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3分でわかる中古二輪車ビジネスの“ツボ” 予約獲得数を増やす提案型の接客術とは?

公開日: 2023/10/09

更新日: 2023/12/14

ハードルの低い予約方法を導入すれば良いということではなく、それをお客さんに情報として提供できる提案型の接客スタイルであることが大切。

『この店で買う』かどうかは問い合わせ時の対応で決まる!?

『この店で買う』かどうかは問い合わせ時の対応で決まる!?
『この店で買う』かどうかは問い合わせ時の対応で決まる!?

モノは何でもいいが、「これ、いいな」という商品をネットで見つけたとする。そんな時、どうするか。本当に欲しければ、在庫の有無や商品に関する詳しい情報を確認するために問い合わせをするだろう。その時の店側の対応は、意外と覚えていたりするもの。

「対面、メール、電話、いずれの問い合わせも同じなのですが、その時の対応ひとつで『買う・買わない』『その店を選ぶ・選ばない』が決まると感じています」

こう語るのは、東京都にある二輪販売店社長。

「お客さんは問い合わせのプロではありません(笑)。そのため、すべての要望を把握できず、こちらから提供できる情報が限定的になってしまうことがあります。そうした状況を避けるため、お客さんが求めていることは何かを確実にキャッチしたうえで、そこから話を発展させる提案型の情報提供をしていくことが重要なのです」

一つ例を挙げると、お客さんから「黒の新車のレブル250探しているんですけど、在庫はありますか?」という問い合わせが来た場合、お客さんが希望する車種がなければ「ありません。メーカーにオーダーを入れたばかりなので、入荷は○か月後です」と答えたりするかと思う。しかし、この販売店はちょっと違う。

「黒はないけど白ならあります、などほかの色を提案し、『やっぱり黒がいい』となった時には、予約をおすすめしています」

例として挙げた黒のレブルだったら、何月分としてメーカーにオーダー済みであること、納期はハッキリ分からなかったとしても、予約が入っていれば間違いなく購入できること、これらを伝えた上でお客さんに予約をするかどうかを決めてもらう。

ただ、無理に予約を勧めることはない。欲しいバイクを探している人は、多少家から遠い店にも問い合わせをする人は多いからだ。そのようなケースでは、排気量によって対応が少し変わる。店では購入後の付き合いを考慮し、軽二輪以上であれば千葉や埼玉のお客さんにも販売するが、原付二種までなら「近くのお店で買われたほうが良いですよ」と、他店での購入を勧めているという。

ハードルの低い予約システムにはお店側にもメリットがある

ハードルの低い予約システムにはお店側にもメリットがある
ハードルの低い予約システムにはお店側にもメリットがある

このお店での予約の勧め方にはポイントがある。『予約』と聞くと、必ずそこで買わなきゃいけなくなると感じるユーザーは決して少なくない。まずはそのハードルを下げてあげるのだ。

「ウチでは、予約料やキャンセル料はいただきません。問い合わせてきたお客さんには、それを最初にお伝えしています。その上で、『予約を入れておきますか?』とご提案しています」

さらに強調しているのは、予約した後も他店でバイクを自由に探すことができ、もし見つかった場合には、予約をキャンセルすることも可能ということ。そして、最終的に見つからなければ、予約してあるこのお店で買うことができるのだ。なんともユーザーにとっては都合の良い予約システムだが、もちろん、店側のメリットもある。

それは、時間の効率の良さ。欲しいバイクを探している人の中には、いろいろな店に問い合わせしてもなかなか見つからないため、数度にわたり問い合わせをしてくる人もいる。そういう人に対しても、予約があれば次に連絡が来る時は「買います」、あるいは「他店で見つけたのでキャンセルします」のどちらかの結果が出る。買ってくれるのかどうかが分からないまま、何度もやりとりすることがなくなる。

これは、予約しやすいシステムだからこそだろう。予約のハードルが高いと、予約にためらいが生じてしまうことがあり、予約件数を増やすことは難しい。当然、お店としては自分の店で買ってもらうのが一番。予約を入れていたお客さんに「ほかで見つかりました」とキャンセルされたら1円にもならない。だが、このお店ではハードルを低くした予約手法を採用することによって、普段は接点のない地域のお客さんへの販売にも結びついている。

これは、ハードルの低い予約方法を導入すれば良いということではなく、それをお客さんに情報として提供できる提案型の接客スタイルであることが大切。それにより、「このお店なら欲しいバイクが買えそうだから、予約しておこうかな」と、お客さんに思わせることができるのだ。



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