ビジネス法改正注目

2023年1月より電子車検証導入。二輪業界では、何がどう変わる?

公開日: 2022/09/06

更新日: 2022/09/06

来年1月からの車検証は、 ハガキや文庫本程度のコンパクトサイズに

2023年1月より車検証が電子化され、ハガキサイズ程度の「電子車検証」が導入(軽自動車は2024年1月に導入予定)される。これにより二輪販売店の業務はどう変わるのか。ここが最も気になるところだろう。結論から先に言ってしまえば、現状では、二輪販売店の業務には特に変化はない。変更となるのは、業務内容ではなく車検証本体という認識で、今のところは問題ないだろう。2023年1月以降に車検を受けたり構造変更したり、記載変更があった場合、そのタイミングから紙の車検証から電子車検証に切り替わる。1月の人もいれば、3年間は紙のままの車検証の人もいる、というわけだ。

電子車検証はハガキや文庫本の変形サイズといった感じ。これまでの約4分の1のサイズとなる
電子車検証はハガキや文庫本の変形サイズといった感じ。これまでの約4分の1のサイズとなる

サイズがコンパクトになり、裏面にICタグ(通信規格:ISO/IEC14443TypeA)がつく。寸法は縦105㎜×横177・8㎜、厚さは0・15㎜。A6サイズ(105㎜×148㎜)の長辺にICタグの分を足した大きさ。身近なモノで例えると、ハガキ(100㎜×148㎜)や文庫本(A6)の変形サイズといった感じ。これまでの大きさがA4サイズ(210㎜×297㎜)だったので約4分の1のサイズとなる。

現行の車検証を見ると券面に様々な記載項目がある。それらの車検証情報はICタグにデータとして全て記録されるが、券面に残る情報もある。券面に記載される情報は、「自動車登録番号/車両番号」「車台番号」「交付年月日」「使用者の氏名又は名称」「車名・型式」「自動車の種別」「原動機の型式」など。また、新たに付与されるのが車両ごとに不変の番号である「車両識別符号(車両ID)」。備考欄情報にも「牽引重量又は第五輪荷重」「必要な整備を行うべきことを命じた自動車である旨」「保安基準の緩和をした自動車である旨」などが入るが、電子化されることで「その旨」だけを券面には記載。具体的な内容についてはICタグに記録される。

ICタグにのみ記録され、券面には非表示となる事項もある。それが、「自動車検査証の有効期間」「所有者の氏名・住所」「使用者の住所」「使用の本拠の位置」だ。そのほか前述した備考欄情報の具体的な内容がICタグのデータ内容となる。ICタグのデータは、2023年1月からサービス開始となる「車検証閲覧アプリ」をインストールしたPC(汎用のICカードリーダーを接続しているもの)、スマートフォン(ICカード読取機能付きのもの)でICタグを読み取ることにより確認できるようになる。

このアプリでは車検証情報だけではなく、それ以外の情報、例えばリコール情報の確認のほか、車検証情報ファイルの出力、車検証有効期間更新時期を通知する機能もつく。「車検証閲覧アプリは、スマートフォンとパソコンで、24時間365日、いつでも使用できます。アプリを利用可能なのは、車検証原本を所持する人、提示を受けられる人。アプリは、グーグルプレイストアやアップルストアから入手できます」(国土交通省自動車局担当者)

『電子車検証』と『記録等事務委託制度』の2つが揃えばオンラインで全て完結

電子車検証・記録等事務委託制度
電子車検証・記録等事務委託制度

車検証が電子化でどう変わるのかを説明してきたが、販売店ではどう変わるのか。また、ユーザーにはどのようなメリットがあるのか。実際のところ、何もしなくても来年の1月を境に何から何まで変わる、というわけではない。まず押さえておきたいポイントは、四輪の車検にはOSS(ワンストップサービス)があるということ。

自動車保有に関係する行政手続きは多岐にわたっており、かつて、クルマの登録や検査に係る申請数は年間3000万件にも上っていた。自分で手続きするユーザー、ユーザーの代行で手続きする者、また手続きを受ける側にとっても、これは大きな負担だ。それを簡素化する狙いで2005年、国土交通省は各種手続き等をインターネットで一括して行えるようにした『自動車保有関係手続のワンストップサービス』の運用を開始した。

当初は新車新規手続きが対象だったが、2017年には継続検査(車検)、変更登録、移転登録、中古車新規登録、一時抹消登録および永久抹消登録にも対象手続きの範囲が拡大されたのである。それまでの負担は大きく軽減されたが、従来はOSS申請を行ったとしても車検証や検査標章( 車検証の有効期間が満了する時期を示すステッカー) の受け取りには運輸支局等に足を運ぶ必要があった。

電子車検証は、さらに負担を軽減する取り組みなのだが、ここにもう一つのポイントがある。OSS申請だけでは電子車検証導入後の変化は特にないのだ。電子車検証とともに創設する『記録等事務委託制度』との併用で負担の軽減効果が発揮されるのだ。

「今回の電子車検証では、運輸支局等への訪問は不要となります」

この記録等事務委託制度とは、指定整備事業者や行政書士など運輸支局長等が一定の要件を満たした者に、車検証への記録等に関する事務や、車検証の変更記録に関する事務を委託する制度のこと。委託を受けると、手続きはオンラインで全て完結できるようになる。結果、車検証を発行するまでの時間の短縮とともに、運輸支局等に出向くという手間も省けるのだ。

電子車検証への切り替えに先駆け8月19日、『電子車検証特設サイトを公開

電子車検証特設サイト(https://www.denshishakensho-portal.mlit.go.jp/)
電子車検証特設サイト(https://www.denshishakensho-portal.mlit.go.jp/)

記録等事務委託制度の委託要件だが、求められるのは『当該事務を行うのに必要かつ適切な能力』『適切な組織体制』『必要な設備等を有する』などとなっている。この要件を満たせば、記録等事務の委託を受けた指定整備事業者等がICタグへの記録や検査標章の印刷が可能になる。

さて、冒頭で二輪販売店の業務がどう変わるのかに触れた際、『現状では』や『今のところ』と書いたが、それには理由がある。

「現時点では、二輪の車検には『OSS申請』がないのです」

「そもそも論」になってしまうが、OSS申請がベースになっている電子車検証のシステムを二輪は活用できないのだ。しかし、今後もそうかというと、決してそういうわけでもない。

「二輪車にはOSS申請がありませんが、二輪にも導入できないかを現在検討しているところです。まだ具体的に何がどう、いついつまでにどうなるということは明言できませんが、すでに検討は始まっています」

こうした状況を受け、『現状では』『今のところ』と最初に記したわけだが、前述のとおり車検を受けたり、車検証の記載内容に変更があった場合、二輪の車検証も四輪同様に来年1月以降は電子車検証に切り替わる。二輪車にOSS申請が適用される時期、事務委託制度を活用できるようになる時期については、現状では不明だが、即対応できるよう備えておくことも必要だろう。「8月19日に、『電子車検証特設サイト』を公開しました。詳しくは、そちらをご覧ください」

特設サイトでは、『自動車所有者・使用者の方』『事業者の方』など、情報がそれぞれ分けられ見やすくなっている。また、今年12月に開設予定の、OSS申請などの各種手続きに関するガイド等をまとめたサイト『登録検査統合ポータル(仮称)』についてもアナウンスされているので、特設サイトは一読しておくべきだろう。

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