公開日: 2020/12/18
更新日: 2022/09/06
新型コロナウイルス感染の収束が見えない中、ついに季節性インフルエンザの流行時期が訪れようとしている。10月1日より全国の市町村でインフルエンザワクチンの接種が始まったが、今シーズンのワクチン供給量はどれくらい確保されているのだろうか。
インフルエンザワクチンを接種すると体の中に抗体が作られ、体内に入ってきたインフルエンザウイルスを攻撃する。感染までは防げないものの、これにより発症率を下げ、また発症しても重症化のリスクを大きく減らす効果が期待されている。ワクチンは接種してから免疫ができるまでに2~3週間程度かかるとされており、その有効期限は約5カ月。そのため、流行シーズンの12月~3月に効果を発揮するよう、11月中旬までに接種することを推奨している。
今シーズンはコロナの影響もあり、ワクチン接種希望者数が例年を大きく上回っている。厚労省が9月11日に発表した「季節性インフルエンザワクチン接種時期ご協力のお願い」によると、今年の国内のワクチン供給量は約6300 万人分を見込んでいる。これは前シーズンから約400万人分増加した数字で、過去5年間で最大量となっている。また厚労省は、医療機関に対しワクチンの優先接種に関する要請を行った。10月1日からは65歳以上の高齢者、そして26日からは医療従事者、基礎疾患のある方、妊婦、生後6ヶ月~小学2年生までの乳児や児童が対象となった。
さらに、新たな取り組みとして日本医師会では、多くの人に満遍なくワクチンを提供するため「ワクチン納入状況報告システム」の試験運用を開始した。これは、都道府県別のワクチン不足・偏在状況の情報を共有し、補填しあう全国システムを作り上げることを目的としている。集計結果は2週間に1回更新され、日本医師会のサイトに掲載されている。
インフルエンザワクチンを打つことで重症化のリスクを下げることができるが、実際にどれくらいの効果があるのだろうか。厚労省が発表した、国立感染症研究所ウイルス第3部WHO インフルエンザ協力センターの田代眞人氏の報告によると、ワクチンを接種することで、65歳未満の健常者のインフルエンザ発症者数が70〜90%減少することが分かっている。また肺炎などを併発し重症化する65歳以上の高齢者の割合が30~70%減少することや、介護施設入居者の死亡率を約20%に低減させる効果があったことも明らかとなっている。
ここで、コロナとインフルエンザに関する興味深い話があるので紹介する。つい最近までインフルエンザが流行しやすい冬であったオーストラリアでは、ワクチン供給量が全国民の約70%(1750万人分) であった。けれども、去年8月の感染者数と比べると1/10に収まっていることが分かった。これは、コロナ対策がインフルエンザ対策にも有効的であることを顕著に示している。そのため、コロナだけではなく、インフルエンザ予防のためにも、私たちにできる感染対策を続けていく必要がある。コロナ対策を続けることが、インフルエンザ対策に直結するのだ。
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