公開日: 2022/06/28
更新日: 2022/09/06
近年、「SDGs」という言葉の浸透とともに、同目標の1つ「つくる責任、つかう責任」に関する、ある問題が注目を集めている。食品ロス問題だ。これを巡っては各国で削減の気運が高まりを見せているが、日本ではどのような取り組みが行われているのだろうか。
食品ロスとは、本来食べることができるにも関わらず捨てられている食品のこと。これについては、2030年までに飲食店や家庭で捨てられる1人あたりの食料を半分に減らすことが、SDGsの目標に盛り込まれている。
農林水産省と環境省は6月9日、2020年度の食品ロス量を発表した。食品メーカーやレストランなどの食品関連業者から発生する「事業系食品ロス量」は275万トン(前年比▲34万トン)、一般家庭から発生する「家庭系食品ロス量」は247万トン(同▲14万トン)で、合計は522万トン(同▲48万トン)を記録。これは、食品ロス量の推計を始めた2012年以降、過去最少であることが分かった。ちなみに、この合計を国民1人あたりで計算すると、毎日、茶碗1杯分のコメにあたる約113g、年間では約41㎏を廃棄していることとなる。
このような現状を踏まえ政府は昨年6月1日より、小売業者が消費者に商品棚の手前にある商品を選ぶように呼びかける「てまえどり」、という取り組みを開始している。この背景には、小売店の食品ロス発生要因の大半を期限切れが占めていることがある。そのため、同取り組みを通じて、期限切れを理由に廃棄される食品を削減する効果が期待されている。
さらに、消費者庁はレシピ検索サイト「クックパッド」で、野菜の皮や茎を活用した野菜まるごとレシピや、余った料理をアレンジしたリメイクレシピなど、多数のメニューを公開している。同サイトを参考にすることで、いつもは捨ててしまうという部位も、手軽に美味しく食することができる。
この他にも、食品ロス削減に関する様々な取り組みが行われている。埼玉県深谷市は今年の6月9日、同月2日に発生した強風とひょうの被害を受け、傷が付いて正規品として売れなくなったトウモロコシを“訳あり品”として販売。当日は販売開始前から100人以上が列を作り、用意していた472箱(1箱13本)が約1時間半で完売するほどの大盛況となった。
また、廃棄予定食品だけを販売する「iiMaquet( アイアイマーケット)」という店も人気を集めている。同店は、企業から納品・販売期限切れの食品を適正価格で買い取り、それらをリーズナブルな価格で消費者へ販売。この活動を通じて、年間約300トンの食品ロス削減に取り組んでいる。
このように、食品ロス問題への関心は年々高まりを見せており、削減のための様々な取り組みが実施されている。「てまえどり」を意識したり、買い過ぎに気を付けることなど、SDGs達成に向けた取り組みは私たちの生活の中に多くある。これらを実践することが、問題解決のための第一歩となるのだ。
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