コラム

コンテナはどこにいった?コンテナ不足がもたらす国際的な物流問題とは

公開日: 2021/04/05

更新日: 2022/09/06

 昨年より、物流業界では国際的な大問題が起きている。コンテナ不足だ。これは製造会社や商社、そして二輪業界にも大きな影響を与えている。今回は、この問題の要因や経緯について見ていく。

 コンテナ不足の主たる要因は、言うまでもなく世界中でパンデミックを引き起こしているコロナウイルスにある。昨年の3月4月、フランスやイギリス、アメリカなどでのロックダウン実施をはじめ、日本でも緊急事態宣言が発令される事態となった。これにより経済活動は制限を余儀なくされ、コンテナの荷役を行う港の作業員が減少し、業務に遅れが生じ始めた。その結果、アメリカでは5月頃より入港待ちのコンテナ船が停泊する光景が見られるようになった。

 このような状況のなか、中国はいち早く経済活動を再開させ、工場の稼働に伴い輸出が急増。同時にこの時期、世界中で「巣ごもり生活」が必要に迫られ、日用品や家電などの需要が拡大していたことも、コンテナ不足に拍車をかけることとなった。特にアメリカの巣ごもり需要は大きく、NHK は2月15日の報道番組のなかで、「年末商戦にあたる昨年11月と12月の小売業の売り上げが、コロナ禍前の一昨年と比べて8・3%増加」と報じている。

 中国からの輸出が急増するなか、世界的にコロナ患者も増加し、2月中旬時点でアメリカの港湾労働者は800人が感染。荷役を行う港の作業員だけでなく、ドライバーや荷受人不足も深刻化し、荷物をさばききれなくなったため、港には大量のコンテナが滞留した。さらに、この影響によって空のコンテナやシャーシの回収に必要以上の時間を要し、アジア諸国にコンテナが全く戻ってこないという事態に陥った。

 これらに加え、航空便国際線の多くが運休していることによる海上運送需要の拡大を受け、コンテナ船の輸送コストは昨年の夏以降急激に上昇。香港の情報会社「フレイトス」によると、中国からアメリカ西海岸に向かう主要な航路では、2月上旬の40フィート(長さ:約12m、幅:約2・5m、高さ:約2・6m)コンテナ1個当たりの運賃が4334 ドルと、前年同月比で約3倍の価格となっていることが分かった。苦労してコンテナを確保できても、運賃の高騰によって利益が圧迫されているのだ。

 コンテナ不足は、二輪業界においても大きな影響を与えている。海外生産モデルの納期が確定できない、運賃高騰により営業利益を圧迫する、といった様々な問題を引き起こしており、実際に小売の現場では需要があるのにも関わらず、モデルによっては受注すらできない状況に陥っている。

 コンテナ不足が長引けば長引くほど、ニューモデルの発表や発売に影響を及ぼす可能性も高くなる。この状況がいつまで続くかは分からないが、ワクチンの供給が始まったことで、問題解決の兆しは見え始めている。

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