EV電動バイク岐阜県

Futureが岐阜県で電動モビリティの実証実験を実施!

公開日: 2021/02/16

更新日: 2022/09/06

 電動モビリティのスタートアップ企業であるFutureは昨年12月、岐阜県で電動モビリティの実証実験を実施。今年も1月から愛知県でデリバリー・宅配サービス業者に車両20台を貸与しテストを行っている。同社の実証実験を紹介するとともに、年々、大きくなる電動化の波についても考察した。

「十年ひと昔」どころか、わずか5年で電動モビリティが大きな波に

<center>車両は用途別に3タイプを用意</center>
車両は用途別に3タイプを用意

 今から5年前の2016年。小誌が電動モビリティに関する記事を掲載したのは、わずか数本。片手で余るほどだった。しかし、現在では電動モビリティに関する話題のない月は、まずない。と言っていいだろう。 「十年ひと昔」というが、時代の変化は目まぐるしく、わずか5年で、小さかった電動化の波がビッグウェーブとなって二輪業界に押し寄せているという感じだ。東京都港区六本木のFuture株式会社(以下、フューチャー)も、大きな波を形づくっている企業の一つ。

 同社は昨年12月5日と6日の両日、岐阜県恵那市で開催されたスポーツ大会「WOMEN‘S RALLY in 恵那2020」で、恵那市と共同で電動モビリティ「FUTUREMOBILI-TY GOGO!(以下、GOGO!)」を活用した実証実験を行った。これは、コロナ禍における移動の改善や、カーボンニュートラルの実現に地域から貢献することを目的とした、シェアリング電動モビリティの実証実験。駐車場から会場まで、800メートルの上り坂を来場者がGOGO!で往復するというもので、延べ500人以上が利用したという。

 実証実験に使われたGOGO!は三輪のモビリティ。昨今は、キックボードタイプの立ち乗りのものが多数、流通しているが、GOGO!は着座して乗ることができる。特徴は、サスペンションに特許出願済みの「マルチリーンステアサスペンション」が採用されているところ。バイクのように車体を傾けることができるのだ。そのほか、大人が乗っても窮屈にならないサイズ感がありながらも、車重が軽く仕上げられており、「重量はわずか22㎏」(フューチャー)なのだという。一般的な原付一種スクーターは80㎏前後なので、わずか四分の一ほどの軽さだ。

 最高時速は30㎞で航続距離も30㎞だが、このような乗り物の利用方法を考えた場合、片道15㎞以上の距離を走るケースは少ないだろうから、航続距離が利用の妨げになることは、そう多くはないだろう。

 このGOGO!にはいくつかのバリエーションがある。スタンダードモデルが「GOGO! S」、後ろにカゴのついた「GOGO! カーゴ」、同じく後ろにデリバリーバッグのついた「GOGO! デリバリー」。これらのほか、カーボンモノコックフレームの採用などレーシングテクノロジーが凝縮された「FUTUREMOBILITY F1」もラインアップされている。

自分がバイクのある場所に行くのではなく、自分の行く場所にバイクがある

実証実験では、バイクに無関心な人も興味を示したという実証実験では、バイクに無関心な人も興味を示したという
実証実験では、バイクに無関心な人も興味を示したという実証実験では、バイクに無関心な人も興味を示したという

 フューチャーでは、恵那市での実証実験のほか、今年の1月から愛知県春日井市でも新たな取り組みを開始している。

「地域のデリバリー業者や宅配サービス業者に20台のGOGO!を貸与し、業務に利用していただきます。期間は、1月18日から6月末までを予定しております」(同)

 これは、電動モビリティとアプリケーションシステムを活用したもので、取り組みを通して有効利用の方向性を探っていく、としている。

 さて、これは余談になるが、あるタレントが次のようなことを言っていた。
「テレビを見ている人の芸能人に対する感情は、『好き』『嫌い』のほか、『無関心』の3つに分けられる。好きや嫌いは、何かしらの感情が動いた結果だが、無関心層はそもそも何の感情も持たない人たち。こうした無関心層が、嫌いという人よりも怖い」

 例えば、バイクに興味のない人にバイクを訴求する場合。非常に経済的で、走行性能も優れたバイクが登場しても、興味のない人がわざわざ店に足を運んでバイクを見に行くことは、そうそうないと思われる。

 無関心層に訴求していくには、バイクのある場所に行かすのではなく、行く場所にバイクがあるということが大切な要素の一つだ。その意味において、フューチャーが昨年12月に行った実証実験は訴求力が高いものと思われる。イベント会場までが上り坂で、「歩くのが面倒くさい」という人もいただろう。そこに「会場までどうぞ」と電動モビリティを提供したのだから、バイクに無関心でも「乗ってみようか」となった人もいたはず。その際、「便利だな」と思う人がいたら、その人が未来のGOGO!ユーザーになる可能性はあるだろう。

 世の中、そんなトントン拍子に物事は進まないだろうが、日本各地で行われている電動モビリティの実証実験を通して、消費者は実物を目にし、時には試乗体験もできる。そういったことが積み重なっていけば、消費者と電動モビリティの距離もどんどん近づいていく。ここ数年の間にますます大きくなった電動化の波だが、今後も勢いは衰えることなく、さらに大きく、さらに加速していくのかもしれない。

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