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3分でわかる中古車ビジネスの“ツボ”「四輪ディーラーでの体験を分析。購入の決め手は?」

公開日: 2022/04/01

更新日: 2022/09/06

中古車ビジネスを行うにあたっての、ちょっとしたポイントを主要テーマとし、インタビューを交え掲載。今回は「四輪ディーラーでの体験を分析をもとに購入の決め手」についてまとめている。

回ったディーラーは全部で4店“落差”の大きい営業マンの対応

~営業マンのセールスポイントのコツ~
ある四輪雑誌の編集者を通じて知り合ったAさんから、四輪ディーラーでの応対に関する面白い話を聞いた。クルマとバイクとの違いはあるが、興味深い内容だったので紹介する。ただ、これはコロナが流行する数か月前の話。現在とは状況が異なることをご了承頂きたい。

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Aさんは新車のミニバンを探していた。候補は3車種で予算は車両本体で300万円以内。各メーカーのディーラーを4件(そのうち2件は同系列)回ったが、その時の各店の対応について話してくれた。その内容について、ユーザー目線で紹介する。

【訪問ディーラー】
「A店」幹線道路沿いの店。担当営業は30代半ばぐらいの、おとなしい感じの男性
「B店」A店と同じ系列。ディーラー激戦区の国道沿い。担当営業マンは50歳前後。話し方の上手な中年男性
「C店」系列の中古車店が隣接している。担当営業マンは20代ほどのおっとりとした男性
「D店」よく子供向けのイベントを開催しているのを見かける。担当営業マンは、受け答えのしっかりした45歳前後の男性

営業マンの対応は千差万別ポイントの一つは情報量

まずはA店。「今日は何をお探しですか」。入店すると、営業マンが声をかけてきた。ミニバンの〇〇を検討していることを伝えると、「クルマはあるのですが、納車待ち車両が1台あるだけなので、それで宜しければご覧頂けます」と言われた。お願いすると、クルマの元へ案内された。

シートをフルフラットにするやり方やリヤのエアコンについて質問した。営業マンは質問に対し答えるだけで、それ以上の説明はあまりない。試乗は無理だろうと思いつつ聞いて見ると、「〇〇店からまわすので、2日後ならご用意できます」との回答。それを聞いた時、〇〇店に行けば今日、乗れるんだ、と咄嗟に思った。

店内に戻り説明を受けるが、カタログを見ればわかる内容に終始。その営業マンの考えや提案といったものはない。購入を検討している車種は何かが分かっているにも関わらず、他のクルマの話も出された。結局、あまり得られるものはなかった。見積もりは依頼しなかったが、営業マンに聞かれることもなかった。

続いてB店。A店を出た直後に向かった同系列の店だ。真っ先に「〇〇を検討しているのですが、試乗はできますか?」と確認する。ちょうどいま試乗車があるのですぐにお乗り頂けますよ、と言われた。助手席に乗り込んだ営業マンは、3列シートの説明や、ラゲッジスペースの許容量、高速道路での追い越し加速のし易さや燃費について、ひと通り説明してくれた。来店客が質問してくる話を把握しているようで、聞かれる前にひと通り話をしておこう、そんな感じだった。

商談テーブルで説明を受けた時も、メーカーオプションとディーラーオプションの違いに始まり、使い方の提案やどういう層の人が購入しているのか、といった、興味を持ちそうな話を矢継ぎ早にしてくれた。「〇〇のある生活」を想像すると楽しくなるような話が多かった。

次にC店。欲しいクルマを伝えると、「いま全色揃っているので、全部ご覧になれますよ」と営業マン。4色の設定カラーをすべて確認し比較できるという。クルマに乗り込みグレードによる装備の違いや駐車アシスト機能などについて細かく説明してくれた。

会話のなかで感じたのは、「〇〇様以外にクルマを運転される方は?」とか、「何人で乗ることが多いでしょうか」といった会話を挟んでくること。直接的に家族構成を聴くことはないけど、質問を分散し聞くことで把握できるため、「3列シートがお勧めです」といった具合に提案してくれる。

家族構成が分かると、子供がいた場合、免許取得年齢になった時に営業をかけることもできる。効果的なやり方だ。

何よりも、質問したことについては、すべて回答が得られる。「確認します」というフレーズは一切ないのが素晴らしかった。

最後はD店。実車確認と説明のどっちを先にするかについては、何も聞かれることはなく、すぐにテーブルに案内された。そこで名刺を渡され、実車確認と説明のどっちを先にするか聞かれた。おそらくマニュアルに則ったやり方であり、上品な感じはあるけど、先にクルマを見たい私にとっては、効率という視点で見ても、最初に聞いて欲しかったと感じた。

一旦、座ってしまったので説明から受けたが、特段、提案的な説明はなく、ネットで得られる情報しかなかった。

でも、その後、唐突に「試乗致しますか?」と言われた。そのつもりでいたので、「お願いします」と言うと、「すぐに表に回しますね」と急にアクティブな感じになった。

クルマに乗り走り始めると、それまでとは打って変わり、実は自分もこのクルマに乗っている、とか、低床なので、祖父や祖母を乗せるのに便利、といった話をしてくれた。意外だったのは、慣れるまで車幅感覚が掴みにくい、という話をしてきてくれたところだった。この急変ぶりには驚いたが、自分の話をすることで、私に親近感を抱いてもらおうと思ったのかもしれない。

その営業マン自身も乗っているだけに、街乗りレベルでの燃費や高速を使った時の燃費、アクセルの応答性などを詳しく教えてくれた。

“個人インプレッション”としてデメリットを話すことで信用を得た営業マン

結局、Aさんが購入したのはD店からだった。営業マンの対応が良かったB店のクルマと迷ったようだが、最後はD店の営業マンの「個人インプレッション」が決め手になったという。

やはり自分とクルマのマッチングを媒介する営業マンの能力は、かなり大きいことが分かる。Aさんの話の内容を考察すると、商品知識の多寡や自分のニーズを見越した迅速な応対と提案力。これらをポイントとして考えていた様子。後にAさんが語っていたのだが、意外だったのは、D店の営業マンが語ったデメリット。この話を聞いた時、「この人は信用できる」と感じたという。これがテクニックなのか、それとも口を突いて出た言葉なのかは分からないが、いずれにしてもトーク力は不可欠なモノだと言える。

これは、ある四輪ディーラーの営業マンから聞いた話だが、その彼は販売成績のいい辣腕営業マン。情報量も人脈も豊富。そうしたバックグランドがあるなかで来店客と接するため、「このお客さんには(他メーカーの)〇〇のほうが合っているんじゃないか」と思うこともあるという。そんな時、その営業マンは、自社製品を無理に売ることはせず、自身の知り合いの他メーカーのディーラーを紹介するのだという。

一瞬、なんでそんなもったいないことを、と感じるが、これについて、その営業マンはこう話す。

「契約を1件逃すことになるかもしれないけど、それによって自分に対する信用が高まれば、それがいずれ紹介というカタチで返ってくるんです」

損して得取れ、ということなのだろう。

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