公開日: 2022/07/28
更新日: 2022/09/06
中古車ビジネスを行うにあたっての、ちょっとしたポイントを主要テーマとし、インタビューを交え掲載。今回は「女性ユーザー獲得のポイント」についてまとめている。
コロナ禍により、多くの販売店では販売台数、修理依頼ともに増加。それに伴いよく耳にするようになったのは、「女性客が増えた」という声。確かに街中ではスクーターに乗る女性を多く見かけるようになった。元々、女性ユーザーの少ない業界だけに、女性からの需要をガッチリと掴んでおくことは、重要テーマといえよう。
最近、女性マーケティングという言葉が使われている。これは文字通り女性視点でのマーケティングだが、女性特有の生き方の多様化、価値観の変化を理解し、どのようなニーズや不満、悩みが生まれるか? 変化するのか? を考慮して戦略設計を立てること、だという。
消費問題に詳しいライターの喜多濃英昭さんは「一般的に、消費行動の意思決定については、全体の8割に女性が関与していると言われてます」という。これは女性が財布のひもを握っている家庭が多いということ。つまり、決定権者である女性のユーザー比率が高まると、購入に至る可能性、即決の可能性が高くなるのだ。
「ここ数年、女性の労働力はどんどん高まっています。総務省発表による2021年労働力調査では、女性労働者は2980万人で前年を12万人上回っています」(同)。つまり、確実に消費力が高まっているのが分かる。
では、二輪販売店では具体的にどのような方策を講じればいいのか。欠かせない要素の一つが女性好みのラインアップだろう。ここで、男女別車両購入比率を見てみよう。自工会の二輪市場動向調査(2021年度)によると、原付一種スクーター購入者の女性比率は38%(2019年度実績41%)、原付二種7%(同9%)、オンロード250ccクラス9%(同7%)、400ccクラス7%(同4%)、大型クラス6%(同1%)となっている。特徴的なのは、趣味的要素の強い軽二輪以上の比率が軒並み上がっているところ。つまり、三密を避ける通勤通学手段としての購入ではなく、趣味として楽しもうという意識がうかがえる。
250ccクラスの人気車両の代表格としては、レブル250が挙げられる。同機種は新車の入荷遅延に伴う需給バランスの変化により、中古相場も高騰。堅調推移が続いている。
人気の理由としては、690mmという両足が着くシート高、軽量で取り回しの良いところ、170kgほどの車両重量が挙げられる。女性にとっても、かなり扱いやすいモデルであるため、男女比率は拮抗か女性の率が高いと言われている。
女性がレブル250に興味を持つキッカケの多くはSNSだと某新車ディーラー経営者は語る。
「ツイッターによる情報拡散(#レブル女子、#バイク女子等)です。他のユーザーからの勧めが購入動機となることが多いです。あと、店選びの基準ですが、女性はバイクを安く買うというところに重きを置かず、女性スタッフがいるショップを選ぶ傾向にあると思います。ウチでも若い女性スタッフを採用したら、驚くほど女性のお客さんの来店が増えました」
技術的な面についてアドバイスをすることで、女性の気持ちを掴む方法もある。
新車・中古車を扱う販売店Aでは、バイクの取り回しに関するアドバイスを行っている。例えばサイドスタンドを払うタイミングについて。跨った状態でブレーキを握り出し入れするほうがやり易いことから、それを推奨している。
また、クラッチの全切りについても次のように指摘する。これは女性に多い話だが、長距離を走ると左手が疲れる、と言う人は多い。そこで半クラと全切りの違い、全切り以降は単にレバーを引いているだけであることを教えている。
「女性のお客さんは、みんな、目からウロコ、という感じになります。ただ、人によっては覚えることがあり過ぎて、これ以上詰め込めない、という場合もあります。そのため、それぞれの状況に応じたアドバイスを心掛けています」
千葉県流山市内に拠点を構える販売店Aでは、取り扱いに関するアドバイスの他、本音に配慮した対応も行っている。例えばカラーリング。本当はダークな色が欲しいけど、これに乗ったらどう思われるのか、バカにされるのではないか、ということを考える人もいるという。
「女性のお客さんと話していると、何となくその状況が見えてきます。そんな時は、その思いを察して、本当に好きな色を買うようプッシュします。そのほうが、バイクから降りる確率も減りますからね」
女性ユーザー確保の術は、他にも色々とあるだろうが、女性が好む車両のラインアップ、ちょっとした乗り方アドバイス、そして女性心理を理解したうえでの対応などがある。小さなことのようだが、間違いなく効果はありそうだ。
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