公開日: 2026/09/08
更新日: 2026/09/14
夏のバイク走行において暑さ対策と安全性、どちらを優先すべきか悩むライダーに向けて、気温35℃の酷暑日の中、バイクジャーナリストの小林ゆきさんがRSタイチの最新プロテクター2種を試乗インプレ。ハニカム構造で【涼】を取り入れつつ、しっかり体をガードしたいライダー必見のアイテムをご紹介します!
こんにちは。バイクジャーナリストの小林ゆきです!
本日テストを行う製品は、RSタイチ製のプロテクターです。まず最初にご紹介するのは、ベストタイプのインナープロテクターである「ヘリンクス プロテクションベスト」です。「ヘリンクス」という名前の通り、六角形の蜂の巣状になっています。
そしてもう1つは、フルプロテクション仕様のインナーである「ステルス CEプロテクションインナー」です。こちらは胸部、背中、肩、肘のすべてにプロテクターがあらかじめ内蔵されています。
それでは、フルプロテクションタイプの「ステルス CEプロテクションインナー」を着用して走行を行います。このインナーは単体でもそのまま走行可能な設計ですが、今回はRSタイチさんにオススメされた着方(重ね着)を実践します。
前面にはハニカムに似た新しい構造の胸部プロテクターが内蔵され、肘、肩、背中にもプロテクターが備わっています。その上に、今シーズンのフルメッシュ仕様のモトクロスジャージを重ねて着用します。私用なので小さいですが、ダボっとした感じのおしゃれモトクロスウェアという感じなので、中にプロテクターを装着しているようには見えません。
今回の重ね着の内訳は、一番下にワコールの「CW-X」スポーツブラ、その上にRSタイチの速乾性クールインナー、さらにその上に「ステルス CEプロテクションインナー」を重ね、一番上にモトクロスジャージを着用した構成です。ボトムスにもRSタイチ製のメッシュライディングパンツを着用し、全身をフルメッシュかつフルプロテクションの状態で、これからテスト走行を行います。
テスト車両は、私の愛車であるカワサキ「Ninja ZX-25R」です。若干前傾姿勢を伴うライディングポジションとなるため、背中を丸めて乗車している状態です。
こうしたインナーを重ね着する際、最も懸念されるのは身動きのしやすさです。今回は、プロテクターのサイズが私の体格に対して少し大きめということもあり、袖ぐりは非常に楽ちんな感じです。ただ、サイズが大きめであるため、背中にプロテクターがぶら下がっている感じがずっとあります。過度に重いわけではありませんが、一般的な薄型の背中パッドと比較すると、分厚い立派なものだと感じます。
一方、腕回りに関してはプロテクターによる違和感や重みを全く感じません。胸部プロテクターも非常に軽量に作られています。私は初期の重量があるモデルや強固で硬質なモデルなど、歴代の胸部プロテクターの進化を数多く経験してきましたが、今回の最新型は以前の製品に比べて、随分軽くなったと感じます。
本日、気温は35℃もあります。車両のインテークエア(吸気温度計)は43℃から44℃を示しており、めちゃくちゃ暑い状況ですが、全身をフルメッシュにしているため、走行風が胸部から腹部を心地よく冷やしてくれます。この通気性の高さであれば、気温が24〜25℃前後の環境では涼しすぎるかもしれません。
信号待ちの間に汗をかいても、時速40km程度で走行し、風を受けるだけで、気化熱が身体全体を駆け巡り、非常に快適なライディング環境が維持されます。これだったら、真夏を乗り切れるんじゃないかと思います。さらに気温が上昇し、38℃や40℃近くになったとしても、ウエアの上から水を浴びることで更なる冷却効果が得られるでしょう。胸部から腹部、さらには手首のあたりまで風が通り抜けて涼しく、安心して走行を続けられます。
次に、ベストタイプの「ヘリンクス プロテクションベスト」を着用し、その上から革ジャンを重ね着します。ハニカム構造のプロテクターを挟むことで、風の通り抜けがどのように変化するかをインプレします。
今回着用するベストはSサイズで、レディース専用モデルではありませんが、私の体型にもちょうどよい感じで、背面もしっかり保護されています。気温35℃の状況で厚手のレザージャケットを着用するのは厳しい条件ですが、襟元を開け気味にして走行します。着用した際の感覚は、通常のジャケットを一着重ねているような自然な印象です。
走行を開始したところ、事前の予想通り、プロテクションベストの袖ぐりが深いため、腕回りの動作が本当に楽です。そして、何よりも通気性の高さに驚かされます。メッシュとハニカム構造が効いています。背中に非常に涼しい風が通るのを感じています。何も着用していない時よりも、かえって風が抜けている印象です。
このレザージャケットは革つなぎメーカーさんが手がけた生地が分厚いライディング用ジャケットです。プロテクターを着用せずに直接着ると、背中に革が張り付いて風が流れなくなってしまいますが、ベストの存在によって空気の通り道が確保されています。
後方確認の動作を行っても全くストレスを感じず、プロテクターを意識することなく、あたかもレザージャケットと一体化しているかのような優れた着用感です。背中の清涼感は本物です。
レザージャケットの前面のファスナーを閉めた場合でも、首元から取り込まれた空気が胸の下へと滑らかに流れ込むのがはっきり分かります。時速40km程度の走行でも、ハニカム構造の恩恵により緩やかな風が胸元を冷やしてくれます。再びファスナーを少し開けると、背中に多量の走行風が送り込まれるのが体感できます。
また、路面の凹凸による衝撃を受けた際も、重量感による肩への負担は一切起きておりません。このレザージャケットはプロテクターが内蔵されていないものですが、ベストを着ると元からプロテクターがセットされているかのようです。このプロテクターはヨーロッパの新しい安全規格に準拠し、RSタイチさんが開発したものです。ライダーの身体の動きに沿うような形になって、動きを妨げないような構造になっていることがよくわかります。
本日は、着用するタイプのプロテクターとして、ベストタイプとフルプロテクションインナーの2種をご紹介いたしました。
着用した感想として、特にベストタイプは1枚所有していると非常に利便性が高いと感じました。ライディング時に着用する衣服は必ずしもバイク専用ジャケットだけとは限りません。プロテクターの装備がない一般のカジュアルウエアでお洒落を楽しみたい際にも、このベストをインナーとして重ねることで、胸部と背中をしっかり守ることができます。
また、フルプロテクションタイプについても、本日テストした通り、夏場の使用に大変優れていると思いました。夏は私自身も含め、半袖やタンクトップなどでライディングしたいという衝動に駆られるものですが、安全性を考慮するとそんなわけにはいきません。
しかし、このフルプロテクションインナーの上からTシャツや、今回私が着用したようなゆったりとしたフルメッシュのモトクロスジャージを羽織るだけで、内部にプロテクターを内蔵しているとは一切思わせないお洒落なスタイルが完成します。
ハニカム構造を採用したベストタイプに対し、ステルスインナーのプロテクターは異なる構造を持っています。この薄型ポケットに収納されているプロテクターは、年々進化を遂げており、適度な伸縮性を持ちながらも、十分な厚みを備えています。これにより、外部からの垂直方向の衝撃に対して高いプロテクション能力を発揮します。
現在、バイク専用ジャケットを着用している方でも、胸部プロテクターの装着に対しては、少々手間に感じている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、胸部プロテクターの有無によって、事故発生時の重傷率や死亡率が減少することが統計的にも明らかになっています。
私自身、過去に悲痛なバイク事故に遭遇し、胸部に大きな損傷を負ったライダーの救命活動を行った経験があります。悲しい結末となってしまったその記憶は、今でも時折、脳裏をよぎります。そのような悲劇を防ぐためにも、胸部をはじめとする全身を保護する着用型プロテクターの存在を多くの方に知っていただきたいと思います。
RSタイチさんをはじめ、様々なメーカーから多様なプロテクターが展開されています。すでにお持ちのライディングギアに適合させるのも、お洒落を優先してインナープロテクターを導入するのも、どちらも良いと思います。
新しい規格への対応や着用感の向上など、日々進化を遂げている最新のプロテクター事情をお伝えすべく、インプレを交えてご紹介いたしました。
今回は「ステルス CEプロテクションインナー」、および「ヘリンクス プロテクションベスト」のインプレいたしました!
【小林ゆきさん略歴】
横浜育ちのバイクブーム世代。バイク雑誌の編集者を経て、現在はフリーランスのライダー&ライター。バイクを社会や文化の側面で語ることを得意としている。愛車は総走行距離25万kmを超えるKawasaki GPz900RやNinja H2など10台。普段から移動はバイクの街乗り派だが、自らレースに参戦したり鈴鹿8耐監督を経験するなど、ロードレースもたしなむ。ライフワークとしてマン島TTレースに1996年から通い続け、モータースポーツ文化をアカデミックな側面からも考察する。
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