。あと、このシートは前モデルよりも肉厚になっていて、スポンジも若干柔らかくてコシがある感じです。
竹川―――だからといって、ハーレーの特徴的な振動が感じられないわけではなくて、音は足元から感じられるし、ハンドルからはしっかり伝わってくる印象でした。ハーレー独特のドクドク感が。
小林―――やっぱり目の前にすると、特にライダー目線だと幅が広く、大きく感じます。写真や遠くから見るとシンプルな車体なのでそこまで大きく感じないんですけど、やっぱり近くで見ると「ああ、ハーレーだな。でっかいな」と感じます。
竹川―――遠くから見るとシートも低く見えて、「足つきめっちゃいいじゃん」って思うんですが、マフラーが出ている分、足がちょっと遠くなるので不安に感じるかもしれません。でも、しっかり足はつきます。クラッチがちょっと硬かった。でも調整できますもんね。
小林―――位置は多少調整できますが、レバーが太い分、重さに加えて操作性も厳しく感じるかもしれません。それは調整すれば良いことですね。
私のまとめですが、ブレイクアウトはフェアリングがないシンプルな車体ですが、意外な点がたくさんあります。まず、エンジンはミルウォーキー117のエンジンなので、ハーレーの中でもいちばん大きい2000ccクラス。1速ではものすごいトルク感ですが、2速以上はフューエルインジェクションや電子制御が効いていて、非常にコントロールができました。車体の構成でいうと、私の体格だとステップが思ったより前についていて、フロントブレーキを踏めない位置関係なんです。これはシートの形状によるもので、お尻が後ろに下がる形なので足が届きづらいんですよね。もし同じ悩みを抱えている方がいれば、カスタムパーツのシートを探してみると乗りやすくなると思います。
竹川―――シートを変えると乗りやすくなる?
小林―――なると思います。同じようにレバーの形もパーツが出ているので選べると思います。前モデルと一番違うのは、アナログのスピードメーターです。これは運転していてすごく見やすかった。ライダーの運転しやすさに寄せたのかなと感じました。すごく楽しかったブレイクアウトですが、我々、発表会では足つきをちゃんとやっていなかったので、改めてやってみましょう。発表会では固定した状態で、またがって起こすところだけは試したんですけどね。じゃあ、由華ちゃんお願いします。
竹川―――失礼します。やっぱり車体が重いので不安はありますが……。はい、足つきは全然大丈夫ですね。まず、ステップが出た状態で左足は膝が曲がっていて、右足は宙に浮いている状態です。夏でマフラーが熱いと怖いので少し浮かせています。はい、今両足ついてますね。かかとまでしっかりべたつきです。ただ、べたつきにするといろんなパーツに足が当たります。夏は熱すぎるので、足は遠目に出して、親指でつくくらいがいいかもしれません。
かなり前目に座っています。ちょっと後ろに座ると、腕が遠く感じます。しっかり踏ん張ることはできますが、母指球がつくかなくらいで、かかとまでつけようとするとやっぱりパーツに当たってしまいます。サイドスタンドは払えるかな? ハーレーって発進の時に、ステップを払えるイメージなんですけど。サイドスタンドのツノに足は届くんですけど、払うことはできない。
小林―――あ、そうそう。地面につかえるんだよね。だから一旦右側に少し倒さないといけない。でも、その感じが恐ろしいと。ハーレーのサイドスタンドは何年経っても慣れませんが、ロック機構がついているので安心して大丈夫だそうです。
では私がやってみたいと思います。由華ちゃんは162cm、私は160cmの短足です。はい、またがります。このままステップに一応足は乗るんですけど、力を加えるのは難しい。でも、あ、全然そんな力いらないかも。はい、起こしました。サイドスタンドを払います。やはり重心がとても低いので、ステップを踏み替える動作ができる人なら乗りこなしは問題ないと思います。
私も今一番前に座っていますが、このシートの形状通りに後ろに座ると、なんと足が……届かないんですよ。つまり、右足もブレーキが踏めないので、踏める位置に座るには、ぎりぎり前に座る感覚ですね。このくらいまでいけば、ハンドルも楽な位置にできます。身長160cmくらいの方でも、なんとか起こしたりはできるということが分かりました。さて、由華ちゃん。一応取り回しをやってみましょう。
小林―――前に押す動作ですが、バイクを立てて押すのはハンドルの位置関係でやりにくいんですよね。できなくはないですが、ステップにすねをぶつけました。バックもやりにくいので、そういう場合は腰をバイクに預けるというか、バイクと人間が支え合う形で前に押します。ちょうどサドル型シートのあたりにお尻を入れて、お尻で押す感じです。この動作はだいぶ楽になります。
ハンドルを切って前に出すのも、この動作のままバイクを立てているとやりにくいので、もう寄り添い合うようにします。バックも同じです。ハンドルを右に切ったらどうでしょうか。これは立ててでもできますね。支え合っても楽です。バックはどうでしょうか。ちょっと重さはあります。バイクから離れると、やりづらいというよりは重さがきつかったです。今こんな感じで、一瞬右側に傾けなきゃいけないというのもあって、「本当に大丈夫なのか」と思うんですけど。ということで、色々やってみました。
バイクと人間が支え合う形で重心バランスを取れる位置を見つけられれば、すごく押しやすかったです。ただ、さっきのようにステップが微妙な位置にあるので、特に前に押す時に足をぶつけたりするかもしれませんが、なんとか300kgの車体でも押し引きできるということが分かりました。ということで、ブレイクアウトはいかがだったでしょうか? 私は、一番気になるのはいろいろな色があることでした。
竹川―――そうなんですよね。カラーバリエーションが豊富でした。前回から並べてみたいなって思いました。
小林―――目の前にあるこの黒いカラーはいかつい感じがしたけど、今日は他の色も見られて気になりました。はい。ということで、今日はブレイクアウトに乗ってみました。
竹川―――とても楽しかったです。また、まっすぐな道で乗りたいなって思いました。また次の動画でお会いしましょう!
【小林ゆきさん略歴】
横浜育ちのバイクブーム世代。バイク雑誌の編集者を経て、現在はフリーランスのライダー&ライター。バイクを社会や文化の側面で語ることを得意としている。愛車は総走行距離25万kmを超えるKawasaki GPz900RやNinja H2など10台。普段から移動はバイクの街乗り派だが、自らレースに参戦したり鈴鹿8耐監督を経験するなど、ロードレースもたしなむ。ライフワークとしてマン島TTレースに1996年から通い続け、モータースポーツ文化をアカデミックな側面からも考察する。
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【竹川由華さん略歴】
滋賀県出身のアイドル。愛称はゆうかりん。第二回サンスポGOGOクイーン審査員特別賞受賞。バイク好きの両親の影響で、自身でもツーリングに行くバイク女子。愛車はGPZ750・CBR250RR。2022年3月「BDSバイクセンサー」のイメージガールに就任。バイク好きアイドルとして活動の幅を広げている。
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300kgの車体でもなんとか押し引きできる!
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