イベントニューモデル注目

カワサキ初となるEV&ハイブリッドなど、『EICMA2022』の国内4メーカーをチェック!

公開日: 2023/01/05

更新日: 2023/01/11

バイク関連のイベントというと、日本では『東京モーターショー』や、東京・大阪・名古屋での『モーターサイクルショー』がよく知られている。それと同じように、ヨーロッパはもとより日本のバイクファンにも知られているイベントに『EICMA(エイクマ=ミラノショー)』がある。1914年に初開催され、100年を超える歴史を持つイベントだ。

昨年も11月8日から13日にかけ、日本のホンダ、ヤマハ、カワサキ、スズキを含め、世界各国から二輪メーカーが集い、イタリア・ミラノで『EICMA2022』が開催された。

エイクマの発表によると、エイクマ2022に参加したブランドは1370。そのうち59%が海外からで、45か国からの参加があった。会場スペースは前年比で35%増加し、6つのパビリオンを使用。来場者数は38%増加したという。

2023年のスケジュールも発表されており、『EICMA2023』は現地時間で11月7日から12日までの6日間、開催される予定となっている。 さまざまなメディアがエイクマ2022について報道しているが、小誌でもホンダ、ヤマハ、カワサキ、スズキの国内4メーカーがどのような車両を出展していたのかを紹介する。

EVやHEVなど、最も未来を感じさせたカワサキ

EVモーターサイクル「フルカウル(Ninja)」
EVモーターサイクル「フルカウル(Ninja)」

まずは、カワサキ。国内4メーカーのうち、最も未来感があったと感じさせてくれたのがカワサキだ。もうご存知の方も多いとは思うが、カワサキはエイクマ2022において、カワサキ初となるEVモーターサイクル(2機種)やハイブリッドモーターサイクル(1機種)を出展。しかも、出展されたのはプロトタイプながら、いずれも市販が予定されている。

2023年に発売予定となっているのが、EVモーターサイクルの『ネイキッドタイプ(Z)』『フルカウル(Ninja)』の2機種。EUのA1ライセンス(排気量125cc以下かつ最高出力11kW以下のモーターサイクルに対応した免許区分)に対応したモデルで、近距離移動用のコミューターとしての活用が想定されている。バッテリーは車体からの取り外しが可能なリムーバブルバッテリーパックを2個搭載している。

2024年に発売が予定されているのが、『HEVモーターサイクル』。この「HEV」は「HybridElectricVehicle/ハイブリッド・エレクトリック・ビークル」のことで、書いてあるまま、ハイブリッド車ということ。エンジンを切って、モーターだけでも走行することが可能な、カワサキが自社開発したストロングハイブリッド型エンジンを搭載。モーターによる走行、モーターとエンジンを併用した走行、2つの異なる走行方法の切り替えが可能となっている。通勤や通学、スポーツ走行やツーリングまでオールマイティにこなすことのできるモデルだ。

車両ではないが、水素エンジンも参考出品された。エイクマ2022でカワサキは、カーボンニュートラル実現に向けた方針を発表したが、その中の一つに「水素エンジンモーターサイクルの2030年代前半の実用化を目指す」というのがあり、そのための研究用エンジンである。ベースとなったのは、『NinjaH2』のスーパーチャージドエンジンで、直噴化されている。

このほか、オートハイビーム機能を搭載した『NinjaH2』の2023年モデル、参考出品として日本で今年春の発売が予定されている『noslisu(ノスリス)』『カーゴ仕様』『EV仕様』も展示された。

ホンダ、2025年までに全世界に向け10機種超のEVを投入

ホンダのトピックは、電動二輪車の『EM1e:(イーエムワンイー)』、スクランブラースタイルの『CL500』、新たなパッケージで再登場した『XL750TRANSALP(トランザルプ)』、2023年モデルに設定された『CMX1100TRebel』の公開。

イーエムワンイーは高効率で高耐久性を誇る交換式バッテリー『Honda Mobile Power Packe:』を搭載したモデルで、ホンダがヨーロッパで初めて販売する電動二輪車。ホンダはこれを皮切りに、2025年までに全世界の市場に10車種以上の電動二輪車を投入する予定。イーエムワンイーは最高速度45km/h、1回の充電での航続距離は40km以上となっている。

CL500は、『CMX500Rebel』と同様の471cc・直列2気筒エンジンを搭載したモデル。専用のECU設定やショートに設定された最終ギア比によってシャープな走りを見せるなど、CMX500とは違った味付けの1台となっている。

CMX1100TRebelは、ワイドで大きなフロントハーフカウルやサドルバッグが特徴的なツーリングモデル。CL500、CMX1100Tともに、昨年11月にホンダ本社ビル1階の「Hondaウェルカムプラザ青山」で行われた『Motorcycle New Model Show in Aoyama』にも展示されており、来場者の興味を惹いていた。

トランザルプは、エイクマ2022の少し前、昨年10月にヨーロッパで発表された『CB750 HORNET』と共通の755cc・直列2気筒エンジンを搭載。スロットルバイワイヤシステムが採用され、5つのライディングモードの中からライダーが任意で選択できる。

トランザルプ、CL500、CMX1100Tは、日本での発売も予定されている(CMX1100TRebelは『Rebel1100T』として販売予定。CLは500だけではなく、250cc版の『CL250』も販売予定)。CL250は、前述したウェルカムプラザ青山でのイベントに展示されており、これにも多くの人が足を止めて見入っていた印象がある。発売後の動向は要チェックの1台だと言えよう。

このほか、フロントカウルのデザインが一新された『フォルツァ125』『フォルツァ350』、『MSXGrom』の2023年モデルもエイクマ2022に展示された。

ヤマハのTRACER9 GT+は、二輪車初のミリ波レーダーと連携したUSBを搭載

ヤマハのTRACER9 GT+
ヤマハのTRACER9 GT+

ヤマハは、世界初の「ミリ波レーダー」を搭載した『TRACER9 GT+(トレーサー9GT+)』を出展。「レーダー連携ユニファイドブレーキシステム(UBS)」「アダプティブクルーズコントロール」などの新機能が追加されている。

UBSは、ライダーのブレーキ入力が不足している際、前後の配分を調整しながら自動でブレーキ力をアシストするシステム。また、アダプティブクルーズコントロールは、高速道路などで先行車両に追いついてしまったときなど、一定の車間距離を保ったまま追従走行を可能とするシステム。

この2つはいずれも、ヤマハのモーターサイクルとしては初採用で、UBS搭載はモーターサイクルで世界初となる。トレーサー9GT+は、今年夏以降に日本で発売される予定。

このほか、ヤマハのトピックとしては『NIKENGT(ナイケンGT)』のモデルチェンジが挙げられる。ナイケンGTの2023年モデルは、排気量を888ccに拡大(現行モデルは845cc)、クロスプレーン・コンセプトの3気筒エンジンの新型CP3 エンジン搭載、新設計ハイブリッドフレーム、足つき性を高めた新作シートなどが主な変更点。ナイケンGTは今年の秋以降、日本での発売が予定されている。

スズキ「V-STROM」に800ccモデルが登場

V-STROM 800
V-STROM 800

最後はスズキ。スポーツアドベンチャーツアラーの新型『V-STROM800DE(Vストローム800DE)』と、ストリートバイクの新型『GSX-8S』を発表。

Vストローム800DEは電子制御システム「S.I.R.S(スズキ・インテリジェント・ライド・システム)」が採用され、トラクションコントロールシステムに専用の「Gモード」が追加されている。

GSX-8Sは、S.I.R.Sの出力特性を3つのモードから選択できる「SDMS(スズキ・ドライブ・モード・セレクター)」、クラッチやスロットルを操作しなくてもシフトのアップダウンが可能な双方向クイックシフトシステムなどが採用されている。

Vストローム800DEは今年2月から、GSX-8Sは今年3月から、それぞれヨーロッパや北米を中心に、全世界で順次発売される。 日本に導入されるモデルを中心に、国内4メーカーがエイクマ2022に出展したモデルを紹介してきた。3月には、モーターサイクルショーの開催も予定されている。2023年がどのような一年になるのか、楽しみである。



イベント関連記事一覧注目記事一覧

SE Ranking

人気記事ランキング

【トップインタビュー】ハーレーダビッドソン ジャパン 野田 一夫 代表取締役

2022年、ハーレーは登録台数において1万台突破という大きな実績を上げた。これは過去6年間における最高...


現役ライダーにバイクライフやバイクショップとの付き合い方をインタビュー! ~前編~

いまのライダーは何をキッカケにバイクに乗るようになり、どのようにショップと付き合い、どんなカタチ...


ホンダ「NR750」エンジン掛けます!1992年発売国内限定300台!

伝説のバイク「ホンダNR(NR750)」のエンジン音を小林ゆきさんがインプレ!この車両は日本最大のバイク...


2023年新車国内出荷台数 ~原一、10万台を割り込んだが原二の躍進で37万9800台と前年比3.0%のプラス~

2023年の新車国内出荷台数は国内4メーカー合わせて37万9800台(速報値・二輪車新聞社調べ)。原付一種が...


2002年創業のサイドカー専門店、ブリストルドックスの専門スキルを紐解く

一般のカスタムのようにパーツをボルトオンすれば完成するほど、サイドカーの製作は甘くはない。東京都...


2023年1月より電子車検証導入。二輪業界では、何がどう変わる?

来年1月、車検証が電子化される。二輪業界では何がどう変わるのか、販売店やユーザーのメリットは何か。...


【ライダーインタビュー】鳴戸親方(元大関・琴欧洲)「4時起きで箱根までソロツーリング、朝食をとって10時過ぎには帰宅。そんな感じです」

「明治ブルガリアヨーグルト」の化粧まわしと聞いて、「あっ、あのイケメン外国人力士ね」と思い出す人...


SUZUKI「Vストローム250SX」足つきインプレ! ~ローシート&標準シート比較~

スポーツアドベンチャーツアラーのスズキ「Vストローム250SX」を、バイクジャーナリストの小林ゆきさん...


バイクのある生活を、若者はこう考える!!

いま、二輪業界は「若者のバイク離れ」という問題に直面している。これについては、言葉通り「若者がバ...


オフ車選びに悩んでいる方必見! 人気オフロードバイク足つき比較

HONDA「CRF250L」、YAMAHA「WR250」「セロ-250」、KAWASAKI「KLX230」! 250ccクラスのオフロード車4台...