公開日: 2021/05/31
更新日: 2022/09/06
値札に980円と書かれた商品をレジに持っていくと、「お会計は1078円になります」。このような経験をした人は多くいるはず。消費税を含めた「総額表示」の義務化がスタートした4月1日以降、″税込だといくら〟という計算をせずに買い物できるようになった。けれども、なぜこのタイミングでルールが変わったのだろうか。また、買い物をする際どのような影響があるのか。今回はそれらについて見てみよう。
今年度よりルールが変わった総額表示だが、実はすでに2004年4月に義務化されている。当時から税抜表示が一般的であったが、消費者が一目で分かるようにするため義務付けられた。では、なぜ最近まで税抜価格が主流となっていたのだろうか。これには、1997年4月1日に税率が5%へと引き上げられて以降、二度の消費税増税が行われたことが関係している。
2014年4月に8%、2019年10月に10%と段階的に引き上げるにあたり、政府はその都度価格表示を作り直すと、事業者にとって大きな負担になると考え、「消費税転嫁対策特別措置法」を施行。2013年10月1日から2021年3月31日までの約7年半、「5000円+税」「5000円(税別)」のように税抜価格であることが分かる表示になっていれば、税込表記は必須でなかった。つまり、今回のルール変更は措置法の失効を受けてのことなのだ。
国税庁は総額表示の具体例として、「5500円」「5500円(税込)」「5500円(税抜価格5000円)」「5500円(うち消費税額等500円)」「5500円(税抜価格5000円、消費税額等500円)」と、複数パターンが該当すると公表。支払総額である「5500円」が明瞭に表示されていれば、「消費税額等」や「税抜価格」の記載があっても構わないとしている。つまり、「5000円(税込5500円)」とされた表示も、消費税額を含んだ価格が明確に表示されていれば、「総額表示」に該当するのだ。
大手アパレルメーカー「UNIQLO」と「GU」を展開するファーストリテイリングは3月4日、価格表示を変更する旨を発表し、同月12日より新しい値札を使用。これを機に、価格の見直しも行っている。消費者には値段が分かりやすいというメリットがある一方で、商店街やショッピングモールなどでは店ごとに価格表示が異なるため、ややこしいというデメリットも存在する。
事業者からは、値段が高くなったように見えることで、買い渋る人が増えるのではないか、という懸念の声が上がっている。ちなみに、総額表示を定める「消費税法第63条」に罰則規定については記載されていない。いつ適応されるかは分からないが、速やかな対応が求められる。
総額表示は二輪業界にも該当する話。店頭の値札やポップだけでなく、インターネット上での価格表記など、変更し忘れには要注意だ。
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