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3分でわかる中古二輪車ビジネスの“ツボ” ショップ選びの時、多くのユーザーが考えることとは?

公開日: 2023/11/03

更新日: 2023/12/14

ユーザーがバイクショップに求めるものとは何か。「これから店を選ぶ」のか、あるいは「すでに何件かの販売店を知っている」のかによって意見は異なるものと思われるが、コロナ禍をキッカケとしたライダーの増加や、ここ数年におけるユーザー志向の変化など、市況は変わりつつある。こうしたことを踏まえ、過去にユーザー取材を行った際に聞いた、バイクショップに対する代表的な要望をいくつか挙げてみる。

最重要視はやはり口コミ教習所のインストラクターに聞く、という意見も

最重要視はやはり口コミ教習所のインストラクターに聞く、という意見も
最重要視はやはり口コミ教習所のインストラクターに聞く、という意見も

❶ 外からでも店内の様子が分かる
❷ 店内の清掃が行き届いている
❸ 常にこっちのことを気にかけてくれる
❹ 質問に対する的を射た的確な回答
❺ 技術力が高く、作業内容等の説明が分かりやすい
❻ 店の情報を、SNSを通じて常に発信しており、ネットでの評判がよい


順に見て見ると、まず❶「外からでも店内の様子が分かる」は、初めてバイクショップに行く、という人に多い意見。要望と言うよりは、「こうあって欲しい」という感覚的な意見といえる。

食品や日用品、衣料品を扱う店に行ったことのない人は、まずいない。でも、バイクショップとなると、興味・関心がない限り行くことはない。これは楽器販売店などにも言えること。行ったことのないショップだと、何を話せばいいのか、どんなことを聞かれるのか、など全く想像がつかない。そのため、少なからず抵抗感を感じるもの。それをある程度、払拭するためには、店内の様子が少しでも分かるほうが、店のイメージがつかめて安心感が得られる、ということなのだ。

❷「店内の清掃が行き届いている」については、もう言わずもがな。何もバイクショップだけに限らない話だろう。清掃が行き届いている、ということは、ユーザーの目には、「このショップは細かいところに目が行届く」と写る。これだけでアドバンテージだろう。 整理整頓も一つのバロメーター。例えば工具。キチンと管理されているかどかどうかは、モノを大切に扱うかどうかの判断基準となる。つまりツールを大切にするということは、バイクも大切に扱う店であることが想像できるのだ。

続いて❸「常にこっちのことを気にかけてくれる」。この「気にかけて」は、例えば一度、修理等でお世話になった後も、バイクのことを気にかけていてほしい、という要望の表れである。例えば、「その後、バイクの調子は如何ですか?」などと電話やメールで連絡してくれるような、そういった対応を望んでいるのだろう。こう考える理由の一つとしては、何かあると助けてくれる、的確なアドバイスがもらえるという安心感だろう。

「口コミ」を店選びの基準と考えている人が多い

「口コミ」を店選びの基準と考えている人が多い
「口コミ」を店選びの基準と考えている人が多い

次は❹「質問に対する的を射た適格な回答」。これは、バイクにあまり詳しくないユーザーの場合、聞きたいことを上手く伝えられないことがある。こうした時であっても、ユーザーが伝えたいことや要望について、会話の内容から推測し、分かりやすい言葉で的確なアドバイスを行う、というもの。ユーザーが求めるのは理解。納得が得られるか否かによって、成約に結び付く可能性は大きく左右されるだろう。

❺「技術力が高く、作業内容等に関する説明が分かりやすい」。これを重視するユーザーが多いのは、安全に直結する問題であることを認識していることも理由の一つ。カスタムを楽しむユーザーも多いが、自分が望むカスタムが理に適ったものなのか、見た目はいいけどポテンシャルが下がるようなことはないか、など、アドバイスを受けたいと思う人もいる。

こうした要望に対し的確な回答をするには、技術力という裏打ちがあって、はじめて対応できるものだろう。説明の分かり易さについては、「なぜこの修理が必要なのか」「そのまま放置するとどうなるのか」などについて、順序立てた説明が得られる。また、パーツ交換の時などは、例えばパッド交換の場合、新品と摩耗状態のパッドを実際にその場で見せ、納得が得られやすい状況を創り出す。こうすることで、ユーザーの納得度は確実に増す。やはり、何を判断するにあたっても、自分自身の理解が不足しているとジャッジはできないだろう。

最後に❻「店の情報を、SNSを通じて常に発信しており、ネットでの評判がよい」。ショップがどのように口コミされているのか、気にならないという人のほうが少数だろう。ステマ規制などの問題もあり、いまは口コミを100%信用する人は少ないだろうが、やはり気になる、と感じるのが一般的。

口コミ関連の市場調査を行う「クチコミッション」が、店選びに際し、「飲食店を選ぶ際、どのような情報から判断しますか?(複数回答可)」という調査を行った。対象は飲食店であったが、結果は、『口コミ(23.8%)』との回答が最多。次いで『メニュー(20.7%)』『場所(18.0%)』『価格帯(17.9%)』『外装・店内写真(12.5%)』『営業時間(5.9%)』と続くことが分かった。飲食店とバイクショップという違いはあるが、この調査からも分かるように、「口コミ」を店選びの基準と考えている人が多いことが分かる。つまり、良し悪しの判断基準の一つは口コミなのだ。

あるユーザーはこんな話もしていた。

「教習所に通っていた時、インストラクターの意見を参考にしました。欲しいバイクの話をしていたのですが、インストラクターだから色々と詳しいかも、と思い、おすすめのショップについて聞いてみたところ、3店ほど教えてくれました。その情報を元に、私なりに調べましたが、すべて信頼できそうないいショップでした」

今回、列挙したのは、ごく一部の要望だが、これを見ることで、ある程度の基準が見えてくる。要望を1から10まで対応する必要はないが、これはできない。けれども、こういうことを考えている、ということを知っておくだけでも、かなり変わってくるものと思われる。

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