公開日: 2020/08/03
更新日: 2022/08/26
「8年ほど前ですかね。関越自動車道の走行車線を走っていた時のこと。追越車線から車線変更しようとしたクルマが私のバイクに気づいていなかったらしく、すぐ横まで接近してきました。『ここにバイクがいるよ』ということを知らせるためにクラクションを一度鳴らしたのですが、それが気に入らなかったのか、幅寄せされたり、後ろに入られて急接近されたりしました。それらの行為を何度か繰り返され、あまりにしつこかったので、速度を上げて振り切りましたが、怖かったですね」(埼玉県・60代・会社員・GPZ900R)
例えば、2017年に東名高速で起きた「あおり運転」に起因する死亡事故。2019年に常磐自動車道で起きた「あおり運転」に伴う傷害事件。前出のユーザーの話からも分かるように、あおり運転自体は昔からあるが、この数年、報道される回数が増え、大きな社会問題となっている。
グラフ1は、チューリッヒ保険会社が7月6日に公開した、全国のドライバー2230人を対象にして行った「あおり運転実態調査」の結果だ。半数以上の57.9%が煽られた経験ありと答えている。また、1年以内にあると答えた人は24.4%もいるのだ。
このような状況の中、この6月30日、改正道交法が施行され、あおり運転は「妨害運転罪」として罰則が創設された。その内容は以下の通りとなっている。
「1/通行妨害目的で交通の危険のおそれのある方法により一定の違反(車間距離不保持、急ブレーキ禁止違反等)をした場合、懲役3年・罰金50万円以下」
「2/1により著しい危険(高速での停車等)を生じさせた場合、懲役5年・罰金100万円以下」
「免許の取消処分の対象に追加」
この罰則が軽いか重いか、感じ方は、人それぞれだろうが、今回の改正によって、あおり運転そのものが完全に取り締まりの対象になったのである。
「去年、バイク5台でツーリングをしている最中、高速道路で煽られました。理由は分からないのですが、制限速度プラスアルファで走っていたので邪魔だったのかも知れません。先頭にいた私の目の前に入られ、ブレーキを頻繁に踏まれるという嫌がらせを受けました。ツーリングの様子を撮るためにカメラをヘルメットに着けていたので、クルマの横に並び、ドライバーに分かるようにヘルメットのカメラを何度か指差しました。カメラの存在が分かったのか、その途端、おとなしくなりました。実際は、その時、撮影してなかったんですけどね(笑)」(埼玉県・50代・会社員・ZX-10R)
このユーザーの話からも分かるように『映像に撮られているかも』というのは、抑止効果が望めるようだ。ましてや先日、改正道交法で妨害運転(=あおり運転)に罰則が創設されたことで、煽る側としても映像に残されたくはないだろう。
グラフ1にあるように、1年以内に煽られた経験を持つドライバーは4人に1人。それだけの人があおり運転に遭っているのが現状だ。あおり運転から身を守るためにも、バイクにもドライブレコーダーの装備が必要な時代になってきている。
では、現在、どのようなドライブレコーダーがバイク用として販売されているのだろうか。ネット通販サイトのアマゾンでドライブレコーダーの売れ筋ランキングを見ると、1カメラ、2カメラなどいろいろなバイク用ドライブレコーダーが発売されている。価格帯も1万円台から3万円以上のものまで様々だ。
一例を挙げると、バイク用ETC車載器で知られるミツバサンコーワの2カメラ装備の「EDR-21G」。日刊自動車新聞が選定する「用品大賞2020」で二輪車部門賞を受賞したモデルだ。GPSが搭載されており、衝撃を感知した際には映像だけではなく、日時・場所・速度も記録される。
もちろん、ドライブレコーダーではなくても、ムービーカメラでも代用は可能。重要なのは、記録を残すということ。昨年12月にナップスが公開した調査結果によると、バイクユーザーのドライブレコーダー所有率は30.2%と、半数にも届いてないのが現状だ。改正道交法が施行されて間もない今は、未所有のユーザーにドライブレコーダーやムービーカメラをすすめやすいタイミングだと言えよう。
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