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『特定小型原付』が新しい車両区分として追加、7月1日に改正道交法施行

公開日: 2023/07/10

更新日: 2023/07/17

改正道路交通法が7月1日に施行され、新区分『特定小型原動機付自転車』が新設される。最高時速20kmで、16歳以上なら免許不要で乗ることができ、ヘルメットの着用も努力義務となっている。このことについては、以前、小誌でも取り上げているが、全く新しい車両区分の電動モビリティのことだけに、おさらいの意味でもう一度改めて確認しておこう。

十数年の間に、シティコミューターとして活用の広がりを見せる電動モビリティ

十数年の間に、シティコミューターとして活用の広がりを見せる電動モビリティ
十数年の間に、シティコミューターとして活用の広がりを見せる電動モビリティ

今や都市部では、シティコミューターとして電動モビリティで街中を走行するシーンをたびたび見かけるようになってきている。小誌における過去の記事掲載を見てみると、2009年に電動バイク(当時は電動モビリティという呼び方は一般的ではなかった)について触れた記事を掲載しているが、その頃はイベントなどで展示されている車両という感じで、道路を走る姿はほぼ見ることはなかった。そのことからも、この十数年でじんわりとだが着実に、移動するツールとして電動モビリティが広がりを見せつつあるのが分かる。

そのような中、2022年4月19日に、国会で改正道路交通法が成立。新しい車両区分として『特定小型原動機付自転車(特定小型原付)』が創設されることとなった。ポジションとしては、原動機付自転車と自転車の中間。その改正道交法が施行されるのが、今年7月1日。

以下に示す基準を満たしたモデルが特定小型原付に該当する(警察庁ホームページ及び警視庁ホームページより抜粋)。

■車体の大きさ
長さ190センチメートル以下、幅60センチメートル以下

■車体の構造
①原動機として定格出力0.60キロワット以下の電動機を用いること
②20キロメートル毎時を超える速度を出すことができないこと
③走行中に最高速度の設定を変更することができないこと
④AT機構がとられていること
⑤道路運送車両の保安基準第66条の17に規定する最高速度表示灯が備えられていること
⑥道路運送車両法上の保安基準に適合していること
⑦自動車損害賠償責任保険(共済)の契約をしていること
⑧標識(ナンバープレート)を取り付けていること

以上の通りとなっている。主な交通ルールとしては、運転免許が不要だが、16歳未満の者が運転することは禁止。ヘルメットの着用に関しては努力義務となっており、飲酒運転や二人乗りの禁止などが定められている。

特定小型原付のほか、歩道や路側帯の通行が可能な『特例特定小型原付』も新設

特定小型原付のほか、歩道や路側帯の通行が可能な『特例特定小型原付』も新設
特定小型原付のほか、歩道や路側帯の通行が可能な『特例特定小型原付』も新設

特定小型原付は、例外的に歩道(『普通自転車及び歩行者等専用』の道路標識等が設置されている歩道に限る)や路側帯を通行できる場合がある。歩道等の走行が許されている車両は、『特例特定小型原動機付自転車(特例特定小型原付)』という区分に分けられる車両で、特定小型原付の中でさらに細分化された区分の車両となっている。特例特定小型原付の基準は以下の通り。

①歩道等を通行する間、最高速度表示灯を点滅させていること
②最高速度表示灯を点滅させている間は、車体の構造上、6キロメートル毎時を超える速度を出すことができないものであること(アクセル操作での速度調節は要件を満たさない)
③側車を付けていないこと
④ブレーキが走行中容易に操作できる位置にあること
⑤鋭い突出部のないこと

例えば、目の前に電動モビリティがあったとする。7月1日以降は、満たしている基準によって、『一般原動機付自転車』『特定小型原付』『特例特定小型原付』に区分される。さらに、特定小型原付と特例特定小型原付は、切り替え可能なモデルもあるので、なかなか複雑だ。

改正道交法が施行されて特定小型原付が登場すれば、販売店にユーザーから問い合わせが来ることもあるだろう。その時に備え、知識を蓄えておくことは決してマイナスにはならない。

ちなみに、特定小型原付には『特定小型原動機付自転車の性能等確認制度』があり、性能等確認済シールの有無が、保安基準に適合しているモデルかどうかの目印になる。保安基準適合性が確認されたモデルの型式については、国交省ホームページでも7月1日前後に公開予定となっているので、要チェックだ。



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