公開日: 2022/10/05
更新日: 2022/10/05
8月25日、大分県日田市のパトリア日田で「第10回BIKE LOVE FORUM in 大分・日田」が開催された。テーマは、『再評価されている二輪車、人気継続化のためには』。コロナ禍により2020年は開催中止、2021年はオンライン開催となったため、今年は3年ぶりの対面開催となった。
今年も2019年の山梨開催に続き、BLFの関連企画として、チェックポイントをツーリングし、九州やバイクの魅力を体感できる「セーフティーライディング大分・阿蘇ツーリングキャンペーン」を開催。翌日26日には、日田市のオートポリスで出発式を実施し、サーキット内パレードランや記念撮影などを行った。
フォーラムでは、はじめに経済産業省自動車課の清水淳太郎課長が開会の挨拶を述べた。「いかに多くの人に、バイクに乗る喜びや魅力を伝えていくかが、バイク市場の活性化につながっていくと思う。そのために官民一体となり、バイクの魅力を高め、伝えていく必要がある。8月26日からは、大分・阿蘇ツーリングキャンペーンが始まる。バイクの魅力を伝えつつ、地元の美味しいものを食べて頂くことで、地域おこしにも繋がる。こういう取り組みをどんどん広げていくことが重要」
次に、二輪車産業政策ロードマップ2030の取組状況について、経済産業省自動車課の大森洋平課長補佐(BLF開催実行委員会委員長)が「成長戦略として目指すもの」をテーマに説明を行った。続いて、自工会二輪車企画部の川瀬信昭会長(BLF開催実行委員会幹事長)とBLF主催各団体が登壇。「取組施策と工程」をテーマに、ロードマップ2030が掲げる4つの課題と11の施策について、BLF主催各団体がどのように取り組むかや、昨年11月のロードマップ発表後の取り組み状況などを報告。カーボンニュートラル達成へ向けた取り組みについて、川瀬会長は次のように述べた。
「2022年8月から2023年3月までの7ヶ月間、鹿児島県立沖永良部高校に通学する生徒50人に1人あたり1ヵ月EVバイクを貸与して、『ゼロカーボン通学実証事業』を行っている。この実証実験はカーボンニュートラル達成への貢献のみならず、島嶼部における高校生のバイク通学に伴う課題を地方公共団体と連携し、解決策を探る取り組みでもあり、また二輪車を利用する高校生に安全運転教育を届ける取り組みとも考えている。今後もこのような活動を政府や地方公共団体と連携し、できることから着実に進めていきたい」
ロードマップ取組状況説明後には、「【考察】いまバイクが好調な理由、なぜ若者や女性に人気なのか」をテーマに、パネルディスカッションが行われた。パネリストは、全国オートバイ協同組合連合会(以下、AJ)の大村直幸会長、全国二輪車用品連合会の松原弘代表理事、日本二輪車オークション協会の福田博介会長、自工会MOTOINFO編集長の伴千広さん、二輪ジャーナリストの埜邑博道さん、現代文化研究所上席主任研究員の岡田彰さん。
まず、自工会2021年度二輪車市場動向調査を担当した岡田さんより、ここ数年のコロナの影響によって新車ユーザーに起きている変化について、調査結果を紹介。続いて、パネリストがそれぞれの立場でディスカッションを展開した。トークテーマは以下の4つ。
①若者や女性がバイクに目を向けた理由
②コロナ影響によるライフスタイル、バイク価値観変化
③若者・潜在ユーザーが興味を持つ情報やイベント
④さらなるバイク普及のための課題と利用環境改善
活動テーマ③について埜邑さんは、「情報発信に関しては、SNSなどありとあらゆるものを通じて発信していかなければならない。けれども、若者・潜在ユーザーに興味を持ってもらうためにもっと大事なのは、人がいるところに二輪業界が飛び込んでいかないといけないということ。業界の中だけでイベントをやっていては、若者や潜在ユーザーに情報が広がらず、いまの勢いも次第になくなっていくのではないかと思う」と自論を述べた。
また、テーマ④についてAJの大村会長は、「いま、バイクが欲しいという人に届いていないという現状がある。まずは、これを解決しなければいけない。ただ、バイクを利用していくと、必ず駐車場問題が出てくる。この問題を地方自治体等と連携しながら、バイクを止められる使いやすい乗り物として普及させていくことが、二輪市場のさらなる拡大に繋がると思う」と語った。
今回のBLFについて、自工会二輪車委員会の安部典明氏(本田技研工業執行役常務)が次のように総評を述べた。
「3年前の開催と大きく状況が異なるのは、二輪市場が伸びているということ。その中で、リターンライダーはもちろんのこと、若者と女性が増えている。新しく二輪の世界に入ってきた方々が安心安全に乗れる環境を作っていくために、業界一丸となって安全意識の啓蒙を進めなければならない。業界をあげてできることをしっかりと行い、この変化の兆しを本流にすべく努力したい。また、カーボンニュートラルについては、電動化は1つの手段であり、eフューエルや水素燃料を含め様々な道筋があるという認識のもと、1つに絞られることなくお客様の使い勝手に合ったものを模索していきたい」
続いて、来年の開催地が静岡県に決まったことを発表。同県経済産業部地域産業課の山下啓道課長が登壇し、開催に向けた抱負を語った。最後に、AJの大村会長が閉会の挨拶を述べた。
「5年前は、BLFなどの組織で二輪業界の活性化に向けて話し合っていたが、心の中ではこのまま減ってしまうのではないかとも思っていた。けれども、現状は増えている。さらに増やしていくためには、50ccクラスの代替となる新車が必要。今日のバイクが見直されている、そして売れている状況を何とか皆さんと継続させていきながら、将来のロードマップ達成に向けて頑張っていきたい」
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