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8名の現役ライダーに自身のバイクライフをインタビュー!
公開日:
2022/12/08
更新日:
2022/12/08
「身の丈に合ったバイクを選ぶ」これが最近のユーザーの傾向
国民のバイクに対する見方が変わりつつある。それまでバイクに見向きもしなかった人が、免許を取得しバイクを購入するのは、ごく普通の光景となった。また、「バイクは危ない」と乗車を認めなかった親が、通学手段として奨励するようになったケースも増えた。
こうしたなか、需要が伸びているのが原付二種。かつては通勤通学の足としての使途が一般的だったが、いまは軽量ボディによる機敏な走行、個性的なデザインによる視覚的魅力、外装系を中心としたライトカスタムなどがこのクラスの主流となった。
ネオレトロも外せないカテゴリー。ここ数年で急速に人気が高まっている。見た目は懐かしさを感じさせるクラシカルなデザインだが、中身には最新技術を凝縮。カフェレーサーやオフイメージのスクランブラーなどは、”市民権”を得た感がある。
そしてツアラー。年齢層が高く、酸いも甘いも噛み分けたベテランライダーが乗るイメージだが、数年前からリターンライダーを中心に人気が高まり、コロナ禍によって加速度を増した感がある。アフリカツインに代表される大型アドベンチャーモデルも、ソロキャンプ人気により需要が高まっている。
これらについて言えるのは、楽しみ方がかなり多様化しているということ。かつてのように、ネイキッドブーム、アメリカンブームといった、〇〇一辺倒という図式はない。これは、見方によっては日本の二輪市場が成熟化しているからなのかもしれない。
レンタル以外にもサブスク、バイクシェアが増える可能性も
ユーザーがバイクを買い求めるにあたっての傾向は、身の丈に合ったバイクを選んでいる、ということ。流行に乗るわけでもなく、自慢するために買うわけでもなく、純粋にバイクに乗ることを楽しんでいるのだ。これは年配者も同様。「いつかは〇〇」とか「やっぱり外車」という考えの人も減少している。 その証として、それまでは自身の”ステイタス“だった大型を手放し400㏄に代替えする人や、軽二輪を増車したことで、また違った角度のバイク本来の楽しさを見い出した人もいる。
まさに多様化だが、では、今後、新たに出てくるサービス、求められるサービスなどはあるのだろうか。バイク旅行家の藤原かんいちさんに話を聞いた。
「いまの若い人は所有欲が低いので、サブスク、シェアバイクなどが増えるのではないでしょうか。クルマと違いバイクは趣味性が強く、思い立った時にすぐ乗りたい、愛車を傍らに置いておきたい、など、物を越えた特別な存在として捉える人も増えると思います。感覚的には友達、相棒、彼氏、彼女という感じでしょうか。そう考えると、台数自体は減ることはないでしょう」
同氏はアプリを使ったサービスについても言及する。
「専用アプリを作ってバイクをアップグレードしたりカスタマイズしたりできると面白いですね。例えばバイクに名前を付けて、オーナーがその名前を呼ぶと、バイクが『かんいち』などと、応えながらライトが点滅したり。ガソリンやバッテリー残量が減ってきたら『ハラペコ!』『ハングリー!』とかね。愛情が増すような気がします」
やはりスマホ連動は欠かせない。走行機能面においては、例えば走行ルートが簡単に取り込まれたり、AIを使いその地域の人気店やホテルなどの宿泊情報を教えてくれたりすると、かなり便利。これからの時代、スマホとの連動は欠かせないだろう。
ざっと二輪業界のいまと今後について触れてみたが、実際、いま、バイクに乗っているユーザーはどのようなことを考えているのか。「自身のバイクライフ」「販売店との付き合い方」「コロナ禍で変わったこと」をテーマに、各排気量クラス別のユーザーにインタビューした。
Annaさん 30代女性(HONDA CB250R/GB350)
【バイクライフについて】
いま、ライターの仕事をしているのですが、二輪関連記事を書くためレブルについて調べたことがキッカケでバイクが好きになりました。昨年12月に普通二輪免許を取得しGB350をオーダーしたのですが、いつ入荷するのか分からなかったので、すぐに乗れるバイクを、と思い今年2月にCB250Rを買いました。その後、思いのほか早くGBが納車されたのですが、CBにもまだ乗りたかったので、2台持ちになりました。海、ダム、山など自然が豊富なところにツーリングに行くのが楽しいです。
【バイクショップとの付き合い方】
行きつけの店は男性スタッフばかりなのですが、女性がいたら相談しやすいかも、と思います。点検の時しかお店に行きませんが、イベント開催など何かしらインフォメーションがあると、出かけたついでにお店を訪ねる機会が増えるかも知れませんね。
【コロナ禍で変わったこと】
住んでいるマンションの駐輪場にもバイクが増えました。偶然、駐輪場でレブルに乗っている女性ライダーとバッタリ会ったので、話をしたら、最近バイクに乗り始めた、とのことでした。新しいライダー、確実に増えてますね。
原田朋広さん 56歳男性(HONDA CB1100R)
【バイクライフについて】いま所有しているのはCB1100R、CT125、モンキー125、スーパーカブ110Proです。バイクショップや友人、ネットオークションなど様々な手段で購入しました。峠、サーキット、ジムカーナなど色々なことをして遊びましたね。数年前、バイク旅人向けの 簡易宿泊施設「 ライダーハウス風曜日」をオープンしました。 ゲストをバイクで案内する「しまなみ海道ツアーズ」などをやっています。
【バイクショップとの付き合い方】関西に住んでいたころは友人のバイクショップに行っていましたが、いまは行きつけの店はありません。 最近、僕らの見方だった町のバイク屋さんがどんどん減っていると思います。そうしたなかでも、商売とは別に、色々とバイクの話ができるような店に巡り合うと、すごく嬉しい気持ちになりますね。
【コロナ禍で変わったこと】私自身のバイクライフに変化はありませんが、バイク旅人中心の宿泊施設を利用するお客さんは一時期、減少しました。いまは徐々に回復していますが、最近は免許を取ったばかりの方が多く宿泊されます。バイク人口が増えるのは嬉しいですね。
酒井天里さん 28歳男性(YAMAHA セロー250)
【バイクライフについて】友人のスーパーカブに乗ったことがキッカケでバイクが好きになりました。空気の匂いを感じることができるし、風を切って走る感覚が最高なんです。 バイクの魅力に取り憑かれてからは、ミドルクラスのバイクに乗りたいと思うようになり普通二輪車免許を取得。その後、セロー250を購入しました。いまは 通勤で週3~4日ほど使い、月2回はツーリングに出掛けています。最近はキャンプに行く回数が増えていますね。
【バイクショップとの付き合い方】行きつけのバイクショップはYSPです。主には定期点検でお世話になっています。とにかく対応が丁寧で、いつ行っても、アットホームな感じで出迎えてくれます。
【コロナ禍で変わったこと】バイクは一人でも楽しめるので、密を避けて、コロナ禍以前と変わらずツーリングを楽しんでいます。コロナをきっかけに乗り始めた友人もいるので、一緒に走りに行くこともあります。もっとバイク人口が増えれば、メーカーも頑張ってニューモデルを出してくれると思うので、期待しています(笑)。
木津等さん 60歳男性(HONDA CT125/モンキー/DAX/ズーマー)
【バイクライフについて】知人からDAXを譲ってもらったことがキッカケで普通二輪免許を取りました。国の給付金が振り込まれた時だったので、タイミングが良かったですね。主な使途はソロツーリング、釣り、ソロキャンプです。通勤にも使っているので、ほぼ毎日乗ってます。ハンターカブの他にもモンキー、DAX、ズーマーの4台を所有しています。
【バイクショップとの付き合い方】新車のハンターカブを買いました。数か月待ちと言われていましたが、1ヶ月待たずに納車されました。その店はキッチリとした仕事をしてくれるので、とても信用しています。よく、車検がないバイクだと売りっぱなしのことがある、という話を聞きますが、それは一切ありません。排気量が少なくてもバイクはバイク。良いショップを見つけることは、とても重要です。
【コロナ禍で変わったこと】複数で行くツーリングは苦手なので、密にならないソロツーリングを楽しんでいます。私の周りでは、定年後にハーレーを買った人や、カブに乗り始めた人などがいます。バイク人口は確実に増えていますが、その理由は、キャンプなどを楽しむためバイクに乗ろう、という人が増加しているからだと思います。
田中夕貴さん 30代女性(HONDA NC750X)
【バイクライフについて】NC750 Xに乗ってます。今年8月に旧モデルから乗り換えました。3台目にして初めての新車です。新車に乗るのにずっと憧れていました。バイクのエンジン音が好きなんです。メインはツーリングでほぼ毎週土日は出掛けています。ロングツーリングは年に2回ぐらいですね。
【バイクショップとの付き合い方】近所の新車ディーラーが行き付けです。メンテナンスの依頼が多いのですが、お店主催のツーリングに行った時の写真や新しいモデルが出た時には遊びに行きます。スタッフの方が同じライダー目線で色々な話をしてくれるのが楽しいんです。
【コロナ禍で変わったこと】最近は道の駅などでゆっくりするよりも、景色の良いところをのんびり走ることが増えました。 あと、ランチの時は、あえてテイクアウトし景色のいい場所でバイクの側に座り、景色を眺めながら食べることが増えました。1人ランチですね。
山本菜央さん 25歳女性(HONDA レブル250)
【バイクライフについて】愛車のレブル250で日本を一周しました。レブルを選んだのは、アメリカンに乗ってみたかったから。シルエットがカッコいいし、何よりも足着きがいいからです。
【バイクショップとの付き合い方】ある販売店に中古車を見に行ったとき、そのお店のスタッフの方の接客態度が良くなく、あまりいい印象がありませんでした。担当の方のイメージは、お店のイメージでもあるので、重要だな、と思います。
【コロナ禍で変わったこと】バイクは1人で楽しむにはとても有効な手段だと思います。女性の友達から「バイクの免許を取りたい!」「バイクに乗りたい!」と言われることが増えましたが、私の周りではまだ、実際に取得した人はいません。早く一緒に走りたいと思います。
松任竜之介さん 33歳男性(HONDA CT125、SUZUKI グラディウス)
【バイクライフについて】ハンターカブとグラディウス400を所有しています。バイク旅をすることを目的に27歳の時、大型二輪免許を取りました。ハンターカブはツーリングとキャンプ、林道走行を楽しむために買いました。いまは月1回ほどのキャンプと年に2回は行く1~2週間程度の中長期ツーリングを楽しんでいます。
【バイクショップとの付き合い方】バイクショップには定期点検をお願いしているので、その時に伺います。簡単なメンテナンスは自分でやっています。お店でキャンプツーリングやバイク旅などに関連した情報や商品があると、頻繁に行きたくなるのかな。コーティングやレッカー付き保険など自社のサービスを強く勧めてくることもあるのですが、そんな時はちょっと敬遠しちゃいます。
【コロナ禍で変わったこと】2020年はバイク旅やキャンプに行くのをやめていたけど、いまはコロナ以前の状況にほぼ戻っています。もっとアウトドアレジャーを楽しむライダーが増えるといいですね。ブームの加速と共にキャンプギアの種類も豊富になっているでしょ。ワクワクします(笑)。
高西秀平さん 35歳(HONDA トランザルプ)
【バイクライフについて】18歳の時、通学のために普通二輪免許を取得しました。初めて買ったバイクは、知人から譲ってもらったグラストラッカーです。いまはトランザルプに乗っています。もうかれこれ6年経ちますね。大型免許は25歳の時に取りました。いまは全体の8割がツーリングなどの趣味利用で2割が仕事です。
【バイクショップとの付き合い方】近所のショップでかなり程度のいい中古を買いました。これまで3台のバイクに乗り継いできましたが、すべて同じ店で買ったので、10年以上のお付き合いです。今では何でも気楽に相談ができるし、色々と融通が利くので、これからもお世話になるつもりです。
【コロナ禍で変わったこと】コロナが蔓延し出した頃は近場をツーリングするくらいで遠出は控えてました。私は自動車学校に勤務しているのですが、二輪免許取得者は増えてますね。特に普通二輪免許を取って250ccクラスに乗りたい、という女性はすごく多いです。
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