公開日: 2025/07/28
更新日: 2025/08/12
今や、ネットで何でも買える時代。便利な反面、「知らなかった」では済まない事態を引き起こすこともある。
「たびたび問題になるのはマフラーです」
そう話すのは東京都内の販売店。政府認証などの保安基準に適合したモノではないマフラーでもネットでは自由に買えてしまうので、不適合品とは知らずに自分で付けてしまうユーザーが後を絶たないのだという。
「ウチでは、保安基準に適合していないマフラーが付いた車両の点検、修理、メンテナンスは受け付けておりません」
この店のユーザーのことではないが、こんな話もある。『Ninja250』に乗る50代のユーザーが、ネットで保安基準不適合であるマフラーを、そうとは知らずに購入。早速、換装しツーリングで出掛けたが、途中でうっかり立ちゴケしてしまいステップが折れてしまった。現場近くの店に行ったら「このマフラーの装着車は、ウチでは受けられない」と言われたという。まさに、都内の店と同じ対応だ。その時は、折れたのが先端だったので、そのまま帰ることができたそうだが、そういった修理を受け付けてもらえない、いわゆる『修理難民』が増えている。
ユーザーによっては、不適合品だと店で受け付けてもらえないことがあるのを知っているので、純正品に付け替えて来店する。しかし、『修理難民』になることを知らなければ、そのまま来店してしまう。純正品に戻すように言っても、マフラーなどはパーツ自体が大きく邪魔なので、ネットオークションなどで売ってしまった後、ということもあるのだという。
「ウチでは契約や納車の際、『純正パーツは必ず残しておいてください。社外品だと最悪の場合、どこの店も受け付けてくれないことがありますので』と必ず伝えています。純正パーツが手元にないとなったら、余計な出費になってしまいますから」
ユーザー自身がカスタムするのは仕方ないとしても、『修理難民』にならないよう、店としては一声かけておきたいところだ。
ユーザーによるカスタムの問題はまだまだある。精度の低い工具での作業によるトラブルや、ブランド品に似たパーツの取り付け時のトラブル、年式の勘違いなど。
「最近のバイクはインパクトレンチなどでボルトなどを締めているので、なかなか緩みません」
その緩みにくいボルトに対して、精度の低い工具やモンキーレンチなどで作業し、ボルトのアタマをなめてしまってから店に助けを求めにくる。それどころか、ペンチでボルトを挟んで無理やり緩めようとして途中でペンチが外れ、ボルト周辺のパーツにまでキズをつけてしまったケースもあるという。もちろん、なめてしまったものは元には戻らないので、新しい部品に交換となる。
また、マフラーも同様だが、ブランド品に似たモノがネットですぐに手に入る。でも、そういったものは製品としての精度が低かったりする。例えば、外装パーツならボルトやネジの穴にズレがある、などだ。無理やり部品をこじって付けようとして外装パーツが割れてから店に持ち込まれたりすることもあるという。
ほかにも、例えば2025年に購入したバイクだから2025年モデルだと思い、2025年モデル用のパーツを買ったら年式が違うので付けられず、店に相談しに来たり・・・・。店でパーツを注文すれば、何年に購入したかではなく型式や車体番号で適合パーツを調べられるので、間違うことはない。
「店で買ったり付けたりすれば定価での購入になり、工賃もかかる。でも、初期不良などがあれば購入先との交渉もしますし、プロの整備士が精度の高い工具でしっかりと取り付けます。過去に自分で取り付けて一度でも失敗した経験のある人に、その話をすると『これからはお願いします』と言われることが多々あるのです」
ある意味、これは店のチャンスでもある。ユーザー自身が失敗したからこそ、身に染みて分かるのが、プロの技術とアドバイスなのだ。
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