公開日: 2025/11/24
更新日: 2025/11/26
クラシックな見た目と最新技術を融合させ、リッターバイクでありながら誰もが安心して乗れるよう、乗りやすさと軽快さを極めたホンダ新型CB1000Fを、バイクジャーナリストの小林ゆきさんとBDSバイクセンサーイメージガールの竹川由華さんが試乗インプレを行いました! 小林ゆきさんは「悪いとこが見つからない・・・!」と絶賛。
小林―――こんにちは、バイクジャーナリストの小林ゆきです。
竹川―――皆さんこんにちは、BDSバイクセンサーのイメージガールの「たけはん」こと竹川由華です。よろしくお願いします。
小林―――ついに待望のホンダCB1000Fに試乗できる時がやってきました。発表されてからプロトタイプが出て、時間がかかりましたが、ようやく公道を走れます。ただ、またしても路面が濡れています。ストリート仕様なので、レインモードを試すのにちょうどいいです。まずは私が乗ってきます。レインモードで走ります。由華ちゃんもレインモードからの方がいいですね。
竹川―――私も大型バイク不安なので、レインモードで走りたいと思います。
小林―――はい、じゃあ今から走っていきましょう。雨が降ってきたので、レインモードに切り替えました。はっきりと出足がマイルドになるのが分かります。わざと白線の上を行っても、スロットルの開度に対して出力が規制され、出足が抑えられる感じです。レインモードは、走り始めでパワーがかかるところで滑らないよう穏やかな設定です。
今、4速の3000回転ぐらいで峠道の登りに差し掛かっていますが、トルク感がめちゃくちゃあります。グイグイ山を登っていく感じです。ここからワインディングに入っていきます。しばらく走ってからインプレを語ろうと思います。
ワインディングを登っていますが、路面は濡れているので、レインモードを色々試しています。2速まで下げてみて、加速したり強めにエンブレを掛けて減速したり、ブレーキを使ったりしているのですが、ビッグバイクの場合、2速まで下げると、スロットルを戻す方向(減速方向)でエンジンブレーキがかかりすぎたり、開ける方向でパワーが出すぎたりすることがあります。今レインモードだと、2速のままでこののんびりしたワインディングを楽しく走れるくらい、意のままに扱えている感覚です。
そして、この峠は縦溝が切ってあります。縦溝はバイクにとって非常に鬼門で、特にフロントのハンドリングが取られやすい悪条件です。しかし、今CBで2速や3速で走っている限り、おそらくレインモードでホンダのトルクコントロール(トラクションコントロール)が最大で効いているようで、縦溝が全く気になりません。タイヤのプロファイルや溝の切り方もあるでしょうが、縦溝が一切怖くないです。グニグニやってみますが、何も怖くない。おそらく細かくトラコンが介入し、6軸のIMUも含めてコントロールしてくれていると思います。
またがってみて驚いたのが、「何これ、軽い」「何これ、足つく」「何これ、足元細い」という感じです。1000ccですが、CB400 SUPER FOURに乗るような気軽さがあります。とっつきの良さは、ホンダのビッグバイク史上過去一ではないでしょうか。CB1300SUPER FOUR、ビッグワンプロジェクトの歴史を知る者としては、「すごい、ビッグバイクもここまで軽やかに仕上げることができるんだ」と思いました。
ビッグバイクの存在感や乗っている感も欲しいと思いますが、その点はタンクの大きさや、マフラーからのエキゾーストの音で満足できます。エンジンも含め、ライダーに対して重低音サウンドがお尻の下から腹にかけてずっしり聞こえてきます。「ドヒュドヒュ」「ボーボー」と鳴っています。今、車がいる状況で雨の中のんびり走っていますが、「リッターバイクを扱っている俺」という感じで、満足感の高い、デカいバイクを操っている感があるエキゾーストサウンドです。
スタンダードモードに入れました。走行中なので出力の違いは分かりづらいですが、スロットルの開け始めはどうでしょうか。今、コーナリングを2,000回転ぐらいまで下げてから立ち上がります。「ブリブリブリ」みたいな、若干バラバラする感じの音が聞こえます。これは、キャブレター車に市販のフルエキゾーストを組み直して、まだ調整が必要な段階の時のあのサウンドに似ています。
技術会であったのですが、インジェクションの1番2番と3番4番のタイミングを微妙にずらしてあるそうです。この調整が効いていて、多分、ビッグバイクらしさを与えるようなフィーリングを生み出しているのかもしれません。ホンダがインジェクションでもそうやって音を作れることを見つけちゃったのでしょう。
信号に来ました。またがって驚いた「軽い」「足元細い」という点ですが、今、足は両方つきます。片足だと真ん中に座っていてちゃんと母趾球が地面についています。ブレーキはもちろん良いものがついていますが、それを支える足回りも高級感があります。元の設定(おそらく前後とも未調整)は、初期の動き方が分かりやすく、人によっては柔らかめに感じるかもしれません。今日の私の体重は49kgですが、またがった時に沈むのもそうですし、ほんの小さな段差でも全て吸収してくれている感じです。
ストローク量は若干多めですが、それによってちょっとしたアクセルのオンオフなどでピッチングモーションが作りやすいし、分かりやすい。つまり、運転している感、操作している感がとても楽しい方向に仕上がっていると感じます。とにかくとっつきがいいんですよね。「CBといえばとっつきだろう」という。久々にホンダさんが、ビッグバイクでここまでとっつきがいいというのは、なかなかです。
プロトタイプを何度も見せられて、ようやく出てきました。今日のプレゼンで最初に見せられたのは、ユーザーの声をまとめたグラフィックでした。その結果、こうなったのだと思います。ホンダは、「過去の歴史を踏まえ、CBとはかくあるべきだ」と、今後もスポーツバイクの総称としてCBを中心に据える。そして、CBがレブルやCRF、アフリカツインなどのジャンルの違うバイクであっても、中心にあるという話をしていましたが、まさにその通りです。これこそが教習車になるべきだとさえ思いました。
竹川―――今、私は御殿場の峠道を走っています。出発、坂道発進、余裕ですね。
両足ついた状態で、今日はブーツを履いてきましたが、若干かかとが届かないかな、ぐらいで、つま先から土踏まずぐらいまでしっかりついています。両足でしっかり安定して支えることができました。坂道で止まった時も、しっかり片足で支えることができたので、「え、これ1000ccですよね?リッターバイクですよね?」と思うぐらい、安定感のある支えができました。
一番気になる発進の時ですが、クラッチのつなぎ目も遠すぎず、発進の時にエンストをビビってしまうのですが、スムーズな発進ができました。「スーッ」という感じです。足つきの不安感や、車体が重いので支えられるかという不安感、起こした時の重量感を全く感じません。
走っている時も、私は大型で右折がとても苦手なのですが、その苦手な部分をなくしてくれているんじゃないかというくらい感じないです。大型でこういう山道を走る時も、どうしても不安なんですよ。免許取得から何年も経ち、大型に乗り始めてからも経ちますが、今でも大型に乗る時はドキドキするんです。でも、このバイクはドキドキ感を忘れるぐらい安心感を与えてくれています。
めっちゃ乗りやすいです。ハンドル位置も遠すぎず、肘が曲がる遊びがあって、扱いやすいですね。
小林―――CB1000Fに乗ってきました。私にとってCBといえば、CB750Fというバイクが思い出のバイクです。私はその大元となったCB750Fが試験車両だった世代で、あと、昔テイスト・オブ・ツクバ(筑波サーキットのレース)で、CB750Fをベースにしたバイクで出たことがあるので、その記憶を辿りつつ、今のCBにどう進化したのか試しました。
今日、晴れ予報だったのにずっとウェットコンディションでしたが、レインモードから走り始め、スタンダードモードも試しました。出力の特性は違いますが、力で落としているというよりは、開け始めを穏やかにしているという感じです。ただ、そこから先はしっかりトルク感があります。
スタンダードモードに変えた時に、音が急に変わったのがはっきり分かりました。これは、先ほどの技術説明会であった通り、インジェクションですが、4気筒の1番2番と3番4番で、バルブタイミングをほんの少しだけずらしてあるからです。それによって、音も少し「ブリブリブリ」みたいなフィーリングになり、バイクブーム世代にとってはキャブレターっぽい懐かしい感じがします。その辺もよく作り込んであると思いました。
細かいこと言うと、エンジンの面白さとかありますが、またがった瞬間に「軽い」とか、足元が見た目以上にスリムなのが良いです。私、短足代表としては、足が非常によくつくし、重心位置、重心バランスが、スポーツをするバイクがわざと重心を高くする傾向にあるのに対し、これはストリートでとっつきやすいオールマイティなベーシックなものとして作られているので、おそらくわざと重心も下げているのかなと思いました。それが、普段使いでまたがって起こす時などに安定感や軽さに繋がっていると思います。
サスペンションのセッティングも、沈み始めが分かりやすく、上品にいっぱい動く感じです。ベテランさんは柔らかいと判断するかもしれませんが、おそらく開けていった先にはしっかりコシがあるはずです。今日は雨で試していませんが。「柔らかい」と言って急に固くするのは良くないと思います。ものすごくとっつきやすく、今日みたいな雨のコンディションにはものすごく安全だと感じました。
由華ちゃんと私とでは世代が全く違います。私はこのバイクの大元を知っているため、つい比べてしまいますが、由華ちゃんはこれを初めて知る世代です。どうでしたか?
竹川―――見た目もシックで、目の前にあるのは「ウルフシルバーメタリック(グレーストライプ)」、ブラックラインが引き締まったデザインですが、普段見慣れないデザインなので、新鮮な刺激を受けました。
実際に乗ってみて、しっかり足がつくのは、すごく安心感があって、自分の中でも自信になると思いました。大型バイクは車高が高く、足がつきにくいものが多い中、このバイクは片足ステップにのせて片足ベタ着き状態にしたり、両足をついた状態でもでしっかり踏ん張れるのが、安心感につながりました。起こした時も、もちろん重い車両ではあるんですが、重さを感じさせない、起こしやすいと思いました。
走っている時、大型バイクの右折、右カーブが苦手なのですが、大型だと余計に大きいので、曲がりにくかったりするのですが、このバイクは曲がりやすいです。ストレートはもちろん、今日雨の中走らせていただきましたが、初心者でも走りやすいバイクだと思いました。
小林―――さっき駐車場でくるくる回ったりしたんですけど、思いの他小回りするんだよね。全然気負わずに小回りできて、ジムカーナやる人とかもいいんじゃないかなと思いました。
竹川―――発進の時も、スムーズに発進してくれるんで、エンストしにくいです。
小林―――そう、しないのよ。さっきUターンの作業を何度もしたんですけど、2速のままクラッチも切らずに、回転が低くても、普通だったらエンストしちゃうようなところが全然粘る。すごい低速でも粘ってくれます。
ネガティブな話はないのか、とジャーナリストとしては思いながら見ていましたが、強いて言うなら、昔のCBを知る人が「フロントのヘッドライトが丸い。その下に丸いホーンが二つあるのがCBらしいところで、そこまでやるならメーター周りもちょっと昔っぽくしたらいいんじゃないか」と思うベテランさんはいるかもしれないけど、でも液晶メーターは圧倒的に見やすいですね。
竹川―――私もう一つびっくりしたのが、キーを刺さなくていいんですね。車のスマートキーみたいな鍵です。ポケットに持っていればOKです。1回押したらそのままカチャッと回してくださいと言われて。私も最初押しながら回すのかと思ったら、1回押したらもうスイッチできる。
小林―――新しい機構とか、トルクコントロールとかABSとかもすごいんですけど。
竹川―――ゆっきーさんが走ってるところを後ろから見させていただいてて、ライトがペカペカ光ってたんですよ。危ないよ、というお知らせをしてくれてるのかな、と思って。
小林―――せっかく雨なんで、トラクションコントロールとかABSとか、後ろが危なくない程度で試してたんです。そしたら、急減速だったり、急激なシフトダウンをした時に、後ろにハザードでお知らせする機能がついているんだそうです。乗っている自分は後ろどうなってるか分からないんですけど。
竹川―――後ろから見たらピカピカしてて、急にハザード焚き始めたのかなと思ったら、バイク自体が賢いので、危険を教えてくれるんですよね。
小林―――トラコンも色々試したんですけど、運転してる限りはどこからトラコンが効いているか分からなかったんです。後で聞いたら、トラコンが効いている時はメーターで光るそうなんですよね。なるほどね、と思いながらも、乗ってる限りはすごく自然でした。いろんな意味で運転を助けてくれるし、でもベーシックな一台だと私は思いました。
竹川―――もう一回ツーリングに行きたいなと思う一台でした。
小林―――楽しさも加わっている面もあるんで、今までのビッグネイキッドは大きくて重いことが所有感や運転してる感に繋がるバイクが多かったけど、これはまた違う次元で完成度が高まった気がしました。ということで、皆さん気になる足付きは、じっくり別の動画でやりたいと思います。
【小林ゆきさん略歴】
横浜育ちのバイクブーム世代。バイク雑誌の編集者を経て、現在はフリーランスのライダー&ライター。バイクを社会や文化の側面で語ることを得意としている。愛車は総走行距離25万kmを超えるKawasaki GPz900RやNinja H2など10台。普段から移動はバイクの街乗り派だが、自らレースに参戦したり鈴鹿8耐監督を経験するなど、ロードレースもたしなむ。ライフワークとしてマン島TTレースに1996年から通い続け、モータースポーツ文化をアカデミックな側面からも考察する。
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【竹川由華さん略歴】
滋賀県出身のアイドル。愛称はゆうかりん。第二回サンスポGOGOクイーン審査員特別賞受賞。バイク好きの両親の影響で、自身でもツーリングに行くバイク女子。愛車はGPZ750・CBR250RR。2022年3月「BDSバイクセンサー」のイメージガールに就任。バイク好きアイドルとして活動の幅を広げている。
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いろんな意味で運転を助けてくれるベーシックな一台!
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