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3分でわかる中古二輪車ビジネスの“ツボ”「お客さんが離れていってしまうフレーズとは?」

公開日: 2023/03/03

更新日: 2023/12/14

これは、あるユーザーから聞いた話なのだが、最近、2つの理由からあまりバイクショップを利用していないという。

1つは、四輪ディーラーに勤めており、自分でもそれなりの整備ができてしまうから。部品の注文はバイクショップにお願いしているが、部品さえあれば大抵のことができてしまう。このユーザーの友人(同じく四輪ディーラー勤務)の中には、ガレージを改造し、工具を揃え、そこでエンジンを分解して組み上げる人までいるという。このユーザーはそこまでマニアックではないが、自分でアレコレとバイクを整備するのでメンテナンスでバイクショップに行くということがほとんどない。これが1つ目の理由だ。

そして、もう1 つは、部品を注文しにバイクショップを訪れた際に言われた言葉がキッカケとなった。たまたまその時期は、あまりバイクに乗っていなかったためにブレーキレバーの動きが少ししぶかったらしく、そこを指摘された。この時に言われた言葉が「これじゃダメだね」。

否定的な言葉は、相手を傷つけるつもりがなくても傷つけてしまうことがある

もしかしたら、バイクショップとしては、ほかの部分はそれなりに整備されているのだから、ここもしっかりやっておくとさらに良かったのに、という意味でかけた言葉かもしれない。しかし、そのユーザーは「確かにブレーキレバーはしぶかったけど、なんでそのぐらいのことで、ダメなんて言われなきゃならないのか」と感じたというのだ。つまり、言葉の感じ方や捉え方は人それぞれということ。

これは関西出身のタレントが以前、テレビで言っていた話なのだが、関東と関西では『バカ』という言葉の受け止め方が違うという。関東では、友だちなどが何かをミスった時など笑いながら「バカだなぁ」と言ったりするが、関西の人はそれでも傷ついたりするというのだ。何か失敗した時に『アホ』は言われ慣れていても、『バカ』と言われることはあまりなく、ものすごく大きな失敗をしたかのように感じるのだという。

これはそのタレントの感覚によるところが大きいとは思うのだが、言葉は傷つけるつもりがなくても簡単に人を傷つけてしまうものであることが分かる。そして、人は自分を傷つける人から離れていってしまうものでもある。

どのような言葉をかけるか。アプローチひとつで与える印象は全く変わる

例えば、ユーザーの訪れたバイクショップが「ほかの部分がかなり整備されているので、ブレーキレバーがグリスアップされていたら完璧でしたね」などの言葉をかけていたら、印象は全く違ったものになっていたはずだ。『ダメ』などの言葉を使わずにいながら、ブレーキレバーをしっかりと指摘。グリスアップというアドバイスも添えることにより、店に対する安心感や信頼感を与えることができたかもしれない。アプローチひとつで印象はガラッと変わるのだ。

中古バイクに乗るユーザーに対しても同じだ。初心者で新車に乗ったことのないユーザーだったら、購入した中古車両の状態が基準という人もいるだろう。その状態で「ここがダメだ」などと言われたら、ユーザーとしては「もとからこうだったんだけど…」と、困惑することになる。へたをすると、その店を避けてほかの店に行くようになるかもしれない。

もちろん、例えばブレーキパッドを自分で交換したけどブレーキキャリパーを取り付ける際、トルク管理せずに適当にボルトを締め付けた。例えばメンテナンスに全く気を使わず、チェーンは錆だらけの伸びっぱなしで、スプロケットの山も鋭く尖っているなど、危険性の高いことに対しては『ダメ』と注意することも必要になる。

ただ、やはり、『ダメ』などを使わずに同じことが伝えられるのなら、使わないのが良いだろう。普段の接客において、お客さんに対して否定的な言葉を使っていないかどうか。もし、少しでも心当たりがあるとしたら、そこは気をつけて直しておきたいところだ。




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