公開日: 2023/12/06
更新日: 2023/12/19
現状を理解する手段として最も確実で効率的な方法が、有識者の意見を聞くことである。いわゆるメディア側の見解として、二輪ジャーナリストのケニー佐川(佐川健太郎)さんにお話を伺った。
佐川さんは二輪専門誌やWEBメディアでニューモデルの試乗インプレッションなどを執筆。また、二輪イベントでの司会や、ライディングスクールや安全運転講習の講師を務めている。東京都交通安全協会の二輪車安全運転指導員でもあり、サーキットだけでなく、公道で安全・確実に走るためのスキルとマインドの普及を目指して活動している。
ここ数年、コロナ特需によりバイクの販売も好調だったが、再び下降傾向となっている。新車購入の平均年齢が55歳前後で推移する中、少子高齢化が進む日本では、何もしなければライダー人口は更に減っていくだろう。そんな状況だからこそ、EV化も含めて新たな魅力を発信していくことが求められている。
バイクは「危険な乗り物」という認識はまだある。最近では電子制御の進化により、ABSやトラクションコントロール、ライドモードなどが一般化。格段に安全性・快適性ともに向上している。最高出力などのパフォーマンスだけでなく、安全面やユーティリティでのプラス面をもっとアピールしていく必要がある。
水素エンジンについても期待が持てる。今年5月にホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキが「水素小型モビリティ・エンジン技術研究組合」(HySE)の設立に向け、経済産業省の認可取得を発表した。水素エンジンから排出されるのは「水」のみ。カーボンニュートラルへの大きな前進になるだけでなく、従来の技術を応用できるため、日本4メーカーにとって大きなチャンスとなるはずだ。
ホンダとヤマハが研究している「倒れないバイク」もゲームチェンジャーになる可能性がある。バイクの操縦で最も難しいのが低速バランスだ。止まると倒れる、という二輪の宿命をテクノロジーによってカバーできるのであれば、それに越したことはない。
半世紀以上に渡って世界のモーターサイクル業界をけん引してきた日本メーカーが主体となって、「新たな時代の魅力的バイク作り」を進めることで、再び二輪の世界に光を放ってほしいと切に願っている。
二輪のプロフェッショナルである皆様には、バイクの魅力を伝えることはもちろん、お客様が安全に長く乗り続けていくためのアドバイスをしてもらえたらと思う。そのためには走り出す前の準備(点検)・整備(メンテナンス)・装備(正しい服装)が必須であり、正しい乗り方を学ぶことも大事。バイクは人生に彩りを与えてくれる素晴らしい乗り物だ。正しい方向に導いてあげて欲しい。
ケニー佐川 (佐川 健太郎)
早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促・PR会社を経て独立。ロードレースを通じて二輪メディアの世界へ。雑誌編集者を経て現在はジャーナリストとして国内外でのニューモデル試乗記や時事問題などを二輪専門誌・WEBメディアへ寄稿する傍ら、各種ライディングスクールで講師を務めるなどセーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。元「Webikeバイクニュース」編集長。「Yahoo!ニュース」オーサー。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。
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