公開日: 2020/08/03
更新日: 2022/08/26
現在エンジン・キャブレターの洗浄、塗装面の表面処理などの主役はウエットブラストである。それまで主流だった高圧で研磨剤を叩きつけるサンドブラストは粉塵の発生や、研磨表面の均一化に難があった。ウエットブラストの登場はそうした弱点を克服し、レストア作業に大きな発展をもたらした。近年では装置の小型化により各販売店でも容易に設置可能となり、作業の効率化と時間短縮に大きく貢献している。しかし、そんなウエットブラストにも避けられない大きな弱点がある。
それは処理後に残留するメディア(粒子)の存在。特にエンジン内部やキャブレターなどはブラスト処理後に徹底的な洗浄が不可欠であり、これが作業工程において大きなタイムロスとなっていたのである。微粒子であるメディアを目視で取り去ることは現実的に不可能であり、作業側は洗浄を繰り返す以外に方法がない。それでも、メディア残留によるメカニカルトラブルは後を絶たなかった。
そんな整備事情の中、全く新しい洗浄システムが今、密かに話題となっている。それが今回ご紹介するRECS(リアルエンジンクリーニングシステム)である。
開発したのは埼玉県草加市にあるT.T.Rサービス。同店はCB-F系の修理とカスタム、エンジンリビルドを得意としている。作業効率と品質向上を追い求める過程でこのシステムに着目し、5年の歳月をかけて実用化にこぎつけた。
RECS(通称はレックス)は専用のブラスト機と専用メディア(粒子の成分は企業秘密)により汚れの成分を5種類に分類して攻撃し、母材やメッキ、コーティングを一切傷めない。作業時間はこれまでの1/5に短縮。CB-F系エンジン一基であれば、1時間で洗浄可能という驚異の作業時間短縮を実現した。これによりT.T.RサービスのエンジンOHは何と実質6時間で可能となった。
しかも噴射された特殊メディアは一瞬で100%消滅。ブラスト処理後の洗浄時間は事実上ゼロである。それだけではない、洗浄により発生したスラッジは回収され、洗浄液は化学反応により無害で排出される。地球環境にも優しい画期的なシステムなのである。このRECSはメディア残留によるトラブルが多発するキャブレター内部やシリンダー&ヘッドに最も有効であり、販売店においては自社のウエットブラストとの併用が最も効率の良い手法であると結論できる。
T.T.Rサービスでは業販体制を拡充する方針なので、百聞は一見にしかず、自社のパーツでそのスピードと施工精度を体感して頂きたい。
T.T.R サービス
埼玉県草加市吉町 4-3-28 TEL:048-925-8655
https://bike-ttrm.com
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