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駐車場問題で超党派ワーキンググループの創設を要請

公開日: 2025/04/24

更新日: 2025/05/01

日本維新の会オートバイ議員連盟は3月27日、参議院議員会館で「二輪車に関する要望ヒアリング」を開催した。今回は国土交通省道路局と都市局の担当者より、高速道路車種区分に関する説明や市中おける二輪車駐車スペースに関する状況説明が行われた。また、AJからは駐車場問題に関する超党派のワーキンググループ創設が提案された。

二輪の占有者負担「0.8」を決めるにあたり、様々な議論を実施

全国オートバイ協同組合連合会 大村直幸会長
全国オートバイ協同組合連合会 大村直幸会長

日本維新の会からは馬場伸幸会長、石井章事務局長をはじめとする13名の議員が出席した。AJからは大村直幸会長、岡田隆幸副会長ら正副会長が、オートバイ政治連盟からは吉田純一会長が、そしてJMCAからは松原弘代表理事が参加した。また、警察庁、国土交通省、経済産業省の各省庁から担当者が出席し、AJからの要望に対する回答を行った。

最初に国土交通省道路局より「高速道路料金の現行の車種区分」について説明が行われた。現在、車種区分は5つに分かれており、普通車を1.0に設定。負担区分は建設費用に与える影響度合いに応じた①「原因者負担」、車両長を速度で割った②「占有者負担」、時間短縮などの便益を考慮した③「受益者負担」の3つの観点で算定している、とした。

二輪の占有者負担「0.8」を決めるにあたっては、様々な議論が行われた。その一部を紹介する。

四輪は車両の全長を速度で割り占有者負担を算出しているが、二輪は高速走行中に制動した時の距離が長くなりがちで、転倒リスクもある。そこで二輪の前後に50cm、トータル1mを足したものを速度で割って0.8としている。ただ、これを今日的な視点で見ると、高速上での二輪事故は漸減しており、ABS等の安全装置も備わっていることから、プラス1m規定は不要、との議論を行っている。これがなくなれば、占有者負担の0.8という数字は低下し負担は減少することになる。

こうした状況を受け現在、車種区分全体の見直しの検討を進めている。現行の5車種区分の決定後、30年以上が経過しておりその間、車両諸元や高速道路の利用状況は変化していることが背景にある。今後、AJをはじめ四輪関連団体も含め意見を聞き、議論をさらに深めて適用について決めていく、としている。

続いて二輪車の定率割引とツーリングプランの実施結果等についての説明が行われた。定率割引は昨年度から距離要件を100kmから80kmに緩和し実施している。結果についてはデータを取り分析を行っているが、関係団体からも距離要件の緩和等について要望を受けているという。いまの時期、ツーリングには絶好のシーズンであることから当面、4月から、この制度の要件として、使用を開始する。ツーリングプランについては、定率割引プランとして前年度を上回る利用がある。プランの増設についてもアンケート結果は好評。4月から使用を開始する計画であることを明らかにした。

新基準原付受け入れについて昨年11月に通達を実施

新基準原付受け入れについて昨年11月に通達を実施
新基準原付受け入れについて昨年11月に通達を実施

続いて「市中における二輪車駐車スペース」について国土交通省都市局から説明が行われた。まず、都市局では駐車場法に基づく対応や地方公共団体への技術的助言等による対応、予算による支援などを組み合わせながら、駐車場所の確保を進めている、と現状について説明。このなかで技術的助言については、「自転車等の駐車場には原付までが停められるところが多いが、自動二輪も柔軟に受け入れる取組推進を図るよう要請している。また、四輪の駐車場に余剰スペースがあれば、そこに自動二輪の駐車施設を転用するお願いも行っている」と報告がなされた。

「新基準原付への駐車場対応について」では、原付を受け入れていた駐輪場の受け入れ状況について複数の自治体を調べたところ、駐輪場を設置する時に条例を設けているが、条例の規定を確認すると、道路交通法による定義や道路運送車両法による定義が大多数であったことが判明。つまり、新基準原付は、条例上は停められることが確認できたことになる。一方で実際、現地確認を行うと50cc以下は駐車可能、との表示があるなど齟齬もあった。

そこで昨年11月13日、地方公共団体向けに技術的助言として通達を行った。原付を受け入れている駐輪場においては、新基準原付が停められるように、しっかりと規約を含め運用確認を実施し、受け入れるよう通達したことを明らかにした。

東京都の二輪車保有台数あたりの駐車場数は、四輪車に比べ7分の1ほどにとどまる

東京都の二輪車保有台数あたりの駐車場数は、四輪車に比べ7分の1ほどにとどまる
東京都の二輪車保有台数あたりの駐車場数は、四輪車に比べ7分の1ほどにとどまる

続いてAJの石井大専務理事より要望事項について説明が行われたのでポイントについて紹介する。まずは「二輪車の高速道路利用状況」について。

二輪車の通行料金の独立化と適正化について、普通車の2分の1を要望しているが、軽自動車と同一区分で普通車1に対して二輪車は0.8となっている。現在、議論が行われているが、独立化と適正化の達成を早急にお願いしたい、と要望。また、ETC車載器の購入に対する助成金の支給に言及。令和7年度の継続実施について感謝の意を表明した。

続く「二輪車の駐輪場の確保と現実的な駐車違反取り締まりの実施」は、現実に則した対応を望む、というもの。東京都では二輪車の保有台数当たりの駐車場は四輪車に比べ7分の1ほど。二輪車が活用されるべき都市部で車両の特性が活かされてないのが現状となっており、二輪車駐車場の附置義務条例を働きかけていただきたい、と要望。これに関連し、AJ大阪の福井二朗専務理事よりある提案がなされた。

「(2006年の)道交法改正から19年が経過するが、駐車場問題に進捗がない。これは地方自治体や中央の問題が関係するが、地方と話しても意思疎通は難しい。そこでお願いしたいのは、駐車場ニーズの調査。現状の調査は路上にオーバーフローしている車両を数え、駐車場不足を判断しているが、(駐車場不足に伴い)徐々にバイクでは行かなくなっている。そのため一見、オーバーフローが少ないように感じるが、決して駐車スペースが充足しているわけではない。二輪ユーザーに駐車場に関するアンケートを取り、実態を見極めることが必要だ。現在、自民党、公明党、日本維新の会の各党において、二輪車駐車場問題を長年議論していただいているが、なかなか点と点が繋がらず、線にならない状況が続いている。これを継続的に行うために、ワーキンググループを作っていただきたい。そこに議員の先生方や国交省、業界関係者も加わり議論ができればと考えている。法律の施行から20年となる節目を目途に、ぜひお願いしたい」

かなり大きな要望となるものの、超党派でのワーキンググループとなれば、今後の進展に大いに期待が高まる。



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