ホンダ試乗インプレ小林ゆき動画

HONDA「XL750トランザルプ」試乗インプレ!

公開日: 2023/05/25

更新日: 2023/05/25

ホンダの新モデル「XL750トランザルプ」をバイクジャーナリストの小林ゆきさんが、オンロード・オフロード走行、それぞれを試乗インプレ! 悪路でも安心して走れる特性の「グラベルモード」を試しました!

大きさを感じさせない乗り心地

大きさを感じさせない乗り心地
大きさを感じさせない乗り心地

トランザルプの名前の由来はトランスアルプスということで、ヨーロッパのアルプス連峰を縦走するようなイメージで作られています。非常に歴史の長いモデルですが、今回はオールニューということで、エンジンがタンデム2気筒で、270度クランクのエンジンになっています。そして「デュアルパーパス」と呼ばれるオンロ・オフロード両用車種で、特にオフロード走破性の性能を高めたとのこと。ライディングモードが「スタンダード」「スポーツレーン」「ユーザーモード」、そして「グラベル」という気兼ねなくオフロードエリアに行けるモードがあるので、試していきたいと思います。

スタンダードのシート高が850mmですが、今回-30mmのローシートが純正で用意されていて、現在シート高は820mmの状態です。どちらのシートもクッションが柔らかいものになっていて、そこまで高さを感じません。それだけでなく、元々オフロード走破性を高めるために、サスペンションのストロークが長かったり、1Gといってバイクの自重とライダーの重さで動く、すごく高級なサスペンションが付いています。

色々なアドベンチャーに乗ってきて思うのが、大柄な方に合わせて作られているので、お尻の位置とステップの位置が遠いことが多いんですよね。そうすると、またがってお尻を左にずらした状態でバイクを直立させても、右足がステップに付いてないということが起こりがちなんですが、トランザルプはステップがしっかり踏み込める位置関係になっています。現在ローシートなので、より踏み込める丁度いいポジションになっています。

デコボコ道が非常に楽しい

デコボコ道が非常に楽しい
デコボコ道が非常に楽しい

悪路も安心して走れる「グラベルモード」に切り替えましたが、何のこの怖さもないですね。オフロードはそんなに得意じゃないんですが、少しアクセルを開けながら走っても、トラコンが凄く効いていて全然怖くない!ボコボコ道でも転ぶ気がしないです。これはめちゃくちゃ楽しい・・・! デコボコ道路をこんなに楽しみに思えるってそれだけで良いバイクだと分かると思います。

ハンドルに高性能なスイッチが色々付いております。フル液晶の画面は、左側にタコメーター、真ん中にスピード表示、その上がモード表示やリッター、走行距離になっています。

フロント周りは、往年のトランザルプを継承していて、小さめのスクリーンが付いているんですが、縦に長くて結構視界を確保してくれております。ハンドルの左側にはモード切替ボタンや細かな設定のボタン。右側はスタート・切るスイッチが一体になったものが付いております。スタートボタンはおそらくわざと固めにしてあって、すぐにスタートしないようになっています。

そして先ほどから立ち上がって走行しているのですが、シートの形状が上手く作られていて、立ち座でグリップ出来るようになっています。シートのサイドが滑らないので、しっかり膝でグリップしてデコボコ道でも走りやすくなっているのがよく分かります。

いくつかオフロード車に乗ってきましたが、今までの何よりも楽ちんに走れているのではないかな。細かい横滑りもトラコンでなんとかしてくれますし、オフロード車でクイックシフター(別売り)付きのバイクって初めて乗りましたが、めちゃくちゃ楽ちんですね!

初めての大型バイクとして本当におススメの一台!

初めての大型バイクとして本当におススメの一台!
初めての大型バイクとして本当におススメの一台!

オン・オフロードを試乗しましたが、本当に乗りやすいので太鼓判を押しておきます。低身長でもデュアルパーパスで大きいバイクに乗りたいという方、情熱がある方であれば、気負いせずに乗れると思います。

横に立って見ると、前周りがスゴク高く感じるんですよね。タンクとフェアリングがだいぶ横に張り出しているのでバイク屋さんで実物を見ると、この高さと横幅で大きいと思うかもしれませんが、乗ってしまうと実際は軽かったり、シート周りが細かったり、ローシートがあったりと、単純にデザインが大きく見せているだけです。

技術者さん達に話を聞くと、基本的には熊本で開発されていたそうで、阿蘇あたりの九州のワインディングとかでテストしたのかもしれない。日本で開発されながらも、ヨーロッパの雄大なアルプスを走るのをイメージして作られたのかなと思います。改めて「出すぞ!」とヨーロッパの人達にも受け入れてもらいたい、広めたいという思いがとても入っていて、新型ですが熟成されている感じがします。

一番凄いなと思ったのがトラコンです。グラベルモードが凄い。オフロードに慣れてない人でも運転が上手になった感覚になるでしょうし、走りながらワザと穴ボコに突っ込んだりしてもトラコンで何とかしてくれている安心感がすごくありました。ABSも介入が穏やかで非常に分かりやすかったです。それでいてこんな大径ホイールが付いているにもかかわらず、普通の17-17インチのオンロードバイクを走らせてる感覚で走れちゃうって、色んな意味でオールマイティーですし、これも息の長いモデルになっていくと思います。

色んなアクセサリーもどんどん出てくるでしょうし、長距離で長く楽しめる1台かなと思います。大型バイクのビギナーさん、免許を取り立ててでいよいよ大型バイク乗りたい、でもオフロードバイク、デュアルパーパス、アドベンチャー気になるよっていう方はまずトランザルプがいいんじゃないかな。

こんなに力説していいんだろうかっていうぐらい私は気に入ってしまいました!

【小林ゆきさん略歴】
横浜育ちのバイクブーム世代。バイク雑誌の編集者を経て、現在はフリーランスのライダー&ライター。バイクを社会や文化の側面で語ることを得意としている。愛車は総走行距離25万kmを超えるKawasaki GPz900RやNinja H2など10台。普段から移動はバイクの街乗り派だが、自らレースに参戦したり鈴鹿8耐監督を経験するなど、ロードレースもたしなむ。ライフワークとしてマン島TTレースに1996年から通い続け、モータースポーツ文化をアカデミックな側面からも考察する。
◎小林ゆきブログ
◎Twitter
◎Kommonちゃんねる

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