公開日: 2026/08/11
更新日: 2026/08/19
ブレーキキャリパーのオーバーホールを行う時、ピストンシールの劣化やサビによってピストンが固着し、ブレーキピストンプライヤーなどの工具では外せない、といった苦い経験を持つユーザーは少なくないのではないだろうか。この時の対応としては、エアの圧力で抜くか、あるいは取り外したブレーキキャリパーやホースを一度組み直してからブレーキフルードを注入し、レバーを何度も握ってピストンを押し出す方法が考えられる。けれども、エアによる抜き取りはピストンが勢いよく飛び出す危険性を伴い、また再組み付けは時間と手間を要してしまうなど、作業におけるボトルネックとなっている。
こうした悩みの種を解決してくれるのが、水圧を利用した新工法の特殊工具『エヌエスポッパー(NSP-1)』。これは、作業工具メーカー「ミトロイ」製品を扱っている水戸工業の新ブランド「Protean」が開発を手掛け、2024年より販売を開始している。
作業手順は至ってシンプル。まず、ブレーキキャリパーに付属のCPプラグと耐圧ホースを取り付け、本体ケースに水を入れ、エア抜きを実施。その後、ハンドルをポンピングしていくと、強力な水圧によってピストンが押し出される仕組みとなっている。複数ピストンを持つ対向ブレーキキャリパーの場合でも、バイスやクランプなどで片側を固定することで、それぞれを均等に押し出すことができる。なお、作業手順の詳細などはYouTubeで公開されている。
エヌエスポッパーの特長について、水戸工業営業部DSMグループ長の藤井剛さんは次のように説明する。
「誰が行っても同じ再現性で、安全に作業できるように開発しました。水圧を利用しているため、ピストンの予期せぬ飛び出しや、ブレーキフルードの飛び散りを防げるだけでなく、作業時間を大幅に短縮できます。また、電源やコンプレッサーが不要なため、場所を選ばずに使用することも可能です。さらに、最大5MPaほどの一般的な水圧テストポンプとは異なり、エヌエスポッパーは最大10MPaまで圧力をかけられる耐久性に優れた専用ポンプと、この高圧に耐え得る耐圧ホースを採用しています。そのため、どれだけ固着したピストンであっても、確実に抜き取ることができるのです」
実際にエヌエスポッパーを利用する二輪販売店では、激しく固着したピストンを取り外す時、圧力計が8MPaに達したこともあるという。また、同製品のデモンストレーションを体験したBDSテクニカルスクールの井田安彦講師は、「ビックリするほど簡単に固着したピストンが抜けました。キャリパーとの接続に工具を必要とせずに組み立てられるだけでなく、ブレーキフルードなどで手が汚れないこともポイントだと思います」と感想を述べている。
付属品のCPプラグは、様々なネジピッチに対応できるよう、「フレア1/4×M10P1.0」「フレア1/4×M10P1.25」「フレア1/4×3/8-24UNF」の3種類をラインアップ。現在、水戸工業ではさらに対象車種を増やすため、利用者の声を反映させながら、新たなCPプラグの開発を検討。また同社では、長く安心して使い続けられるよう、保守部品の販売やアフターメンテナンスにも対応している。
メーカー希望小売価格(税込)は、本体、耐圧ホース、CPプラグ3種に、キャリパーピストンインストーラーセットまで含めて8万8000円。自動車整備および部品商などから購入できる。
水戸工業株式会社は生産現場で必要とするあらゆる用品や治具、設備・装置や製品に組み込む部品、燃料チェッカー、モリブデン/タングステンなどもお客様に提供しております。
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