公開日: 2021/01/20
更新日: 2022/09/06
レンタルバイクを通じて、バイクの聖地を再び活性化し、バイクのツアー文化を日本に定着させる。これがkitakaru BASEの発想の原点。MOTO TOURS JAPANは、バイクレンタルのノウハウをつぎ込み、新たな目標に向け動き出した。
日本を代表するリゾート地である軽井沢。この「浅間・北軽井沢エリア」に2021年春、二輪複合施設「kitakaru BASE」がオープンする。プロデュースするのはレンタル819を展開するキズキレンタルサービスの兄弟会社であるMOTO TOURS JAPANだ。
同社は2017年から活動を開始した、バイクツアーに特化した旅行会社。「安全第一」「本物の体験の提供」「人との繋がりを大切に」を企業理念に、ツアー文化の醸成、利用者のツアーサポートを行っている。
今回の展開について、株式会社キズキの松崎一成社長は説明する。
「レンタル819事業を開始し15年目に突入しますが、私たちは、バイクに乗る人を増やしたい、というシンプルな基本理念のもと、ビジネスをスタートしました。いまでは二輪メーカーも参入する時代になりましたが、残念なことにまだ一般化してはいません。そのため、バイクユーザーをさらに増やし、新しいバイクライフを提案したいというシンプルな思いがありました。モトツアーズジャパンでは、インバウンドを取り込むツアー事業を展開しているので、それらを加味しつつkitakaru BASEのプロジェクトを立ち上げました」
kitakaru BASEは、ライダーにバイクを楽しんでもらうために、宿とレンタルサービスを提供するための基地(BASE)。浅間・北軽井沢にさらに人が集まり、盛り上げていくためのスポットである。この浅間・北軽井沢エリアは、日本における二輪産業の黎明期であった1950年代、日本製バイクの性能向上を目的に開催された耐久ロードレース(通称 浅間火山レース)や、全日本モーターサイクルクラブマンレース大会が開催された、言わばかつてのバイクの聖地。この地を再び聖地として蘇らせようというものだ。
kitakaru BASEにはレンタルショップをオープンし、総合インフォメーションとして、浅間・北軽井沢エリアにおけるバイクの楽しみ方やエリア情報の提供などを行う。また、ナビゲーターとして、「アテンダントガイド」と「サポートスタッフ」の帯同を検討している。
これは、ツアーの際、先頭としんがりに着くスタッフのこと。業務に携わるスタッフの資格制度化も考えているという。先頭と後ろにサポートが付くことで、事故発生の可能性を低減させることができるという発想だ。また、スタッフについては地元の人から希望者を募る方向で考えているので、これにより雇用の創出にもつながるという。
他にも、マップやお勧めポイントを記載したガイドブックを事前に提供し、ユーザーの要望に応じてツアーをカスタマイズすることも可能。セルフツアーから団体利用までのすべてに対応できる体制を整えるという。
松崎社長はインバウンドもターゲットとして考えているが、これには過去の経緯も関係している。レンタル819を稼働して8年ほどが経過した頃、海外からの観光客から、バイクを借りたい、という要望が急増した。併せてどこを走ったらいいの、といった問い合わせも増えた。そして気が付くと、海外のエージェントとビジネス上の交流を持つようになったという。
「例えば、日本で観光を楽しみ、バイクにも乗りたいという台湾からの観光客がいたとします。彼らにとっては新幹線で軽井沢に行くことにもアトラクション感覚を抱きます。軽井沢から北軽井沢までは、送迎バスを用意し、kitakaru BASEに到着したら、バイクをレンタルし、楽しんで頂く、という流れです。バイクの他、軽井沢観光も楽しめるし一石二鳥なのです」
松崎社長は、日本には「ツーリング文化」はあっても、「旅行文化」はない、と続ける。海外では2週間ほどのツーリングツアーは普通だが、日本ではほとんど聞かない。
「バイクでの旅は、生活の深いところにまで入っていけるという利点があります。ライダーが持つ情報は、かなりマニアックで、グルメ関係をはじめ、風光明媚な場所など、とにかく深い情報を持っています。kitakaru BASEを通じて、日本にもバイクを用いたツアー文化が根付いてくれれば、と思います」
同社ではクラウドファンディングサイト「READY FOR」で支援金を募集している。目標額500万円に対し12月14日現在、361万円が集まっている。期限は12月24日23時まで。なぜ、クラウドファンディングという形を選んだのかについては、1人でも多くの人に、今回のプロジェクトの趣旨と思いを知って欲しかったからと説明する。今後の展開に要注目だ。
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