公開日: 2021/07/28
更新日: 2022/09/06
レース界での輝かしい戦歴で日本のコンストラクターとして不動の地位を確立、これまで高度なチューニンングパーツを開発・販売してきたヨシムラジャパン。今回は新商品であるカワサキZ1 MIKUNI TMR-MJN28・32キャブレターの開発責任者である川口さんにお話しを伺った。
今夏ヨシムラジャパンから、絶版車市場において不動の人気を誇る、カワサキZ1用の新商品が発表された。ヨシムラMIKUNITMR - MJN28キャブレターとMJN32キャブレター(正式名称・価格は未定)である。注目すべきはSTDのエアクリーナーBOXに装着できるということ。驚くことにZ1の純正口径と同様のφ28がヨシムラTMRのラインアップに加わったという点である。
これまでのヨシムラアプローチはまず排気系(マフラー)を変更し、次に吸気系(キャブレター)そしてカムシャフトの変更やボアアップといった、レースシーンでのノウハウを生かした「チューニング理論」が根底にあった。しかし今回発表された28φは純正マフラーの使用を前提としており、ノーマル車両を愛するコアなユーザーに寄り添った商品と言える。
「これまでヨシムラパーツを購入されるのは改造・チューニングを好むユーザーが殆どでした。でも最近は、4本マフラーで乗りたいという希望がとても多いんです。でも古くなった純正のVMキャブは修理がとても困難で、完調にならない。ならばそれに対応できるキャブレターを造ればいいと考えました。以前から絶版車ユーザーの『エンジンを大切にしたい』という声はありました。3年前にCB400FOURのTMR - MJNはその声に応える形でエアクリーナーBOX仕様を追加しました。その開発過程で『吸気音を押さえるとマフラーの音が良く聞こえて気持ちがいい』という事実に我々は気が付きました。その頃にZ1のエアクリーナーBOX仕様も構想しました。今回一番大変だったのは程度の良いZ1を入手し、エンジンをOHし車体をレストアする手間と時間でしたね(笑)」
ヨシムラが開発用としてZ1を購入しているということは、当然次なる商品の開発に着手していると期待が高まる。
「我々がZ1を購入したのは勿論、キャブレター開発のためだけではありません。Z1に関して改めてスタート地点に立ったという感じです。ヨシムラの歴史にとっても重要なZ1に恩返ししたい気持ちもあります」
来年で生誕50周年を迎えるZ1がヨシムラの歴史に新たな1ページを加えるかもしれない。日本が誇るべきコンストラクターズの今後に注目していきたい。
今回紹介した新商品の詳細については、ヨシムラのホームページにおいて発表されるのでしばしお待ちを。昨今、メーカー・排気量を問わずに様々なパーツが充実しているヨシムラジャパン。しかし同時に粗悪なコピー商品が出回っている事実をBDS関係各位に報告しておきたい。充実したヨシムラの自社ホームページから詳細を入手できるので、新商品の情報・在庫状況・仕様・価格をチェックした上で、確かなルートから正規品を購入するようにご注意願いたい。
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