公開日: 2023/04/24
更新日: 2023/05/02
警視庁の発表によると、2022年の東京都内における交通事故死者数は132人。二輪車(原動機付自転車を含む)乗車中の交通事故死者数は40人で、前年の5人増となった。二輪死亡事故は全体の30.3%を占め、全国平均の16.7%よりも高い水準。注目すべきは通勤時の死亡事故の割合が全体の37%を占めているというデータだ。犠牲になるのはバイクを趣味とするユーザーばかりではなく、移動手段として「バイクを使う」という人々が含まれている。
死亡原因となる損傷個所は頭部45%、胸部25%、腹部10%、その他の順。法律で厳しく規制されたヘルメットの着用率は100%だが、胸部プロテクターの使用率は8.9%に止まっている。ヘルメットの着用率からすると、驚くほど少ない数字だ。
今回紹介するアルパインスターズTECH-AIR®5は、これまでの安全装備の概念を覆す性能を持っている。筆者は先日、このエアバッグシステムの作動を目の当たりにしたが、「これなら自分も助かるかもしれない」と確信できるほどのインパクトがあった。
TECH-AIR®5はバイクとの接続は不要で、面倒な操作は一切無く、完全ワイヤレスでの装着が可能。バッテリーはフル充電で30時間使用できる。加速度と傾きを検出する6個の高性能センサーを1000分の1秒毎にモニタリング、衝突前にエアバッグが展開する。
更に注目すべきは公道使用に特化している点にある(競技用にはTECH-AIR®RACEをラインアップ)。起動したシステムは停車時においてもライダーを監視し続け、後方からの追突にも反応する。つまり着用している限り、ライダーの上半身は常に守られている状態となる。エアバッグの作動速度は約20~40/1000秒(サイズによって誤差がある)。これは数百万キロの走行データと数千回にも及ぶクラッシュデータを分析し、幾度も調整を重ねた結果だ。
ライダーが胸部プロテクターを拒むのには「カッコ悪い」という理由があるという。しかし、このTECH-AIR®5は胸部に4cmの余裕があれば装着可能で、お気に入りのライディングウエアをあきらめる必要はない。エアバッグ作動後もメンテナンスさえ行えば再使用が可能。10万3840円(税込)と高額なシステムだが、アフターサービスも充実している。エアバッグ作動後のボンベ交換サービスは2万1780円(ガスカートリッジ交換、システム点検)。これにクリーニングとシステムチェック、エアバッグ交換を加えたリチャージサービスに3万4540円。2年もしくは500時間走行毎に推奨する点検に1万6500円。専用アプリに登録すると、システムの充電状況のチェックや、自身の詳細な走行データをGPSで地図上に保管することができる。
もちろん、このTECH-AIR®5を装着したからといって、全ての事故からライダーを救える訳ではない。しかし高性能なヘルメット、TECH-AIR®5と各部プロテクター(エアバッグは突起物には構造上弱いので、プロテクターとの併用を推奨。※脊髄パッドは本体に装備)を装着すれば、使用用途、排気量を問わず、全ての死亡事故のリスクが軽減されることに疑いの余地はないだろう。
輸入販売元のアルパインスターズ正規輸入代理店(岡田商事株式会社)では、量販店などで定期的にTECH-AIR®5の体感イベントを開催している。全ての二輪業界関係者に体感してみることをオススメしたい。
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