公開日: 2023/08/31
更新日: 2023/12/14
「必要かどうか分からない部品や消耗品をすすめられた」というのは、よく聞く話。そう思われずに「なるほど」「確かに」と思ってもらうためには、比較や確認が可能なことは『自分の目で確認』してもらうことが重要なポイントとなる。
先日、バイクの前後タイヤを交換するために二輪販売店へ行った時のこと。
「フロントブレーキのパッドがかなり減っていますね」
と、販売店のスタッフ。タイヤ交換でちょうどキャリパーがディスクローターから外されているので、ブレーキパッドの状態を確認したら…確かに、減っている。もう、摩擦材がほとんど残っていない状態。メンテナンスに詳しくない人でも、ひと目で交換が必要と分かるレベル。
「交換しますか?」
「お願いします」
そんなやり取りがあった。実は、春先に同じ店でリヤブレーキのパッドを交換した際、フロントは大丈夫かを聞いたところ、その時には「まだ残っているので、大丈夫」とのことだった。数か月でそんなに減るかなという思いに加え、ブレーキの効きが悪くなったとかも感じておらず、「本当にパッドが減っているの? 売上を上げるために、交換の必要がないパーツをすすめたりしてない?」というのが、「減っている」とスタッフから言われた時の素直な感想だ。
そんな、邪で失礼な感想をひっくり返したのが、『自分の目での確認』だった。事実が目の前に晒されたら、もう、疑うことや反論の余地はない。現実を見れば「なるほど。確かに交換が必要だ」となる。やはり、相手に実際に確認してもらうことは、理解や納得を得ることの早道なのだ。
しかもこの時、スタッフは新品のブレーキパッドを持ってきて、「これが新品の状態です」と見せてくれた。ユーザーの誰もが新品の状態を知っているわけではない。現状のバイクについているパッドの摩擦材が新品からどれだけ減ってしまっているのか、それも比較対象を用意してくれたおかげで、『目で確認』することができたのだ。
目で確認できるのは、ブレーキパッドだけではない。例えばオイル。頻繁にツーリングに行くなど、乗る機会が多ければ、どんな高級オイルを使っていても黒く汚れる。それがどれだけ汚れているのか、新品のサンプルがあれば比較可能。
例えばタイヤ。スリップサインやヒビ割れなどは、新しいタイヤを用意するまでもなく、まさに一目瞭然。スリップサインを知らないというユーザーでも、「ここが表面に出てくると交換時期」と説明できる。
例えば、ドライブチェーンとドリブンスプロケット。SNSでは、スプロケットが摩耗しすぎて歯が欠けてしまった画像を載せている人もいる。そこまでではなくても、歯が尖ってきているというのは、メンテナンスをあまりマメにしない人にはよく見られる光景だ。これは、新品ではなくても、在庫バイクと見比べるだけでも正常な状態のスプロケットやチェーンとの違いが分かる。
もちろん、今ピックアップしたことは、多くの販売店でメンテナンスの際などにチェックしているだろう。そして、交換が必要であれば、ユーザーに交換をすすめているだろう。その時、なぜ交換が必要なのかをユーザーへ確実に知らせる手段が『自分の目で確認』してもらうこと。
ちなみに、フロントブレーキパッドの交換事例には余談がある。春先にリヤのブレーキパッドを交換した時、フロントのブレーキキャリパーを覗いて、残量確認はしていたのだ。しかし、何をどう見ればいいのか、よく分からないまま「まだ残っていますので、大丈夫です」というスタッフの言葉を鵜呑みにしてしまっていた。このことからも、ユーザーに『目で確認』してもらう時には、何をどう見ればいいのか、そのアドバイスもしておくと良さそうだ。
「必要かどうか分からない部品や消耗品をすすめられた」というのは、よく聞く話。そう思われずに「なるほど」「確かに」と思ってもらうためには、比較や確認が可能なことは『自分の目で確認』してもらうことが重要なポイントとなるのだ。
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