コラム

再配達削減に向けた新たな取り組み、「置き配」を選択したユーザーにポイント付与

公開日: 2023/10/27

更新日: 2023/11/07

2024年問題。物流業界の在り方が変わる日が刻々と近づいており、様々な対応策が模索されている。そのようななか、政府は10月6日、同問題への対策を盛り込んだ「物流革新緊急パッケージ」を公表。商品注文時の“置き配”を選択したユーザーに、買い物で使えるポイントを付与する実証事業を行うことを盛り込んだ。この“置き配”誘導への動きは、ドライバーの負担を軽減できるのだろうか。

国土交通省のデータによると、今年4月の再配達率は、約11.4%となっており、前年同月(約11.7%)と比べて約0.3ポイント減、前年10月(約11.8%)と比べて約0.4ポイント減と、減少傾向にある。また、今年の4月の個数を見てみると、全体が245万4591個(大手宅配事業者3社の合計数値)であるのに対し、再配達数は30万7511個となっている。

岸田総理は10月6日の会議で、「物流は国民生活や経済を支える重要な社会インフラだ。変化を力に変え、物流の革命に向けて政府一丸となって精力的に取り組んで欲しい」と言及。2024年度に再配達率を、現状の半分の6%を目指すとしている。

置き配選択でTポイントを付与する会社も

国交省は今年4月を「再配達削減PR月間」に設定し、経済産業省、宅配便・EC・通販事業者とともに、再配達削減に向けた取り組みを実施。今後も、再配達の発生状況を継続的に把握するとともに、置き配、マンションの宅配ボックスやコンビニなどでの受け取りが進む取り組みを推進していく、としている。

ただ、置き配をはじめ、宅配ボックスやコンビニでの受け取りでポイントを付与するには、ネット通販などで専用システムの構築が必要となる。そのため、政府はシステム改修に必要な財政支援も検討している。

置き配でポイント付与する取り組みについては、すでに行っている会社もある。物流版のコミュニケーションインフラ整備を行っている株式会社LOCCOは、同社が提供する置き配(OCCO)を活用し、Tポイント利用手続きを行うと、置き配1荷物につき10ポイントを付与している。LOCCOは、Tポイントの付与分を同社が負担することで、再配達が少ない置き配を促進するサービスを構築。上記の通り、一般的な再配達率は11.4%となっているなか、同社の置き配サービスでは約2.8% と、ドライバーの負担軽減に寄与している。

経済産業省のデータによると、多様化するライフスタイルとともに、Amazonや楽天などのECサイトでの購入者は急速に増え、2021年にはEC市場が全体で20兆7000億円規模になっている。また、ECの拡大に伴い、宅配便の取扱個数は5年間で約9億3000万個増加している。

ECサイトで商品を購入する場合、その多くは急ぎではないはず。ヤマト運輸は公式LINEを友達追加することで、簡単に受け取り日時や場所を指定することができる。2024年問題は、物流業界だけが着手する課題ではなく、我々ユーザーの協力も必須となる。ドライバーを気遣った置き配や、ゆとりのある配送日時を指定することは、2024年問題解決に向けた対応策の1つとなるのだ。



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