公開日: 2025/08/28
更新日: 2025/08/28
東京オートバイ協同組合(AJ東京)は7月30日、東京自動車サービス健保会館で、講師に採用コンサルタントの小澤明人氏を招き、「『刺さる求人』人を動かすメッセージを!」をテーマとする、人材確保セミナーを開催した。当日はAJ東京の組合員だけでなく、他単組の組合員も参加。また、車両やパーツメーカーのスタッフなど、オンライン参加者も含め約100人が聴講した。
人材確保セミナーは、東京都が行っている業界別人材確保強化事業(カスタマイズ支援)の一環として実施している取り組み。同事業を担当する「東京しごと財団」からAJ東京に声が掛かり、理事会での検討を経て開催に至った。講師は、年間2000人超の求職者を支援し、延べ400社以上の採用コンサルティングを手掛ける小澤明人氏が務めた。
冒頭、AJ東京の中澤吉浩理事長は次のように挨拶した。
「我々がキチンと商売を継続していかなければ、ライダーは安心・安全で楽しいオートバイライフを送れなくなってしまう。今日のセミナーが人材確保に向けた最初のアクションになると思うので、楽しみにしていただきたい」
人材確保セミナーでは、下記の4項目に分けて説明が行われた。
①「『欲しい人材』ターゲットに向けた作戦を」
②「採用マーケットの変化を知ろう」
③「『メッセージと連動』人を動かし入社まで」
④「必須! 今どき情報の掴み方と採用HP」
まず①では、コロナ禍が明けてから新卒採用のエントリー数がゼロになったという企業が増えたことを指摘。この理由は、2018年まで横ばいで推移していた18歳人口が、この年を境に急減しているから。2041年には、2018年の118万人から79万人にまで減少すると予想されており、これまでと同じやり方では人材が集まらないのは当然のこと。だからこそ、ターゲットに合わせた作戦を練ることが重要、と説く。
続いて②。今どきの若者は、働き方に対する捉え方がひと昔前とは大きく異なり、3年後に身に付く知識やスキルを重視している。そのため、若者向けの求人では、どの分野で、どれくらい挑戦できるかを明確にすることが重要。また“アットホーム”という言葉は、その環境に入りにくい印象を与えてしまうため、使用を避けるべき、としている。
この他、外国人留学生の採用についても言及した。コロナ禍の影響で、2021年に約1万人にまで減少した留学生は、2022年には16万7128人と急増。彼らは現在、大学3年生であるため、来年の就職活動では多くの応募が予想される。外国人を採用するには最低限、「在留カードの確認」「留学生の学歴と専攻の確認」「日本人と同額以上の給与」、この3つを覚えておく必要がある。また、自動車整備はビザ更新可能な「特定技能」の対象であるため、二輪業界でも外国人採用を検討してもいいのではないかと、語った。
次に③では、ターゲットに応じた求人の書き方を紹介。新卒・若年層であれば企業価値・事業価値に重点を置いた内容、非正規・転職者には、即戦力か将来性かといった詳細な職務内容を示すなど、メッセージの使い分けが大切となる。「未経験可」や「充実の研修制度」といった言葉は刺さらない。また、時短勤務のような多様な働き方を受け入れることや、採用に苦戦している印象を与えないよう、求人広告を放置しないことも重要だと語る。
そして④では、相手の気持ちを動かす「力強い言葉」の事例を紹介。例えば、求人でよく見かける“携わる”という言葉は、傍にいたいという意味となり、弱い言葉になってしまう。これを「追う」と「求める」、動詞が2つ重なる“追求する”と書くことで、より強い言葉にすることができると述べた。
小澤氏は、セミナーの総括として次のように語った。
「就労人口の総数はまだ減っていません。ただ、高齢化が進んでいるため、最も人口が多い団塊ジュニア世代(50~54歳)が高齢者となる、5~10年後にはその数が急減します。この事態に備えて、人材の採用方法を確立しておかなければ、取り返しのつかないことになります。ぜひ、採用活動をアグレッシブに変化させて下さい」
セミナー後には質疑応答が行われ、多くの参加者から質問が寄せられた。AJ東京の人材確保セミナーは11月26日に、第2回目を開催する。人手不足に悩んでいる、という方は、ぜひ参加を検討してみてはいかがだろうか。
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