コラムビジネス

入社1~2年目の新人店長の年収、29万円から39万円へ。ファーストリテイリング、人材への投資を強化し世界標準目指す

公開日: 2023/02/03

更新日: 2023/02/03

「初任給30万円はうらやましすぎる」「さすが柳井社長」。

これは大手アパレルブランド“ユニクロ”や“GU”を運営する『ファーストリテイリング』が1月11日に発表した、国内社員への投資を強化する旨のリリースを受け、SNS 上に書き込まれたコメント。リリース公開以降、報道番組や新聞など様々なメディアで取り上げられ、多くの人の目に触れることとなった。

ファーストリテイリングは3月より、本社やユニクロなどで働く国内社員を対象に、年収を数%~約40%引き上げる。リリースによると、新入社員の初任給は25万5000 円から30万円(年収で約18%増)にアップ。また、入社1~2年目に就任することが多い新人店長は、月収29万円から39万円(年収で約36%増)になるという。

同社では昨年9月、国内店舗のパートやアルバイトの時給を平均20%アップ。社員については、2020 年に一部職種の初任給を引き上げていたが、全面的な賃上げは今回が初となる。

ファーストリテイリングは現在、世界3位のアパレル企業。日本以外では欧米を中心に店舗を展開しており、海外社員の年収は日本よりも高くなっている。そこで、3月より国内社員の賃金を大幅に見直すことで、グローバルスタンダードに近づけることを目指している。

日本の平均年収はアメリカの約半分

日本は先進国の中でも賃金が低い、と言われている。OECD(世界協力経済機構)によると、2021年の平均賃金調査で日本は3万9711ドル(約510万円/1ドル128円で計算)。OECD加盟国34ヵ国の中で24位であった。ちなみに、1位はアメリカで7万4738ドル(約956万円/同)。日本はアメリカより約半分も低い水準となっているのだ。

また、日本の平均賃金の推移について見てみる。OECDのデータによると、1990年から2021年に至るまで一定の幅で上下を繰り返しており、ほぼ横ばいで推移していることがわかる。一方、アメリカは右肩上がりで推移しており、日本との差は年を経るごとに拡大している。

ご存じの通り、各国の経済は昨年、世界情勢の悪化により歴史的なインフレに襲われた。日本では原材料価格や物流費の高騰、円安などを理由に様々な商品で値上げが実施されている。総務省統計局の「消費者物価指数」によると、日本の昨年11月の前年同月比上昇率は3.8%であったのに対し、アメリカは7.1%。このように、日本は他国と比べて物価上昇率が低いという特徴がある。けれども、前述のようにアメリカは日本より2倍近く平均賃金が高くなっている。日本は物価が上がっても賃金が上がりにくいため、家計は圧迫され続けているのだ。

大企業などで賃上げが実施されなければ、日本の企業から優秀な人材が海外に流出してしまう可能性もある。今回取り上げたファーストリテイリングの賃上げは、全国の企業に大きな衝撃を与えたことは間違いない。今後、ファーストリテイリングに影響され、人材への大幅な投資を実施する企業が現れてくると思われるため、企業の動向に注目したい。

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