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電動二輪車の実証実験「eやんOSAKA」と国内4メーカーが連携。目指すは「電動バイクって、ええやん!」

公開日: 2020/10/16

更新日: 2022/09/06

日本自動車工業会・二輪特別委員会は9月、大阪府、大阪大学と共同で電動二輪車普及に向けた実証実験「eやん OSAKA」をスタートした。国内4メーカーが2019年4月に設立した「電動二輪車用交換式バッテリーコンソーシアム」もこれに連携し、実験を通して、交換式のバッテリーの利便性や有用性についても検証する。プロジェクト期間は1年間としている。

観るモノから乗るモノへ。20世紀から21世紀にかけて、電動バイクのポジションが変化

<center>「eやんOSAKA」で使用される「BENLYe :」</center>
「eやんOSAKA」で使用される「BENLYe :」

 20世紀、電気で動く二輪車は実際に存在した。だが、実用化にはほど遠く、まだまだドラマや映画の中の乗り物だった。有名なところでは、コミックやアニメ映画の「AKIRA」。主人公である金田が乗っていたのが電動バイクである。20世紀の電動バイクは、“乗るモノ”ではなく“観るモノ”だったのだ。

 しかし、21世紀になると、そのポジションに変化が表れる。ヤマハ「パッソル‐L」をはじめとする電動バイクが次々と製品化され、SFの世界が現実化した。最初は原付一種クラスのスクーターが主流だったが、最近ではジームが取り扱う「Zero SR/F」や「SUPER SOCO TC MAX」など、軽二輪や大型二輪クラスのスポーツバイクまで出てきている。

 これらのことからも分かるように、今や電動バイクは遠い存在ではなく、身近な存在になりつつあるのだ。

 そして、この9月から、電動バイクをより身近なモノとするための取り組みが大阪で始まった。それが、電動二輪車普及に向けた実証実験「eやんOSAKA(=ええやんおおさか)」だ。

 これは、「産学官」が連携し、環境性能に優れた電動バイクの普及、認知度向上、さらには電動バイクの活用による持続可能な都市交通戦略の検討を目的とするプロジェクト。主軸となっているのは大阪府、大阪大学、日本自動車工業会二輪特別委員会の3者。さらには、ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキの国内4メーカーが2019年4月、日本国内における電動二輪車の普及を目的に設立した「電動二輪車用交換式バッテリーコンソーシアム(以下、コンソーシアム)」も連携。バッテリー交換システムの共通仕様検証を進めていく。

1年かけて実証実験を行い、電動バイクが社会インフラとして定着するための課題を抽出

<center>実証実験は、大阪大学の吹田キャンパス・豊中キャンパス周辺で実施される</center>
実証実験は、大阪大学の吹田キャンパス・豊中キャンパス周辺で実施される

 電動バイクの課題として挙げられるのは、航続距離の延長と充電時間の短縮化。この解決手段の一つとして、交換式バッテリーの標準化と交換システムの普及が有効だと考えられている。

 そこで「eやんOSAKA」では、これらの課題への対策を検討するため、大阪大学の学生や教職員に電動バイクを有料でレンタル。大学のキャンパス内や、キャンパスのある大阪府北部(吹田市、豊中市、箕面市)周辺地域のコンビニエンスストアと提携し、そこをバッテリー交換基地に設定。学生や教職員に電動バイクを使ってもらいながら、1年間かけて、電動バイクが社会インフラとして定着するための課題を抽出していく。

 また、この結果を踏まえて、大阪府内での実証サービス拡大も検討する予定となっている。この実証実験を通して大阪府では、蓄電池関連分野の産業振興、大阪・関西万博の目指す「S D G s ( エスディージーズ/Sustainable Develop-ment Goals=持続可能な開発目標)」達成に役立つ社会課題解決ビジネスの創出につなげる意向だ。

 大阪大学は、大阪府包括連携協定に基づき、地域活性化、府民生活の向上、社会課題の解決に向けて、実証実験に取り組む。自工会は、実験を進めていく中で、街なかでのバッテリー交換の利便性検証に加え、電動バイク普及の阻害要因を洗い出していく。それと同時に、実験を通して電動バイクの認知度向上にもつなげ、移動手段としてユーザーから「選ばれるモビリティ」となることを目指す。

 コンソーシアムでは、交換式バッテリーの利便性と有用性の確認の他、バッテリー交換システムの共通仕様に関する検証も同時に行っていく。

 この「eやんOSAKA」を通じて、「電動バイクって、ええやん!」と広く一般に認知されるとともに、課題の抽出や対策の検討がなされ、便利で環境にも優しい乗り物として、電動バイクが一層身近な存在となることに期待したい。

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