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国内4メーカーの2022年新車国内出荷台数は37万3300台。前年比微減となるも37万台をキープ

公開日: 2023/02/01

更新日: 2023/02/02

2020年からのコロナ禍において、業績を伸ばした業界の一つが二輪業界。2021年の国内4メーカー新車国内出荷台数(以下、出荷台数)が37万8720台と、2015年以来の37万台以上となり、前年比15.3%増。中でも小型二輪クラスは21世紀になって初の5万台を突破し、6割近いプラスを記録した。また、原付二種も2割以上のプラスで原付一種と差が2000台ほどまでに迫っていた。

その勢いが2022年も続くのかが注目されていたが、結果は前年比1.4%減の37万3300台(二輪車新聞社推定値)。2021年同様、37万台以上は維持したものの2021年のような、前年から1割以上の伸長とはいかず、勢いは鈍化した。しかし、物流の問題や半導体不足により、車両の供給が遅延している状態が各メーカーともに継続していることから、潜在的なニーズは数字以上のものがあると思われる。

さて、各クラスの出荷台数を見て行くと、原付一種クラスが13万3600台(前年比4.6%増)、原付二種クラスが10万4500台(同16.6%減)、軽二輪クラスが5万9300台(同11.7%減)、小型二輪クラスが7万5600台(同30.0%増)。

原付一種は2年連続で前年比プラスを記録。二輪最大のボリュームゾーンである原付一種は右肩下がりの状態が止まらずにいた。単年で前年比プラスになることはあったが、過去10年間において、2年連続プラスを達成したことはない。2012年の24万6145台から半分ほどに落ちてはいるものの、連続してプラスになったことから、12万から13万台あたりが底なのではないだろうか。それを検証する意味でも、2023年の動きは注目しておきたいポイントの一つだ。

ただ、今年すぐということではないが、原付一種には『第4次排出ガス規制』適用の問題がある。それをクリアする案として、昨年11月、自工会と全国オートバイ協同組合連合会が自民党オートバイ議員連盟に対して要望を提出している。簡単に言えば、排気量による区分から出力による区分への変更。排気量は原付一種も原付二種も同等になるというもの。規制の適用は2025年なので、それにどう対処していくのか、その方向性よっては今後の原付クラスに大きな変動があるかもしれない。

原付一種と原付二種、最大ボリュームゾーンのバトンタッチは見送り

出典:二輪車新聞社
出典:二輪車新聞社

原付二種クラスの出荷台数は2021年から16.6%のマイナスだが、それでも2018年から続く10万台以上はしっかりとキープし、10万4800台。減少したとはいえ、好調さは維持していると言えよう。

中でも、大きなシェアを占めているのがホンダ。10万4500台のうち7万6700台と、7割以上を占有。『CT125・ハンターカブ』『モンキー125』のほか、昨年7月に発売された『ダックス125』も人気となり、ホンダの原付二種クラスに勢いをつけた。

2021年、原付一種クラスと約2000台差まで迫った原付二種クラス。最大ボリュームゾーンのバトンタッチはあるのかが、2022年における一つの焦点だったが、出荷台数は3万台近くにまで広がった。しかし、原付二種も好調さを維持しているだけに、この差がどうなっていくのか、今年もまだまだ目が離せない。

また、先ほど触れた原付一種の『第4次排出ガス規制』適用への対処の方向性によって、原付一種と原付二種のバランスがどうなっていくのか、そこも大きなターニングポイントとなるだろう。出力の区分になるのか、あるいは違う方向性も提示されるのか。近いうち何かしらの道が見えてくるだろうから、注目しておきたい。

動画サイトのブイログでよく見かける軽二輪は『YZF-R25』『Rebel250』『Ninja250』

KAWASAKI Ninja250
KAWASAKI Ninja250

 原付二種クラスと同じく、2021年の出荷台数から1割以上のダウンとなったのが、軽二輪クラス。5万9300台で前年比11.7%のマイナス。

ただ、6万台を割ったとはいえ、5万9300台という数字自体は、過去10年間を見ても、2020年と2021年を除けばトップの数字。決して悪い実績ではない。また、前述したように、まだまだ供給の遅延が解消されていない。コロナ禍以降、生産や物流が何かと問題になるが、その状態を抱えたままでも6万台近い出荷台数なのだ。

軽二輪クラスですぐに連想されるのが、YouTubeなどの動画サイトでツーリングなどの動画を公開するバイク系の『Vlog(ブイログ)』。このブイログを見ることが2020年あたりから、非常に増えた。

特に目にする回数が多い車種は、ヤマハ『YZF-R25』のほか、ホンダ『Rebel250(レブル)』カワサキの『Ninja250(ニンジャ)』。ニンジャに関しては250ccクラスだけではなく、400ccもよく見かける。この3車種は女性人気も高い。特にレブルは足つき性の良さから、中年層や運転に不安を持つ女性初心者からの支持は、さらに高まっている。

レブルは、2022年の新車販売台数を見ても、軽二輪クラスのトップ。唯一、1万台以上を販売しているモデルである。ニンジャも販売台数4位で、3942台を販売。R25は1650台で12位だが、まだまだ人気の高い車種だ。

新車販売台数ランキングでは、2位がホンダ『PCX160』、3位がスズキ『Vストローム250』、5位がスズキ『ジクサーSF250/250』など、一つのカテゴリーに集中することなく、様々なカテゴリーのモデルが売れている。スーパースポーツ系が売れればスーパースポーツ系に集中、アメリカンが売れればアメリカンに集中、ストリート系が売れればストリート系に集中といった、過去に何度かあった一過性のブームのような動きではない。非常に健全な状態であると言って良いだろう。

小型二輪クラスは2021年の6割増に続き2022年も3割もの大幅増

KAWASAKI Z900 RS SE
KAWASAKI Z900 RS SE

最後は小型二輪クラス。このクラスは2021年の出荷台数が5万8164台と、前年比58.4%もの大幅プラスを記録。その勢いが持続するのか、反動で落ち込むのか、2022年の動向は注目ポイントの一つだったが、結果は7万5600台。台数が落ち込むどころか、勢いが増し、前年比30.0%と2年連続して大幅な増加となり、1998年以来、24年ぶりの7万台超えとなった。2021年に21世紀最高の出荷台数を記録したが、2022年はそれをさらに塗り替えた。

この勢いはデータでも明らか。2022年の小型二輪新車販売台数は10万0889台。外車も含むデータだが、10万台の大台を突破するのは、これも1998年以来のこととなる。つまり、21世紀の最高台数を新車の販売台数においても更新したのだ。

コロナ禍によって、密にならないパーソナルモビリティとして注目を浴びた二輪車。そして注目されるだけではなく、結果としても数字を残した。小型二輪は、通勤・通学や生活の足というよりは、バイクを趣味として楽しむという側面が強い。バイクを趣味として楽しむ人の増加は、二輪業界にとってかなり明るい材料だ。

ただ、安心はできない。2020年や2021年は、旅行や外食を控えたり、二輪関係だけではなくエンタメ系なども含めた様々なイベントが中止になったりしていたが、昨年あたりから徐々にできることが増えてきた。コロナ前のように、消費者の目がいろいろなことに向き始めているのだ。

実際、販売店からも「2021年ほどの引き合いがない」などの少々心配な声も届いている。小型二輪クラスは2021年の6割増に続き2022年も3割もの大幅増だが、軽二輪クラスでカテゴリーの偏りがなく売れ、小型二輪の出荷台数や販売台数が大きく伸びている。

これらは、ユーザーのライフスタイルに欠かせないツールとして、バイクが認知されてきている証拠とも言える。それをしっかりと定着させるため、2023年は、買ってもらうための提案と同様に、乗り続けてもらうための提案が大切な要素になってくるだろう。

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