公開日: 2020/06/25
更新日: 2022/08/26
毎年7月から9月までの3ヶ月は「バイク月間」。その中核的イベントと言えるのが、8月19日前後に開催される「バイクの日」イベントである。
これは余談だが、実はバイク月間よりもバイクの日の制定の方が早い。交通事故撲滅を目的にしたバイクの日制定は1989年。一方、バイク月間が定められたのは2000年である。開催日を1日設定しピンポイントで二輪を訴求していたが、いまでは3ヶ月のバイク月間において「親子バイクスクール」や「マナーアップ活動」など様々なイベントや活動が行われ、交通事故撲滅はもとより、より多くの人に二輪の楽しさや有用性といったバイクライフの素晴らしさを訴求している。
イベントが行われたのは8月19日。東京都世田谷区にある、ショッピングセンターなどを併設した商業復合施設「二子玉川ライズ」の「ガレリア広場」で「8月19日はバイクの日 HAVE A BIKE DAY」が開催された。
ここ数年は「スマイル・オン」という名称が使われていたが、今回は名称を変更。イベント内容も今までとは異なり、You Tubeの公開収録という新しい試みにもチャレンジしていた。
会場となった二子玉川は、ライズのほか「蔦屋家電」などもあり、感度の高い人が集まるおしゃれスポットとして知られている。ガレリア広場は、二子玉川駅の近くにある「二子玉川ライズ・ショッピングセンター」の「タウンフロント」と「リバーフロント」の間に位置する、人通りもかなり多い場所。当日は夏休みということもあり、ショッッピングに訪れた親子連れや若者により会場は大賑わい。新型カタナの横にベビーカーが並ぶという、そうそうお目にかかれないような光景も見られた。通常のバイクイベントとはまた違う層に二輪を訴求できたのではないだろうか。
当日は11時30分に「開会式」がスタート。自工会・二輪車特別委員会の日髙祥博委員長(ヤマハ発動機代表取締役社長執行役員)をはじめとする自工会関係者、警視庁交通部総務部の谷井義正交通総務課長のほか来賓、バイク好き芸人などのゲストが登壇し、開会宣言を行った。
昼からは、ゲストによる「トークショー」が行われた。バイク好き芸人のレイザーラモンRGさん、チュートリアルの福田さん、バッファロー吾郎の竹若さん、とろサーモンの村田さんのほか、タレントの大原優乃さんが登場した。
実は大原さん、バイクの免許を持っていない。そんな大原さんにバイク好き芸人たちが、スーパースポーツやオフロードなど種類によって違う乗車姿勢を、実際に体を使って見せたり、バイクの日イベント前にプチツーリングをしてきたというエピソードを交え、少しの時間でもバイクが楽しめることなど、バイクの魅力を伝えながら進行。これまでのバイクが好き、バイクに乗っている、というゲストたちによるトークショーとは違う展開が新鮮だった。
従来はライダーが「分かる!」と共感できる内容だったが、今回はバイクに詳しくない人であっても、「へぇ、そうなんだ」と興味をそそられる内容。トークショーから、そのような違いが感じられた。どちらが良い悪いではなく、場所柄、バイクに興味がある人だけが通るわけではないので、このアプローチはとても興味深かった。
12時45分からは警視庁女性白バイ隊のクイーンスターズの隊員とピーポくんによる「警視庁交通安全ステージ」がスタート。警視庁管内で起きた事故をもとに、ライダーの気を付けるべきポイントやプロテクター装着の呼びかけ、バイク用エアバッグのデモンストレーションを行っていた。エアバッグのデモに関しては、実際に来場者に装着して、どのように膨らむか、どのあたりがどうガードされているかを体験してもらっていた。
イベントの後半には、これまでにない試みが用意されていた。メインステージでは、「大原優乃の体当たりチャレンジ企画」として、大原さんが来場者の被っているヘルメットのあごひもを締めてあげる「生カチャ」が13時30分から行われていた。これはこれでタレントとして多くのファンを持つ大原さんの特性を活かしたものだが、これまでにない試みとはこのことではない。
そのすぐそばに設営されたバイクトークステージで行われていた、バイク好き芸人たちによる「YouTube公開収録:よしもとバイク大好き芸人の『二子耐バイクトーク』」が、それだ。
小学生の将来就きたい職業ランキング3位に「ユーチューバーなどのネット配信者」が入る(小学生白書Web版)など、今や、ネット配信は年代を超えて楽しまれている。内容は、バイク好き芸人たちのバイクに関する様々な話を中心に進んだ。
バイクの日イベントに特化したトークではなかったものの、イベント会場の様子も映されるなど、バイクトークだけではなく、イベントも広く訴求できていたものと思われる。バイクやバイクイベントに興味を持ってもらうという意味では、ネット配信は有効な手段の一つだろう。
会場が最も沸いたのは、小池百合子東京都知事が登場したトークショー。都知事はキャスター時代にバイクでテレビ局に通うなど、バイクとのつながりが深い。
トークでは8月16日に亡くなったばかりのピーター・フォンダさんが出演していた映画「イージーライダー」を懐かしみながらも、時代の違いによるヘルメット未装着に触れ、「皆さんは、これからはヘルメットを被ってカッコいいライダーになって欲しい」と話した。
また、東京都道路整備保全公社が発行している「都内オートバイ駐車場MAP2019」を手に、東京都の抱える問題の一つである二輪の駐車場問題にも触れ、「駐輪場の確保が出来ないとすれば、それはバイクの魅力を削ぐことを意味する。都では駐輪場をもっと確保できるように努めていきたい」と語った。
会場の両サイドには、タウンフロントとリバーフロントというショッピングモールがあり、上のフロアからでも会場を見ることができる。小池都知事の出演は10分足らずだったが、報道者席から周囲を見渡すと、上のフロアまで人がギッシリ。小池都知事の注目度の高さをうかがい知ることができるトークショーとなった。
今回、例えば中野真矢さんのようなライダーに知名度の高い人を呼んでのトークショーや、道ゆく人にバイクを印象付けるバイクパレードのような華やかな演出はなかった。しかし、一般にも知名度の高い芸人を多数呼んだり、YouTube公開収録が行われるなど、『まずはバイクに興味を持ってもらう』という、ライダー以外にも情報を積極的に発信していこうという姿勢が強く感じられた1日だった。
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