公開日: 2023/12/04
更新日: 2023/12/05
日本のGDP(国内総生産)がドイツに抜かれ、2023年に4位に転落する見通しであることが明らかとなった。2010年以降、アメリカ、中国に次ぐ3位であったが、ついにこの構図が崩れる。これは一体なぜか。
GDPとは「Gross Domestic Product」の略語で、内閣府のサイトには、「ある一定期間内に、国内で生み出されたモノやサービスの付加価値の合計額」とある。国内の景気をより正確に反映し、その国の経済状況がどうなっているのかを確かめる指標として主に使われている。
日本のGDPは高度経済成長期の1968年、当時の西ドイツを抜き、アメリカに次ぐ2位に上昇。けれども2010年、新興国として頭角を現した中国に抜かれ、3位となった。
IMF(国際通貨基金)が10月に公表した「世界経済の見通し」によると、物価変動の影響を考慮せず、市場で取引されている価格に基づいて算出した、2023年の日本の名目GDPは、ドルベースで前年比0.2%減の4兆2308億ドル。一方のドイツは、同8.4%増の4兆4298億ドルとなる見込みで、日本が4位に転落するという見通しが立っている。
ちなみに、1位のアメリカは同5.8%増の26兆9496億ドル、2位の中国は同1.0%減の17兆7009億ドル。2010年に日本を追い抜いた中国は、2023年には日本との差が約4.2倍になる見込みだ。
日本がドイツに逆転される原因としては、円安ドル高の基調が続いていることや、ドイツの物価上昇率の高さが反映されていることが挙げられている。けれども、最大の要因は、日本経済の長期的な低迷にある。
日本の名目GDPの推移を見てみると、2000年は約535兆円で、中国とは約4.1倍、ドイツとは約2.5倍の差があった。けれども、IMFによる2023年推測数値と、2000年の名目GDP数値を比べると、増加率は日本が約1.1倍であるのに対し、中国は約12.5倍、ドイツは約2倍となっている。
岸田総理は10月23日の所信表明演説で、「経済、経済、経済」と強調し、物価高対策をはじめ、経済対策を重視している、と言及。また、11月2日に行われた記者会見では、新たな経済対策で、日本経済を成長軌道に乗せるための供給力の強化を柱の一つに掲げ、設備投資への支援、労働者の学び直しの環境整備などを盛り込み、経済重視の姿勢を強くアピールした。
政府は11月15日、7~9月期のGDP速報値が、前の3ヵ月と比べた伸び率が実質の年率換算で、3期ぶりにマイナスになったことを発表した。またIMFは、2026年にインドが日本を追い抜くとの見通しも立てている。今日の日本には、持続的な賃上げや、企業の稼ぐ力を高めるための生産力の向上など、どのように日本経済の成長力を引き上げていくかが問われている。
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