公開日: 2025/10/22
更新日: 2025/10/23
CLASSICシリーズ初の、ツインエンジンを搭載した「CLASSIC650」。バイクジャーナリストの小林ゆきさんとBDSバイクセンサーイメージガールの竹川由華さんが試乗インプレを行いました!
小林―――650ccの空冷ツインエンジンを積んだクラシック650ツインを試乗してまいります。シート高は800mmと、まあまあ高いですね。メーターがすごく可愛いです。今、ストトトトッと優しくエンジンがスタートしました。シートはサドルシートで前方がすぼまっている形状のため、足の踏み替え時に若干の苦労を感じます。
さて、本日の試乗はロイヤルエンフィールドです。元々イギリスのブランドでしたが、現在はインドを本拠地として、世界中に製品をデリバリーしているメーカーです。ロイヤルエンフィールドが快進撃を続けている理由。それは、現存する最古のブランドメーカーの一つとして、往年のスタイルを今に伝える、伝統的なクラシカルモデルを多様な角度でリリースしている点にあります。さらに、最新の技術を用いて昔のスタイルを具現化していることが人気の秘密であり、その人気は日本でも定着していると言って過言ではないと思います。
では、乗ってみた実際の印象を細かく語っていきます。まず「意外とシート高が高い」と述べた800mmという点ですが、これはインド製であること、またヨーロッパ圏に向けた大柄な男性基準で作られているというのもあると思います。残念ながら私の体重では、走行中はサスペンションが硬く感じました。ただ、発表会では日本のショーワが日本で開発したサスペンションだとわざわざ発表されていました。そのため、リアは70kgオーバーの方であればちょうど良いと感じるのかもしれません。50kgに満たない私にとっては、硬く、動きづらいという評価に留まらざるを得ないのが現状です。
はい、では加速してみましょう。なるほど、6速あるうちの3速でも、こういった市街地では十分に走れますね。
さて、今回のクラシック650ツインは、ライディングポジションが実にしっくりきます。少し腰高ではありますが、ハンドル、座面との関係性ともに、最適な位置だと感じます。ハンドルは意外と高い方向に、斜め後ろ上に伸びる独特の形状です。シート高は800mmで、私の足では両足は全くつきません。しかし、サドルシート型で前方が大きくすぼまっているため、沈まないサスペンションであっても、片足の足つきに関しては、私と同程度の身長160cmの短足気味でも問題ありません。
一方で、踏み換えの際には、サドルシートの形状が内腿の造形と干渉することがあり、最初は戸惑うかもしれません。シートのエッジも滑るタイプではないです。ただ、これも慣れの問題ですね。
今回のクラシック650ツインは、高級感あふれる外観のフィニッシュが際立っています。メッキを多用し、乗車しているミントブルーのカラーは、エンジンガードやサイドスタンドまで統一されるなど、細部までこだわり抜かれています。「ここ樹脂でいいんじゃない?」と思うようなパーツが、アルミで作られています。
その結果、車重は240kgとやや重めですが、この重さがどっしりとした安定感に繋がっています。走り出してしまえば重さは感じず、ネイキッドのテイスティモデルに乗っているような感じです。腰が高い分、レーンチェンジでは軽やかに動く印象を受けました。重心が高いというよりは、腰での入力に対して機敏に反応するため、非常に気軽に扱えるバイクだと感じます。
市街地での低速走行ですが、マンホールや障害物を軽やかに機敏に避けられます。思った通りにピペッとレーンチェンジができるので、非常に扱いやすいですね。このまま峠に行きたいくらいです。ゆったりと市街地を走っていて実に気持ちいいのは、ライディングポジションによるところが大きいと思います。体がちょうど直立している感じ、昔で言うところの「殿様乗り」のように、椅子に腰かけただけみたいな感じですね。ステップもそんなに後ろではなく、膝の下ぐらいにあるイメージなので、足元もだいぶ楽ちんです。
ちょっとフロントブレーキをキュキュッと掛けてみますが、この足回りの「今っぽさ」がいいですね。ブレーキは過不足なく思った通りにかけられるし、しっかり効きます。昔ながらのテイスティモデルにありがちな甘さは微塵もなく、ちゃんと現代の技術で構成されているのがわかります。
エンジンのフィーリングですが、意外と軽やかに聞こえますね。650ツインですから、スロットルを戻してエンジンブレーキがかかっているときが、一番ツインらしい低くて野太いサウンドがエキパイあたりから聞こえてきます。そして、私の足が短いせいか、タンクからのパルスは感じますが、タンクをしっかり挟むことができません。この点については、ぜひ由華ちゃんのコメントも聞きたいところです。
私がこのバイクで一番好きなのはメーター周りの眺めです。ヘッドライト上部のバイザーがライダー目線からも見え、とても可愛らしいですね。そして、平らになっているところに、3連メーターではないですが、イグニッションもあり、昔っぽいデザインはとっても可愛いです。
さて、少し加速してみましょう。今、2速でふわっと加速すると、途端にドコドコ感がお尻に伝わります。先ほどの発表会で非常に興味深かったのは、タンクのラインが手描きで描かれている点です。その筆の痕跡がはっきりと見て取れます。で、その職人さんですが、なんと何世代にもわたって同じ家族の方が請け負っており、塗りの技術だけでなく、筆などの道具まで伝承されているそうです。ロイヤルエンフィールドがインドで継承され、今、大きく発展している背景には、こうした伝統技術の存在も大きいと思いますね。
竹川―――皆さんこんにちは、BDSバイクセンサーのイメージガール、「たけはん」こと竹川由華です。
シート高800mmなので高いですね。現在両足の母指球がしっかり地面について踏ん張れるため、足つきが極端に悪いということはないです。今、緩やかな坂道で停止していますが、両足を下ろした状態でも、つま先がしっかりついて踏ん張ることができます。念のため右足をブレーキに乗せて止まります。
停車時、足を出す際に左足に何かが当たる感覚がありました。純粋にシート高800mmのまま足を下ろすというよりは、少し外側に足を出しているような感じです。足の長い男性なら気にならないと思いますが、小柄な私にはこの当たる感覚が少し気になりました。
タンクは大きく、デザインもおしゃれでかっこいいですが、乗車していると存在感を強く感じ、ニーグリップが非常にしやすいです。ハンドルポジションも、遠すぎず近すぎず、私にとってとても楽な姿勢です。試乗車に乗ると、ブレーキやクラッチが遠い、レバーが手に届きにくい位置にあると感じることがよくありますが、このバイクは全く気にならず、操作が非常にしやすいです。
ブレーキはよく効きますね。また、ニュートラルの位置が非常に分かりやすく、信号待ちでもスムーズに入ってくれるのが良いです。緩やかなコーナリングも曲がりやすく、街乗りがとてもしやすいバイクだと感じます。
カラーリングも非常に可愛らしく、この水色も素敵ですが、個人的には試乗車とは別の濃い青が特に可愛いと思いました。どの色も魅力的ですね。気持ちよく走っていたのですが、どうやら道を間違えたかもしれません。はい、またやりましたね、竹川さん。多分、今のとこ曲がんないといけなかったとこじゃないのかな~。
小林―――今、二人で順番に乗ってきました。目の前にあるのは、先ほど乗ったバイクとは異なるカラーリング、そしてシングルシートになった状態です。様々なカスタムパーツの組み合わせで変えられるそうです。
竹川―――見た目が全く違うため、別のバイクなのかと思いました。
小林―――センタースタンドが立っている状態でポジションを皆さんにお伝えします。短足代表として、身長160cmの私がまたがります。このクラシック650、「ロクゴーマルツイン」と読むそうです。ゆったりとしたポジションで、ハンドルは広めですが、手前に引かれていて、ちょうど良い角度になっています。
今、私はシートの一番前に座っていますが、正直、膝下リーチがないためニーグリップはできず、太ももでタンクの端を挟んでいる状態です。おそらく、一般的な体格の方はもっと後ろに座ると思います。私は前寄りのポジションが運転しやすいです。
では、ちょうど良い体格と思われる由華ちゃんに代わります。
竹川―――運転していて違和感がなく、とても乗りやすかったです。またがると、シートの真ん中に座っても、ハンドル位置がしっくりきて、全然遠く感じません。650ccなので大柄かと思いましたが、またがってみると、肘に少しゆとりがあるくらいで、レバーも非常に操作しやすかったです。
小林―――レバーは調整機能が付いており、外側に引っ張ってダイヤルを回すと位置が変わります。これにより、好みに合わせて細かく調整可能です。
竹川―――まず見た目がクラシックでおしゃれです。650ccでシート高が800mmあるため、足つきを心配しましたが、両足がしっかり着き、不安なく運転できました。走り出しの坂道でも、足つきが良いおかげでスムーズに発進できました。
操作系が非常にシンプルで見やすい点も気に入りました。ウインカーは日本のバイクと同じプッシュキャンセル式で、余計なものがついていないため、何も考えずにスムーズに操作できます。ギアチェンジもしやすく、新しい試乗車にありがちな硬さもなく、ニュートラルにも自然に入ってくれます。道に迷い信号待ちが多くなりましたが、不安なく停車できたことで、とても楽しく乗れました。
小林―――由華ちゃんがなかなか帰ってこないので心配しましたが、迷子になっていたんですね。でも、ニコニコしながら帰ってきたので、このバイクのシンプルさと乗りやすさが、運転手にゆとりを与えてくれるのだと思いました。由華ちゃんが言ってくれた通り、私もシンプルで乗りやすく、ハンドリングもオーソドックスで、まさに言うことなしのバイクだと感じました。
デザイン性についてさらに細かく見ると、ありとあらゆる部分に手が加えられ、手間がかけられています。例えば、グリップはタル型でロイヤルエンフィールドの刻印があり、スイッチボックスもわざわざ専用に作られています。日本のバイクのパーツだと樹脂が多いですが、こちらは金属で作っています。
ヘッドライトは可愛らしいバイザーが付いており、LEDでありながら、昔ながらの電球のようなデザインになっています。近未来的なデザインではなく、クラシカルな雰囲気を大切にしているのが素晴らしいです。
竹川―――多くのパーツにロイヤルエンフィールドのロゴが入っており、まるで「隠れロイヤルエンフィールドを探せ」というようなワクワク感があります。カバーやミラーにもマークが入っていて、カスタムをする際も、この純正のデザインで揃えたくなります。
小林―――発表会で、さまざまなカスタムパーツがありました。写真を見たところ、装着すると全く違うバイクのような見た目にできるそうです。ロイヤルエンフィールドのクラシック650ツインは、ネイキッドで伝統的なタイプのバイクです。ライバルとしては、カワサキのWやメグロ、そして同じイギリスのブランドであるトライアンフのトラディショナルモデルなどが競合するでしょう。
どのバイクも乗り味は素晴らしいと思いますが、今回のロイヤルエンフィールドは、デザイン性と基本的な乗り味が確かな上に、細部に手間暇をかけて作られている点が素晴らしいです。もし気に入ったら、長く飽きずに楽しめる一台になると思います。ところで、由華ちゃん、ロイヤルエンフィールドのTシャツを着ていますね。
竹川―――はい、試乗会でプレゼントしていただきました。お腹を出してきたんですけど、お腹を隠させていただきました!
小林―――アパレルも展開されているようなので、まずはアパレルから入ってみるのも良いかもしれません。ではまた次回の試乗会をお楽しみに!
【小林ゆきさん略歴】
横浜育ちのバイクブーム世代。バイク雑誌の編集者を経て、現在はフリーランスのライダー&ライター。バイクを社会や文化の側面で語ることを得意としている。愛車は総走行距離25万kmを超えるKawasaki GPz900RやNinja H2など10台。普段から移動はバイクの街乗り派だが、自らレースに参戦したり鈴鹿8耐監督を経験するなど、ロードレースもたしなむ。ライフワークとしてマン島TTレースに1996年から通い続け、モータースポーツ文化をアカデミックな側面からも考察する。
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【竹川由華さん略歴】
滋賀県出身のアイドル。愛称はゆうかりん。第二回サンスポGOGOクイーン審査員特別賞受賞。バイク好きの両親の影響で、自身でもツーリングに行くバイク女子。愛車はGPZ750・CBR250RR。2022年3月「BDSバイクセンサー」のイメージガールに就任。バイク好きアイドルとして活動の幅を広げている。
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◎竹川さんちのゆうかちゃんチャンネル
長く飽きずに楽しめる一台になると思う!
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