公開日: 2023/10/27
更新日: 2023/11/02
日本自動車工業会二輪車委員会は10月13日、報道関係者を対象に「第7回二輪車委員会メディアミーティング」を開催した。出席者は日髙祥博委員長をはじめとする二輪車委員会メンバーとメディア関係者。今回は「ジャパンモビリティショー2023」の開催を目前に控えていたことから「二輪車委員会メンバーと語る、ジャパンモビリティショーと二輪車の未来」をテーマに意見交換を行った。
自工会ではかねてマルチパスウェイという考え方を発信し続けているが、日髙委員長はこれについて、大きな流れとしてバッテリーEV化はポイントとなっている。けれども製品や地域特性ごとに様々な制約や条件がある中では、多様な選択肢を準備することこそが、真に効率的なカーボンニュートラルの道、と見解を述べた。
続いて国内二輪に関しては、「コミューターについては通勤や通学などに用途が絞られることもあり、バッテリーEVへ置き換わっていく可能性は高い。一方、ツーリングなどを主とする中・大型車については、バッテリー性能、コスト、充電インフラなど様々な課題がある。また、内燃機関特有の音や振動などライダーの感性に関係する要素は重要であるとも認識している。もちろん、バッテリーEVにしか出せない良さもある。インフラや利用環境整備など、社会全体で育てていくことが大切。加えてカーボンニュートラル燃料等を用いた内燃機関やハイブリッドEVといった多様な選択肢も、二輪車にとってはとても重要」とした。
続いて、水素エンジンの研究組合『HySE(ハイス)』を設立したことについても言及。バッテリーEVについては、台湾等で常識となっている交換式バッテリーステーションのインフラ整備を『ガチャコ』で進めていることを説明した。
この後、10月28日より開催されるジャパンモビリティショーの概要説明があり、その後、質疑応答へと移った。
――― Q. 過去のモーターショーでは、ニューモデルがあり、それをアンベールして、という楽しみ方があった。でも現在は、そこから距離を置いているように感じる。
A. いま、自工会自体が大きく変化している。その根底にあるのは、日本の自動車産業の将来への危機感と、豊田会長による、予定調和のままでいいのか、という問題提起だ。『ケース(CASE)革命』により、世の中が激変する可能性は高い。不正競争防止法や独禁法を念頭に、協調領域を明確にした上で対応しなければならない。自由主義、自由経済を標榜していたアメリカ、ヨーロッパは非常にしたたか。日本だけが正直に自由経済などと言っている。日本の自動車産業が生き残るために、どう我々が変わればいいのか。これは自動車産業だけの問題ではない。経団連の中にモビリティ委員会ができた。様々な産業と手を組み日本の競争力を維持していきたい。そうした背景があり、ジャパンモビリティショーに変わった。モビリティを中心とした日本の『オールインダストリーショー』として日本の競争力、日本の産業、日本のGDPを維持・強化する。オートバイのショーとしては東京、大阪、名古屋モーターサイクルショーがある。オートバイファンはそっちに来ていただいている。
――― Q. 2025年11月で原付一種の継続生産ができなくなることは知られている。二輪4社で仕様を統一して「やります」となったが、その後のことは、ショーで明らかになるのか。
A. 単純にいうと、ガチャコのEV仕様を各社がいつ出すのかという話で、ホンダはすでにリリースしている。スズキは今回展示する。ヤマハについては、日本仕様のバッテリーを使ったスクーターを参考出品する予定だ。
――― Q. 想定される来場者は。
A. 今までの足元のコアなモーターサイクルファンとか、クルマのファンではない人たちも多いと思う。今まではそういう方を狙っていたが、広義日本の“新たな提案”を期待する方の来場にも期待している。キッザニアなどもあるので、いままでアプローチできなかった層の人たちにも来ていただけたら嬉しく思う。
――― Q. 二輪にはモーターサイクルショーがあるので、との話があったが、今後、二輪については棲み分けが進むと考えていいのか。
A. それが現実的。モーターサイクルショーのほうが、日本においてははるかにコアなバイクファンが来場する。関心層を集めることができる。11月には欧州でEICMAが開催される。そこはまさに、わずかに未来感は出すけど、足元では基本的には来場者に訴求する商品を出す。その意味でも、棲み分けていくのだろうなと思う。
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