コラム

賞味期限4カ月の「ロングライフ牛乳」登場。災害対策の備蓄品や小売店のコスト削減に期待!

公開日: 2025/07/28

更新日: 2025/08/03

多くの人が日常的に飲んでいる牛乳。飲料としてだけではなくチーズやバターなどの乳製品にも加工され、私たちの食生活を支えている。農林水産省が公開した2022年度食糧需給表を見ると、牛乳および乳製品の消費量は約1174万トン。これは、主食である米などの穀類や、野菜に継ぐ3番目の消費量となる。

日本人の食生活にとって必要不可欠な牛乳だが、賞味期限は通常のもので1週間程度と保存できる期間は短い。しかし、加工法によっては保存期間を延ばすことが可能だ。ロングライフ製法と呼ばれる、牛乳を高温で加熱殺菌し、細菌の侵入を防ぐアセプティック容器に入れるなど様々な処理を施すことで、無菌状態を維持。常温状態でも長期間保存することができる。メーカーによって賞味期限に差はあるものの、期間は3カ月程度。冷蔵保存が難しい災害時でも味を保てるため、被災地への救援物資や保存食品に適している。

このように、災害対策の備蓄品としても注目されているロングライフ牛乳だが、そんななか、いままで以上に保存期間を延長させた商品が登場した。森永乳業は6月、賞味期限を延長させた「森永牛乳200ml」の店頭販売を開始。賞味期限は約4カ月と、ロングライフ牛乳の中では業界最長となっている。長期間保存できる牛乳を求める消費者にとっては注目の商品。また小売業界にとっても、賞味期限延長により食品の入れ替え頻度が軽減できるため、コスト削減が期待されている。

深刻なフードロス問題。消費者意識の改善がカギ

昨今では森永乳業以外にも、様々な食品メーカーで賞味期限を延長する動きが見られる。その背景には、深刻なフードロス問題が関係している。農林水産省の2022年度食品ロス量推計値を見ると、国内での廃棄は472万トン。このうち飲食店や小売店などの事業系や、家庭での廃棄は各236万トンと、多くの食品が廃棄されているのだ。

この問題の要因の1つに、食品流通業界の商習慣である「3分の1ルール」があげられる。同ルールは、製造から賞味期限までの期間を3分割し、3分の2までの期間を販売可能と設定し、販売するというもの。そのため、期間を過ぎた食品の多くは、賞味期限が残っていたとしても廃棄されている。

大量の食品ロスを引き起こす商習慣が業界に根付いている日本。これには、新鮮な食品を求める消費者心理が関係している。消費者庁が2024年度に調査した「食品を購入する際の賞味・消費期限の意識」を見ると、消費予定に関係なく期限の長い商品を購入すると回答した人は全体の46.3%。約半数が日付の新しい食品を選んでおり、日付の古い食品が残ってしまう結果となっている。

賞味期限によって廃棄が左右されるフードロス問題だが、保存期間の延長によって、食品ロス量の減少が期待される。しかし、一番重要なのは消費者自身が意識を変えていくことだ。買い物する時は、なるべく日付の近いものを選ぶなど、生活の中で賞味期限を意識することが、フードロスを減らす一歩となるだろう。

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