公開日: 2025/05/27
更新日: 2025/06/12
バイク用スマートモニターの普及が進んでいる。ただ、電波法に引っかかる違法なモノも流通しているというのが現状だ。違法な製品を製造・販売しても罰則はなく、罰せられるのは使用したユーザー。では、適正な製品を見分けるポイントはどこなのか。タナックスに聞いた。
風が暖かくなり、休日には街なかでバイクを見かける回数が増え、ネットでも「●●に行きました」というツーリング報告を見ることが増えてきた。
今やバイクでもナビを使うことは日常的に見られる。数年前まではバイクにスマホホルダーをつけて、スマホをナビとして使うというのが多かった。だが、スマホだと落下して壊してしまったり、バイクの振動で不具合が起きたり、風雨の影響で操作系に不具合が出てしまったり…などなど、もともとスマホはバイクのナビとして使われるようには作られていないため、いくつもの問題が起きていた。
そのこともあり、スマホの代わりに台頭してきたのがバイク用の『スマートモニター』。昨今では、高速道路のサービスエリアにいるバイクを見ると、スマートモニターをつけているのをちらほらと見かけるようになってきた。しかし、スマートモニターなら何でもバイクにつけていいのかというと、そうではないのだ。
「バイク用スマートモニターは、スマートフォンとの無線接続が必要となります。一般に、無線通信を行う機器を合法的に使用するためには、電波法に準じていることを総務省が認定する『技術基準適合証明』、いわゆる『技適』が必要になります」(タナックス)
技適を取得しているかどうかは、『技適マーク』の有無によって、ひと目で分かるという。例えば、今ではかなり高い普及率を誇るインカムの裏面を見れば、そこに貼られているはずだ。もし、手持ちのインカムに技適マークがついていないのであれば、その製品が適正な製品かを確認したほうがいい。そして、確認できるまでは使用を控えたほうがいいだろう。だが、技適マークがついているから安心というわけではないのだという。
「技適取得済みとうたっている商品の中にも、使用すると違法になってしまう機器が流通している状態です」
スマートモニターは、主に5GHz帯の電波を利用している。この周波数帯には、5.2GHz帯(W52)、5.3GHz帯(W53)、5.6GHz帯(W56)があり、その中で屋外でも使えるのはW56のみで、ここの技適取得が必要なのだ。5GHz帯の技適取得済みだとしても、W56での技適を取得していない製品を屋外で使用すると違法となってしまう、ということ。
では、どのようにして適正な製品かどうかを見極めればいいのだろうか。
「ネットで総務省の『電波利用ポータル』に行き、製品の技適番号や機器の名称を入力すれば誰でも検索・確認ができ、どの周波数帯での技適を取得しているかが分かります。でも、これで安心というわけではありません。W56なら無条件で屋外利用が可能になるわけではなく、DFS(動的周波数選択)機能が備わっている必要があります」
つまり、安心してスマートモニターを使うためには、『技適が取得されていること』『5.6GHz帯(W56)の技適が取得されていること』『DFS機能が備わっていること』の、3つの条件を満たしている必要がある。
もし、違法製品を使ってしまうと、使用したユーザーに罰則が適用されてしまう。電波法の規定では『1年以下の懲役または100万円以下の罰金』と決して軽くはない。
「タナックスの製品は、適法であることは当然として、防水・防塵性能のテスト、極端な高温/低音下での動作テスト、紫外線照射など耐候性テスト、耐薬品腐食性テスト、バイクの振動を再現した試験機によるテストなど、耐久性の面でも厳しい基準を設けています。また、サポートにおいてもサポート体制を強化しているので、安心してお使いいただけます」
店としても、ユーザーが「スマートモニターをつけたい」と言ったとき、前述の3条件に適合している製品を薦めるようにしよう。それが、結果的にユーザーを守ることになるのだ。
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