公開日: 2022/01/26
更新日: 2022/09/06
昨年11月1日、21年ぶりに新たな硬貨の流通が始まった。3代目となる新500円硬貨だ。SNSでは「やっと巡り合えた」「ついに手に入れた」といった声が上がっているが、まだ手にしていない人も多いはず。今回は、硬貨の特長や世間の反応などについて見ていく。
財務省は2019年4月9日、偽造防止強化などの観点から、紙幣の改刷および500円硬貨の改鋳を行うことを発表した。当初、新500円硬貨の発行は2021年上半期を予定していたが、新型コロナウイルスの影響により、11月に延期された。
新500円硬貨は従来の偽造防止策を引き継ぎながら、新たな技術とデザインを導入している。2代目はニッケル黄銅という素材のみを使用し、重さ7.0g、側面には同形の斜めギザを採用。また、裏面の500という数字を下から見ると、「00」の中に『500円』という文字が浮き出るようになっている。
これに対し3代目は、白銅と銅の2種類の金属板をサンドイッチ状に挟み込む「クラッド技術」でできた円板を、2代目と同じニッケル黄銅でできたリングの中に合わせる「バイカラー技術」によって製造。重さは7.1g、側面には大量生産する貨幣では世界初導入となる異形の斜めギザを採用している。また、裏面の500という数字の「00」の中を上から見ると『JAPAN』、下から見ると『500YEN』という文字が浮き出るようになっている。
さらに、新たなデザインとして表面縁の上下に『JAPAN』、左右に『500YEN』という極小文字を配置。また、貨幣模様の中央部に微細な穴加工を施している。その他、表面の「日本国」と「五百円」の周囲に、髪の毛よりも細い扇状の線模様を彫刻することで、偽造防止をより強化している。
市場調査やマーケティングリサーチを行うゼネラルリサーチ株式会社は昨年9月17日、18日の2日間、全国の20代~60代の男女1080人を対象に新500円硬貨の認知度調査を実施。その結果、「2021年11月より発行されることを知っているか」という質問に対し、68.3%(約740人)が「知らない(今知った)」と回答したことが分かった。コロナをきっかけに急速に普及していったキャッシュレス決済の影響もあり、新500円硬貨に対する関心は低いようだ。
新500円硬貨を巡っては、SNSで「いろいろな自販機で使えない」「手にできて嬉しいけど使えないのは迷惑」といった声も多く見受けられる。自販機の場合、内蔵された硬貨選別機でチェックを行うため、この機械を交換しない限り認識されないのだ。なお、新しくする際にはコストはもちろんのこと、世界中で不足している半導体が必要となるため時間を要する。また、2024年には新紙幣の発行が予定されていることもあり、いま新500円硬貨のためだけに更新するお店は多くないのだろう。
新500円硬貨が私たちの社会、そして生活に浸透するには、まだまだ時間がかかりそうだ。
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