公開日: 2023/10/09
更新日: 2023/10/16
油冷・単気筒エンジンをつんだスズキのスポーツアドベンチャーツアラー「Vストローム250SX」を、バイクジャーナリストの小林ゆきさんが一般道とダートコースで試乗インプレをしてきました!
今回スズキはアドベンチャー系、Vストロームというシリーズの末っ子ということで、5機種、7バリエーションの250のカテゴリーにわざわざ加えました。比べるというにはあまりにもキャラクターが違うかもしれないですが、なぜ末っ子を加えたかというところを味わっていきたいと思います!
さて、峠道の上りにやってました。このVストロ―ム、アドベンチャーというカテゴリーにくくられた250SX。SXのSはスポーツ、Xはクロスオーバーの意味で、オンオフ両用、どこまでも行けるといった意味合いがあるそうです。ハンドリングに関してはいわゆるオフロードバイク、トレールバイク、オフロード専用バイクに近くて、そのように走れちゃいます。上から見ると、やはりタンクも広げてあって、アドベンチャーらしいボリューム感がありますが、走りは本当にひらひらという感じ。今回の250SXは、足回りの設定で技術者さん達の議論があったそうで、格好だけオフにしてオンロードよりに作るやり方もあったと思いますが、ダートも走れるように作ったそうです。今、オンロードのアスファルトを走っている限りは非常にシッカリ感のある走りです。
フレームがダイヤモンドフレームで、エンジンがジクサー系のエンジンなので、非常にスリムでコンパクト。しかも軽いということで、ダイヤモンドフレームですが、凄くかっちり感があります。恐らく足まわりがキャストホイールになっていて、その辺もオンロードを攻め込んでいけるようなシッカリ感があります。フッと軽く入っていく感じが実に気持ちいいですね。試乗コースであまりスピードは出せないんですが、目の前にある小さいスクリーンが風よけに非常に効いています。顔の首辺りに風が当たってこないので、恐らく高速走行ではこれが疲労の軽減に繋がっていくのかなと思います。
視界に入る部分で言えば、スクリーンもそうですし、またナックルガードも標準装備なんですね。電源を取れるソケットも付いてるんだ、凄いな。メーターのところにも小さなバイザーがあるんですが、これも日よけになるように作ってあります。色々関心するところが沢山あるんですが、今回はダートも走っていいということで、イボイボタイヤではないですが、きっと開発陣もその辺は自信を持ってオススメしたいということなのでしょう。フラットのところで小回りをしっかりやってみたいと思います!
さて、ダート走行ということですが、実は私はダートが得意ではなくて、このバイクもトラコンが付いてないです。ただ、ABSだけは付いてますので、ちょっと注意しながら、クルクル回っていきたいと思います。
早速クルクル入っていきましたが、タイヤがオンロード寄りなので横滑りしてしまいます。全然寝かせていないけど、あっという間に横に滑っていきますが不安がないですね! その辺はやはりフロントタイヤのサイズ設定と、キャスタートレール。ある程度オフロードの路面に行くと、少しだけ粘りが出てきます。
そして、先ほどから感激してるのは、立ちで走った時の姿勢とバランス感覚が非常に私のように小柄な人間にもちょうどいい! アドベンチャー系って大柄な人向けの設定だったりもするので、ステップとハンドルのポジションがなかなか難しくてバランスが取りにくいことがあったりしますが、油冷エンジンは足元がコンパクトであることがよく分かります。競技用のモトクロッサーのような細さではないですが、足元でしっかりコンパクトに狭くなっていることで、左右に振る動きが簡単にできます!
あんまり得意ではないのですが、せっかくスズキさんが設定してくれているので、今からスキー場の山肌が見えたガリガリコースを走行してみたいと思います! トレッキングぐらいの速度でトコトコ行って参ります。
ゆっくりめで走っていますが、1速の使い勝手がめちゃくちゃいいんですよ。インジェクションもそうだし、やはり油冷エンジンということで、フリクションロスが非常に少ないです。1万回転まで軽く噴き上がるエンジンだそうで、非常に下から粘り強くてちょっと上げたら出力を増すという感じです。またサスペンションですが、インド市場がメインだったりするので、凄く硬いのかなと思いきやバネで意外と動きます。奥の腰もあるので、非常にバランスがいいです。フロント・リヤともにバランスがいいです。ブレーキ、バイブレというブレンボ系列のブレーキなんですけれども、これがまた非常に秀逸で分かりやすい。フロントが微妙に横滑りをするんですが、すごく粘ります。上手な人はもっと開けていけるんじゃないかなと思います!
ということで、スズキのニューモデル「Vストローム250SX」を試乗してまいりました! Vストロームのシリーズはいろいろあって、既に250も出ておりますが、そちらは水冷エンジンで、今回のVストローム250SXは油冷エンジンを積んでおります。何といっても軽さが勝るところで性格が違います。ですが、軽いだけではなく今回のこのコンパクトな油冷エンジンは、フリクションが少なく、エンジンが軽く1万回転ぐらい吹き上がります。それでいて低速の粘りが、普通ギクシャクしがちな1速、2速でもギアがしっかりダートでも使いきれて、私ダートは初心者なんですが、コースに行ってもどうにかなるし、どうにかしてくれるっていう感じでした。
そして、250SXはフロントが19インチになっていますが、このフロント周りの構成がオンロードで軽くスパスパ入ってめちゃくちゃ楽しい! 昔KLXという、17インチのオンロードタイヤを履かせたバイクに乗っていましたけれども、その感覚を思い出すダートラのような感覚で楽しめます。ダートに行くとまた違った性格を現してくるんですよ。ちょっと深い砂利とか大きな石がごろごろしているガレ場で、フロントタイヤが弾かれて横滑りした場面では、少しだけ粘るというか、方向性を正してくれる感じがあって、オンロードもオフロードも楽しむことが出来ました。
装備重量が164キロということですが、今までのシンプルなオフロード車にだいぶ近いものがあり、色んなとこで軽量化頑張ったなというのが見られます。ですが、軽くても装備にチープさを感じないです。逆にしっかりしたリアキャリア、高級感のあるスクリーン、ナックルガードが付いていて、何ならスズキの立体エンブレムをわざわざタンクカバーに付けていたりと、高級感を感じさせるような装備がついているので、所有者を満足させるような1台となっております。
まだまだ言いたいことは沢山ありますが、是非実車を見て驚いてください!
【小林ゆきさん略歴】
横浜育ちのバイクブーム世代。バイク雑誌の編集者を経て、現在はフリーランスのライダー&ライター。バイクを社会や文化の側面で語ることを得意としている。愛車は総走行距離25万kmを超えるKawasaki GPz900RやNinja H2など10台。普段から移動はバイクの街乗り派だが、自らレースに参戦したり鈴鹿8耐監督を経験するなど、ロードレースもたしなむ。ライフワークとしてマン島TTレースに1996年から通い続け、モータースポーツ文化をアカデミックな側面からも考察する。
◎小林ゆきブログ
◎X(Twitter)
◎Kommonちゃんねる
小林ゆき大絶賛
人気記事ランキング