公開日: 2021/12/27
更新日: 2022/09/06
2020年度における、小型二輪の平均車齢は16.05年、平均使用年数は15.23年であることが、自動車検査登録情報協会の調べで明らかになった。平均使用年数は少し短期化となったが、平均車齢はついに16年台に突入。2014年度から見ると、1.74年も上がっており、依然として『高齢化』が進んでいることが明らかになった。
平均車齢とは、現存する二輪車が国内で新規(新車)登録されてからの経過した年数の平均である。このことから、データは検査のある小型二輪車が対象となる。
新車が売れ、その一方で古い二輪車のスクラップや海外輸出台数が増えると、平均車齢の数値は小さくなる。いわゆる“若返り”だ。逆に、新車が売れずに古い二輪車の国内流通台数が増えると、数値が高くなる(高齢化)という傾向になる。
新車が売れなくても、現存する古い車両の登録が抹消されれば、若返りは加速する。しかし、それは保有台数の減少を意味しており、乗らない人が増えてきていることになるので、それはそれで良くない傾向でもある。また、バイクを乗り換える際に中古車を選ぶということは当たり前にある。それはそれで市場が動いているということになるので、年式の古い車両が残っていても、悪い傾向ではない。従って、一概に若いから良い、高齢化がダメ、と言えるものではない。しかしながら、新車が売れていれば数値は低くなる傾向になるので、やはり、平均車齢はどちらかというと、低い方が望ましいと考えられる。
では、平均車齢はどのように推移しているのか。自検協(自動車検査登録情報協会)が2020年度の平均車齢を発表したが、それによると、小型二輪車の平均車齢は16.05年。グラフにあるように、毎年、だいたい0.3年前後、高くなってきている。2014年度は、まだ14年台だったが、2020年には、ついに16年を超えた。小型二輪の高齢化がどんどん進んでいるのである。
この統計を取り始めたのは2002年だが、それから19年連続して前年度を上回っているという結果だ。全軽自協(全国軽自動車協会連合会)が公表しているデータによると、2020年における小型二輪の新車販売は横ばいで推移している。2020年はコロナの影響で新車の出荷が滞ったため例年通り比較はできないが、新車登録が増えず古いバイクが残っている状態となっている。これを人間社会に当てはめると、『少子高齢化社会』。それが、2020年における小型二輪車の現状と言えよう。
ただ、全軽自協のデータでは、2021年の小型二輪の新車販売が、11月末時点で前年比2割以上の増加となっているので、もしかしたら、平均車齢のデータ集計を開始してから20年目にして、初めて前年度を下回る、といった可能性も十分にあるだろう。
自検協では、平均車齢のほか、平均使用年数のデータも発表している。これによると、2020年度における小型二輪車の平均使用年数は15.23年(グラフ参照) 。前年度より0.30年ほど短期化している。これは、国内で新規(新車)登録されてから抹消登録されるまでの平均年数。抹消された車両が計算のベースとなるが、一時抹消も含まれるため、完全にスクラップとなる期間とは少し異なる。平均車齢は、残っているバイクの登録から現在までの平均年数。言葉は似ているが内容は違う。
さらに、この「使用年数」に似た言葉で「前車使用期間」というのがある。これは、日本自動車工業会( 以下、自工会)が「二輪車市場動向調査」で用いている言葉で、ユーザーが車両を購入してから手放すまでの期間を指す。これと混同しないようにしたい。自工会はユーザーの視点で捉えたもの、自検協の場合は車両の視点で捉えたものと考えると分かりやすい。
さて、小型二輪車の高齢化に話を戻すと、人間社会においても、高齢になると医療費がかさむ人もいる。それはバイクも同じこと。メンテナンス頻度が増えたり、経年劣化によってパーツの交換が必要になったり、また、メーカーからの部品供給が途絶えたりして、部品の調達がままならなくなったりすることもある。バイクも高齢化が進むと、やはり、いろいろな問題が出てくるものなのだ。
例えば、欠品パーツの多い旧車などでは、どこが悪いかが分かっていても、パーツを入手できなければ、直しようがない。今後も小型二輪の高齢化が進めば、今は旧車を扱っていない店でも、いずれは対応しなくてはならなくなってくることも考えられる。それを見越した体制の準備や強化なども、大切になってくるだろう。この先、どのようなことが考えられるか、店作りをどう進めればいいか、それらのヒントを与えてくれるのが、二輪に関する様々なデータなのだ。
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